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SILK WAY RALLY 2021 - シルクウェイラリー - No.236より

パンデミックの影響で急遽モンゴルステージがキャンセル。5日間の短いレースになったシルクロードのラリー。接戦を制したのはオーストリアのダカール勝者。続く2位にルーキーのスカイラー・ハウズ、そしてHeroモータースポーツのフランコ・カイミが3位の快挙!


※次回はSSVクラスに参加した日本人ドライバーのインタビュー+レポートを掲載します。


突然の短縮

 ロシアをスタート、モンゴルのウランバートルのゴールを目指す中央アジアの壮大なラリーは、KTMファクトリーライダーにしてダカール勝者のマティアス・ウォークナーの優勝で終わった。2位にHusqvarnaファクトリーチームのルーキー、スカイラー・ハウズ、そして僅差の3位にHeroモータースポーツのフランコ・カイミが入賞するという結果。ウォークナーの勝利を決定づけたのは、第2ステージと最終ステージでともに2位につけたことだった。イベント全体が、COVID-19状況下でセンシティブな問題を多く抱えていたが、後半に予定されていたモンゴルステージが、ウイルス蔓延の危険により、入国不能となってすべてキャンセル。全体としてはほぼ半分の5ステージで競われることになった。

当初の予定ルート

変更後に短縮されたルート

上は当初の予定ルート、下は変更後に短縮されたルート


スプリントラリー

 最終日は第2ステージと同じルートで、110kmのスプリント的タイムアタック。5分の貯金を持って臨んだだウォークナーは、森のシングルトラックを含むステージを飛ばし、ギャップを6分20秒に拡大して勝利をつかんだ。FIMクロスカントリーラリー世界選手権の開幕戦カザフスタンで獲得した2位のポイントと合わせて、ウォークナーはこれでポイントリーダーとなり、今後のラリーを優位に運ぶ力を得たことになる。
 「2日目と同じステージでしたが、トラックはちょうどよく荒れていて楽しく走れました。本当はトップタイムを狙っていたのですが、森の中では少し安全策をとって走りました。全体としてはとても調子が良かったですよ」というウォークナーは、ラリー全体を振り返って「モンゴルに入れずラリーが短縮されたのは残念でしたが、この困難な状況にもかかわらずラリーを最後まで運営してくれた主催者に感謝しています。シルクロードの重要な賞であるタイガートロフィを受けたことも本当に誇りに思いますし、この優勝によってポイントリーダーにもなりました。これ以上の結果はありませんよ!」。


ルーキーは期待以上の活躍!

 ダカールでプライベーターとしての活躍が認められ、Husqvarnaのファクトリーチームに迎え入れられたスカイラー・ハウズは、総合2位に入賞。FIMクロスカントリーラリー世界選手権で初のポディウムに立った。ハウズは、3位のフランコ・カイミに対して49秒のアドバンテージを持っていたが、これはラリーにおいては決して大きなギャップではない。ルートはステージ2と同じで、ナビゲーションも簡単であることがわかっていたので、あとはいかに自らのペースを維持するかが勝負を分ける展開。ハウズは「速いが速すぎないライディング」を要求された。そしてこのステージ、トップ5は3分以内にひしめくことになった。
 「初めての表彰台で本当にうれしいです」とフィニッシュラインでハウズは上気した表情のままコメントしてくれた。「本当はもっと長いラリーを走り、もうひとつ上のステップに上がりたかった。でも2位でも本当にうれしいです。ラリー全体はとても順調でした。最後は僅差でしたが自分のペースを守って、結果、2位を守ることができてうれしいです。このリザルトで得たポイントによって、ランキングで2位に上がりました。次のラリーまで少しインターバルがありますが、その間もしっかりと準備をしてシーズンをいい形で終了したいと思います」。とFIMクロスカントリラリー世界選手権シリーズでの好成績に意欲を見せる。

2021年のダカールでプライベーターとして実力を示しファクトリーチーム入りを果たした「アメリカンドリーム」の体現者スカイラー・ハウズ

2021年のダカールでプライベーターとして実力を示しファクトリーチーム入りを果たした「アメリカンドリーム」の体現者スカイラー・ハウズ


KTMの母国オーストリア人、そしてオーストリア初のダカール勝者であるマティアス・ウォークナーがシルクロードを制した

KTMの母国オーストリア人、そしてオーストリア初のダカール勝者であるマティアス・ウォークナーがシルクロードを制した


Heroは実力を証明した

 序盤のラリーをリードしていたHeroモータースポーツのフランコ・カイミだが、すぐにトップ争いは激戦となり、カイミは強豪たちに翻弄される。すでに2日間に渡ってハウズとダニエル・サンダースと接戦を演じてきたカイミは、渡河の多いステージ4で3位に追い落とされ、その順位のまま最終ステージを迎えた。4位以下も僅差で迫るレースに耐えて、フランコ・カイミはジャンプアップ。ポディウムのファイナルステップを踏み、そして長年ラリーに携わってきたHeroモータースポーツの実力を証明することに成功した。
 「自分自身だけでなく、チームにとっても素晴らしい結果になりました。自分が今どれほど幸せに感じているか、それを説明する言葉が見つかりません」とカイミは話した。「彼らのたゆまない努力によって、表彰台でのフィニッシュが実現しました。ラリーでは常にプッシュし続けました。最終的には6秒という僅差で2位には追い付けませんでしたが、3位という結果にもまったく不満はありません。これはチームと応援してくれているすべての方とともに得られた結果で、私はこれからもチームとともに成長し、よりよい結果のために努力し続けられると確信しています。この場を借りて、Heroのファミリーと、ファンのみんなに感謝を伝えたいと思います」。

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