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その輝き、まさに流星 - Kawasaki KLX250SR
市販トレールバイクとして発売され、現在もその基本設計が受け継がれている「知られざる名車」が、ワールドエンデューロの歴史に刻み付けたものとは何か?
理解不能のポテンシャル
「闘う4スト」というカタログのキャッチコピーが正しく理解されるようになるのは、1993年のデビューから少なくとも数年は要したのではないだろうか。低回転でのパワーが貧弱で、エンジンは始動性が悪いとも評価された。高性能の2ストロークエンデューロモデルのKDXシリーズから譲り受けた高剛性のペリメターフレーム、強いサスペンションは、水冷DOHCエンジンが高回転域で発生するパワーを受け止めるキャパシティを持っていたが、4ストローク250ccのトレールバイクに、日本のマーケットはそれを求めていなかったかもしれない。同じ排気量クラスのホンダXR250、ヤマハのTT250Rがセールスを伸ばしていく中、KLX250SRはまさに、マニア受けの存在となってしまった。
おそらく、そのキャッチコピー通りに高性能過ぎたのである。いいバイクなのだが、普通の林道ツーリングレベルのライダーには不便だし、走行性能の良さも理解不能だった。低速を犠牲にして高回転のパワーを求めるなど、トレールバイクとしてはやり過ぎとしかいいようがない。誰が乗れるんですか、そのバイク。「始動性に難あり」と雑誌屋さんたちも揃って書いていた。本当は、始動性は悪くなかった。水冷で機関の温度は安定していて、どんな時でもエンジンはすぐにかかってくれたが、しかしキックにスピードが必要だった。足が届かない人にとっては、確かに始動が難しいはずだ。そんなバイク売れますか?
1994年には、KLX250ESという、エレクトリックスターター付のモデルが登場する。セルの追加のために、乾燥重量で10kg増の119kgになってしまった。闘う4ストは肥満して、本来の持ち味を半ば失ってしまうのだが、プロダクトの進化としては正常というべきだろう。
KLXシリーズは、欧米のマーケットにも供給されていて、アメリカではKLX300Rとして人気のモデルになっていた。KLX300Rは、日本でも1996年にナンバー登録できない競技専用モデルとして発売された。もちろんモトクロス用ではなく、当時の日本的エンデューロレース用である。300のエンジンは250のボアアウト版である。
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一瞬の輝き
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