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「実は普通なところがまるで無い」 - Looking Back BMW G450X - No.240から

原理的な理想を追った技術者の挑戦。そのエッセンスはエンデューロからラリーへと受け継がれ長く活躍した。

ライダーは三橋淳。スペイン、マラガにて


_2008年当時、プレス試乗会が行われたマラガの街。コーディネーターはENDURO GPチャンピオンで長くKTMファクトリーチームで活躍したカリ・ティアイネンが務めていた

BMWのGP挑戦

2008年に発売され、そのモデルだけでカタログから消えた、BMWの歴史の中でもレアな存在の一台と言えるだろう。完全なエンデューロコンペティション用の設計で、110km/h超の速度での巡航運転、また瞬間的にでも120kh/hを超えることが不可とされ、それに違反すると車載のコンピュータに記録が残り、メーカー保証の対象外とされるものだった。
 プロトタイプが競技に登場したのは2007年のエンデューロ世界選手権(ENDURO GP)。ライダーはジョエル・スメッツ。6日間エンデューロでの優勝経験もあるベルギーのモトクロス世界チャンピオンが、そのデビューの任を担った。G450Xが発売される2008年には、BMWファクトリーチームとしてENDURO GPにフル参戦。スウェーデンの英雄にして長年ハスクバーナファクトリーチームのエースとして活躍してきたアンダース・エリクソンを筆頭に、シモ・キルシ、アンドレアス・リッテンビヒラーら気鋭のライダーを起用。キルシはBMWにとってもこの450マシンにとっても初のワールドエンデューロにおけるポディウムフィニッシュを実現。秋の発売開始に向けて弾みをつける格好となった。

Text : Hisashi Haruki
Photo : Jonty Edmunds

普通なところがまるで無い

少しおとなしいデザインにカモフラージュされてはいるが、実は「普通なところがまるでない」、ユニークなバイクだった。

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