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狂気の7分間に何が起こっているか ― タディ・ブラズジアクが語る FIMスーパーエンデューロの現在

原因のほとんどはレースタイムの短さにある。ゲートが落ちた瞬間、全員が死に物狂いで1コーナーに殺到する。120%の戦い。だから観客は喜び、次の週末には自分でバイクを走らせたくなるんだ。


FIMトライアルジュニア世界選手権で活躍の後、2007年からエクストリームエンデューロの世界に身を投じ、以来、出場するすべてのカテゴリーで王座を勝ち取ってきた。一度は引退を表明したポーランドの英雄が、再び過酷なレースの現場に戻ることを決意したのは、なぜか?

英雄は再び戦場に向かう


 トライアル時代から、スピードを必要とするセクションを得意とするハードヒッターだったタディが、エクストリームエンデューロの世界に戦場を変えたのは2007年だ。プライベーターとして予選に出場したエルズベルグロデオで、その実力を認められ、KTMファクトリーチームは、急遽、彼をサポートすることになった。その決勝レースで、タディは見事に総合優勝を獲得する。

 KTMファクトリーチームの先鋒となった彼は、以後、AMAエンデューロクロスをメインに、そして各国の著名なエクストリームエンデューロ、そしてFIMスーパーエンデューロに出場。そのすべてで勝利をつかんできた。
 すべてを出し尽くしたと感じた2017年。ポーランドの英雄は引退を表明した。誰もが納得し、彼のキャリアに改めて惜しみない称賛を送ることになったのだが…。
 どうしても必要だったわずかなブランクの期間を経て、タディ・ブラズジアクは再びレーシングギアを身に着け、戦場に戻ってきた。2018年のFIMスーパーエンデューロシリーズ、そして新シリーズ、ワールドエンデューロスーパーシリーズへ。タディは、悔いのない走りをするため、再びイグニッションを点火した。

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