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TIME TO RIDE 大鶴義丹 「Door Of Adventure 秋の陣」 No.248より


 毎年楽しませて頂いている、人気コマ図ラリーイベント「DOOR OF ADVENTURE」の2023年秋の陣が行われた。
 場所は福島県鮫川村で、ここでの開催はコロナ前から5年ぶり。当時私はアフリカツインで参加したのだが、福島の林道の奥深さに大感動した記憶が残っていた。この林道のボリュームと適度な難易度といい、福島と言うフィールドは東京からの距離を考えても、林道遊戯派には特筆すべきエリアだと思う。
 昨今、本イベントの人気は凄まじく、参加チケットが初日ソールドアウトするほどにプラチナ化している。これから参加を考えている方はウェブサイトなどを確認していただきたい。参加マシンも小型から大型マシン、エンデューロレーサー、サイドカーとバラエティに富んでいる。
 また会場には多くの協賛スポンサーのブースも並び、各メーカーのデモ車の展示なども行われていた。和やかな雰囲気の「パーティーや食事」を楽しみにしている方も多い。今回は、鮫川村の地元料理バイキングが「これでもか!」というほどに振る舞われていた。秋の福島は食の宝庫で、食べ過ぎてしまったくらいである。地元の方たちからもこのイベントは大歓迎されていた。

 このイベントの人気の盛り上がりを見ていて感じるのは、程よいリスクと楽しさのバランスだと思う。レース等を本格的に楽しんでいる方からすると「温い」と感じるかもしれない。だが広大な林道エリアを、荒れたエリアも含めて、二日間で400キロ近くをコマ図ラリー形式で走るということは、一般的なレベルからすると、それなりのスキルとリスクがある。
 また実際の参加者の顔ぶれを見ても、ほとんどは私と同年代の中高年男子ばかり。300万円近くもする、高価な最新アドベンチャ―マシンも珍しくない。それでダート三昧なのだから、世間から見れば贅沢な遊びである。多くが社会的な立場を持っている方たちとお見受けする。松葉杖姿で仕事をする訳にもいかないはずだ。ハードな林道ツーリングの延長としてくらいのバランス感が丁度良いのだろう。

「アドベンチャーマシンの存在感」

 「DOOR OF ADVENTURE」の過去の大会を振り返っても、ここ数年で、大型アドベンチャーマシンでの参加は珍しいものではなくなった。会場を見回しても、10年前では考えられないような光景である。私がアドベンチャーマシンでの林道遊戯にハマったきっかけは、大きなマシンをコントロールする難しさは、20キロの低速コーナー一つでも難解なクイズ問題が溢れているからだ。小型のエンデューロマシンではタイヤも含めて高性能過ぎて、自分の理解の先にスピードが進んでしまう。結果的に速い領域で走っていても、それがどのように組み立てられているのか、私自身はほとんど理解していない。
 最初に乗り始めたアドベンチャーマシンは2016年からリボーンしたアフリカツインCRF1000Lで、同機種をCRF1100Lになるまで四機種乗り継ぎ、その後V-STORM1050DEに乗り、今は890ADVENTURE-Rである。仲間たちからは日和ってフルサイズからミドルに堕落したと悪口を言われているが、その理由はソロ林道が好きだからだ。実際の経験からであるが、アフリカツインクラスになると、荒れた林道などでは路面の角度や倒れ方によっては、大柄の体格の方でも一人で起こせないことが多々ある。しかし私の場合だと、車重200キロジャストくらいのミドルクラスだと大抵は何とかなる。
 つまり余程ハードなコース選択をしない限りはソロ林道を楽しめる。それでも大きなリスクがあるのは理解しているが、ソロ林道には独特の緊張感と味わいがある。愛機と共に山の奥深くへと入っていく感覚が好きだ。これは16歳の頃に今は無き丹沢林道群をDT200R(3ET)で走り出したときに知ったものだ。

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