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目標に向かって進むことの幸福 - アフリカレースの一風景から。

タンクに入った燃料をすっかり抜いても燃料ポンプからインジェクターノズルにまで吸い込んでいる軽油は抜くことができない。だから、セルスターターを回しても、しばらくはブスブスと白煙を出すばかりで、エンジンはなかなか息を吹き返さない。白煙の臭いはやはり軽油のものだった。スターターを回し続けている間、増田はまた真剣な顔つきになった。何回かに一度火が入るようになり、少しずつその回数が増え、やがてババーン! と回転が上昇した。何度も空ぶかしをしてプラグのかぶりを取り、調子を確かめる。これなら大丈夫だ。予備タンクのガソリンを移しただけなので、次の大きな街に入ったら、すぐに、今度は間違いなくガソリンを満タンにしなければならない。
 明日には、モーリタニア国境を越え、セネガルに入る。そうしたらダカールはもうすぐそこだ(本文抜粋)

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