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100万円でISDEに参加できるか? -  エンデューロ日記 No.27

他国では「狭き門」のISDE参加だが、日本ではいまのところ誰でも希望すれば参加が可能だ。


「そろそろISDEでも走って見るか!」という程度のモチベーションで考えるのは、大抵は、そろそろシックスデイズライダーとしての限界に近付いているおじさんライダーなのだから、あまり躊躇しないでエントリーするほうがいい。おじさんの数年はあっというまに過ぎ、時期を逃してしまうことになりかねない。ストリートリーガルで走れるガソリンエンジンのモーターサイクルという存在そのものの寿命も、そろそろ尽きようとしているとするならば、今のような形の「楽園系エンデューロ」の寿命もあとわずかということになる。


FIMライセンスは誰でも取得できる

日本のライダーがISDEに出るには、まず、日本協会、MFJのエンデューロライセンスを取得する必要がある。そのうえで、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)の1イベント用のFIMエンデューロライセンスを取得する。これは、現在のところ、申請だけで取得することが可能だ。

今年、2021年のISDEイタリア大会の例で言うと、5月末までにプレエントリーを完了。その後、8月1日までにエントリー費用の送金を含めたすべての手続きが完了、ということになっていた。ただし、これらはウイルス状況下での特例で、通常は、これより2ヶ月程度は早く進行する。

エントリーの手続きは、各国協会またはそこから委任された団体がとりまとめるのが普通だ。日本のライダーであれば、まずはMFJに連絡することになる。


個人参加はできない

ISDEは、基本的には国代表チームの国別対抗戦で、チームで参加するのが基本だ。

・ワールドトロフィチーム
・ワールドジュニアトロフィチーム(23歳以下)
・ワールドウイメンズトロフィチーム
・クラブチーム
・インディビデュアル(個人)
・マニュファクチャラーチーム

エントリーの定員は650名(2021年)で、トロフィ、ジュニア、ウイメンズの国代表チームが最優先で受理される。続いて、クラブチーム。インディビデュアル(個人)は、残った枠でのみ取り扱われ、さらに、国代表チームが出場している国からは個人参加が認められていない。

つまり、日本を代表するようなライダーではない貴方が、「よしISDEに出てみるか」と思いついた場合には、クラブチームで参加するために、あと2名の構成メンバーを募る必要がある。便宜的なチームの構成ということになるが、こういうケースは少なくないはずだ。

※注.今年、2021年のイタリア大会に滑川勝之が、日本から単独で参加できたのは、今年は日本からワールドトロフィチームが参加していなかったため。
※マニュファクチャラーチーム : 3名で構成されるメーカーの宣伝のためのチーム。ワールドトロフィチームかジュニアトロフィチームに参加している選手との重複登録。


他国では狭き門なのだ


全体で650名しか参加枠がないのに対して、世界中からエントリー希望が多いので、すべてのライダーが参加できるわけではない。アメリカでは、年間を通じてISDE予選シリーズが行われていて、そこで上位にランキングされないとクラブチームでの参加もできない。イタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、それからフィンランド、スウェーデンのようなエンデューロの盛んな国でも、よほどの実力があるライダーじゃないとクラブチームでも参加することはできない。

日本では「このヒト、完走するかな??」 というレベルのライダーでも、希望さえすれば出場できるという状況が続いているのは、せいぜい、クラブチームでの参加希望が3チームほどにとどまっているためだ。これが、4チームを超えるようなことになってくると、「誰でも」とはいかなくなってくる。

出場するなら今のうち、なのだ。


いくらかかりますか?


ワールドトロフィチームでも1名900ユーロ、クラブチームクラスだと750ユーロと、エントリー費はとても安い。20年前だったらもっと安くて、300~400ユーロだった。6日間の競技である。ラリーの1/10程度だ。

エントリー費ISDE


日本からアマチュアが参加する場合は、レンタルバイクとピットサービスのパッケージを利用するのが良い。

イタリア大会で提供されたレンタルパッケージ
https://fim-isde.com/rider-services/


新車のレンタルとサポートパッケージで、現在は40~50万円程度。KTMグループのサービスが実績もあり、評判が良い。そもそもバイクの性能がいいし、元来が、ペントンというISDEのために作られバイクが源流であり、その伝統を受け継いで鍛え上げれた信頼性。もうテッパンである。

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