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音楽の力 - 編集後記から

音を記録する道具として最初のものは、トーマス・エジソンが発明した蝋管(wax cylinder)で、これは1986年から1915年ぐらいの間に普及したという。音とは空気の振動なのたが、その振動を蝋管に針で溝として刻みつけ、再生する時は逆に溝を針でなぞらせることで空気の振動に戻す仕組みである。
  CDやDVDという音源が登場する以前は、レコードというものが広く普及していて、ぼくはそれと一緒に育ち、青春期を過ごした世代である。レコードは、樹脂製の円盤に刻みつけられた溝を、針でなぞって音に還元する仕組みで、これはまさにエジソンの蝋管そのままの原理。だがそこに刻まれ再生される音の質は、現代の道具にまず劣らない。原始的とも言える仕組みをもとに、あれだけの音質を獲得するに至った技術には驚嘆するほかない。そのエジソンの蝋管が普及していた頃、ちょうど1913年にISDEの原型、つまりエンデューロの起源であるSDTの第1回大会が開催されている。どこかにきっと、その様子が記録された「蝋管」があるのではないか。あるとしたらどんな音の風景が残されているだろうか。

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