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大鶴義丹 連載 TIME TO RIDE 「2022泥まみれ総決算」 No.244より

 何だかんだと、この2022も大した怪我もなくオフロードを楽しんだ。今年のバイク一大事件は「スズキGSX-R1000」の生産終了だ。私のような昭和の「ヒザ擦り少年」にとってはアイコン中のアイコンである。言うまでもなく200馬力オーバーエンジンがユーロ5に対応できなかったことが理由だ。
 四輪ではもう目の前まで来ているEVへの流れ。良い悪い、好き嫌いを関係なくこの流れは止められない。そしてすでに次期排ガス規制「ユーロ7」の基準案が公表されていて、実施予定時期は乗用車などが2025年7月、バイクも順次適用される。また驚くのが、今回初めて、ブレーキパッドやタイヤなどから出るカスまでを規制する可能性があるという。
 オフロードにはあまり関係ない、対岸の火事だとノンビリしている方がほとんどだが、これは一蓮托生な問題であり、順次オフロード車にも影響してくるのは言うまでもない。レース車は関係ないと言う人もいるが、欧米の自然保護への感覚というのは日本とはケタ違いのモノがあり、イメージリーダーとしてクローズドされたレースも制約を受けるのは必至で、公道を使うラリーなどはモロに影響されるはずだ。KTM社なども、勢いのあるオフロードモデルを作り続けてくれているが、2ストモデルなどは、TPIで延命しているが、いつ狙い撃ちされるかは微妙な話だ。
 私も月に2回くらいは、150ccだから勘弁してくれと、2ストの「ハスクバーナTE150iで「日野カン」で煙をモクモクさせている愚民だが、数年後に2ストTPIエンジンが新車ラインナップから外れる可能性だってある。2ストの新車エンデューロマシンがなくなるというのは、泥遊び派には結構つらいことだ。

 だが、欧米などで報道されている現実を知ると、そんなことも言っていられない時代だなとため息が出る。

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