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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの…
1998年に創刊。世界のエンデューロ、ラリーのマニアックな情報をお届けしています。
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#モトクロス

カピロッシの赤、氷の顔、カンガルーの震える背中 - レゴラリータ

勝利を手にしたライダーが、それを Happy と感じるかあるいは Lucky と感じるか、そこには大きな差があるものだ。 Photo : Toshimitsu Sato - ISDE 1985 Toshi and Kayoのモーターサイクルスポーツコラム  読者の皆さんはジンクスなるものをを信じますか? 辞書で引いてみると「Jinx=勝負ごとなどで、縁起をかつぐ対象となる物事」と書いありました。  私はたっぷりかつぎます。特別ページを組んだライダーのインタビュー直前なん

TEST RIDE BETA ENDURO MY2024 - イタリアのレース哲学、その結晶

Enduro GPの現場からフィードバックした技術をエンドユーザーに提供する、レーシングに立脚するメーカーが自信を持って送り出す最新モデルをアローザでテストする。 Text : Hisashi Haruki Images : Masanori Inagaki まさにプライスレスの価値 レーシングに立脚するイタリア企業が、レース、コンペティションを愛するライダーのために、一貫したフィロソフィーに従って開発し続ける製品群である。トライアル、エンデューロの両方で常に世界タイトル

「ライフワークとは何か」 門永哲也 1-ON-1 Interview -

雪国に育った少年はいつしかモーターサイクルの世界に足を踏み入れ、夢と挫折の両方を経験する。自分のやっていることが、人の役に立たない無意味なことだと感じる日々もあった。再び前を向くことができたのはなぜか。人はなぜ悩みながらも生きるのか。モーターサイクルとともに歩む人生とは。 Text ; Hisashi Haruki Images : Daigo Miyazaki, Future7Media PROFILE TETSUYA KADONAGA 門永哲也 1975年愛知県に生ま

FIM E-xplorer world cup - 菅原悠花と保坂修一が参戦

電動オフロードバイクの世界選手権シリーズ、その開幕戦が大阪万博公園特設コースで開催。JMXにデビューしその性能を実証済のホンダのファクトリーマシンに注目が集まったが、BATON BIKESが輸入販売するCAOFENも2名のエンデューロライダーを擁してワイルドカード参戦を果たした。 Text : BIGTANK Images : 曲渕真介 次世代技術の開拓者たち  2月17日。FIM E-xplorer world cup(イーエクスプローラーワールドカップ)の開幕戦が、

LOOKING BACK - KTM690ENDURO-R

スパルタン - 骨太なダートバイク  KTM690ENDUROは、KTM640LC4 ENDUROの後継機種として2008年に発売されている。実際には2007年の夏頃にリリースされた。すでにダカールラリーで活躍し、スピード、信頼性ともに最高の評価を受けていたLC4エンジンも、このモデルから新しくなっている。シリル・デプレらが走らせていた、KTM690ラリーに搭載されていたエンジンと基本設計を同一にする。クロモリスチールのトレリスフレームを基本骨格とした車体構成も690ラリー

ジャービスの TE300i ハードエンデューロ専用

2022年にRockster Enagy Husqvarnaファクトリーレーシングチームを離れ、自ら立ち上げたプライベートチーム"GOAT"を率いるグレアム・ジャービスは、しかし依然としてトップレベルの実力を維持し、そしてハードエンデューロの"象徴"としての地位を堅持し続けている。  マシンは長年の愛機であるHusqvarna TE300のフューエルインジェクション搭載モデル。彼の改造に対するスタンスは常に「シンプル」であること。虚飾を嫌い、最低限のプロテクションしかその外観

「王者は挑戦をやめない」 インタビュー スティーブ・ホルコム

2023-2024 Enduro GPシーン最も注目を集めた大型移籍。最強を誇るBetaファクトリーチームからRed Motoへ。王者スティーブ・ホルコムの真意に迫る。  2015年、Enduro GPのジュニアクラスに彗星のごとくデビュー。フル参戦ではなかったためジュニアタイトルの獲得は無かったが、シニアにステップアップした翌2016年はE3クラスで初の世界タイトルをつかむ。以来、Betaファクトリーチームのライダーとして5シーズン、排気量クラスでのタイトルを含めると9度

続・フットパスライツ

またひとつ、立ち入り禁止の砂浜が増えた。 みんなが、釣りや、散策、あるいはバイクで走って楽しんできた場所に、ある日突然、鉄柵とゲートができて、入れなくなってしまった。 風力発電所ができたからだ。 以前に書いた記事を貼っておく。

エンデューロ日記 No.49 - トレイルの文

ガレージを出て街を抜け郊外の道へ。 山野を駆け回り、しばらく走ったらまた街へ戻り、家にたどり着く。 今では、ダートバイクでそんな「普通の」楽しみ方ができる環境も貴重になってしまったが、ダートバイクの楽しみというのは、もともとはそんなものだ。 トランスポーターが必要で、モトクロスースにいかなければ走る場所もない。いや、モトクロスはモトクロスでそれはいいのだ。だが、バイクというのはそれだけの乗り物ではない。もっと広く、あらゆるところに出ていけるものであるとするならば、こんな

エンデューロ日記 No.48 - 「無冠の帝王から真の勇者へ」

これは、ミカ・アオラ - Mika Ahola というフィンランド出身のエンデューロライダーのことを書いたものです。彼は、長く、エンデューロ世界選手権と、インターナショナルシックスデイズエンデューロで活躍し、2012年1月に、練習中の負傷が原因でこの世を去りました。 文中にありますが、長く無冠の帝王と呼ばれながら、ライダーとして普通はピークを過ぎたといわれる年齢になってから、なんと5年連続で世界タイトルを獲得するに至ります。 真摯にこのスポーツに取り組む姿勢。無冠の帝王と

エンデューロ日記 No.47 - 速いマシンは美しいのか。

最近はあまり聞かなくなったが、レースに携わる人たちの間でよく使われた言葉である。レースおたくのような若者だったぼくは、RIDING SPORTS等のレース専門誌をよく読み、やはりこのフレーズによく行き当たった。そして当時は、それを額面通りに受け取り、例えばそれは機能美のようなものを指しているのだと思っていた。フォーミューラーワンのレーシングカーや、ホンダやヤマハのGP500マシンなど、いかつくも流麗な形をしていて本当に美しい。空を飛ぶ鳥の美しさも、一種の機能美といっていいかも

Factory Bike - タディのインドアウェポン - GASGAS 4T 350

エクストリームエンデューロのマエストロがFIMスーパーエンデューロとAMAエンデューロクロスという2つのインドア選手権で勝利するために作ったスーパーウェポン。フルモデルチェンジした4ストローク350マシンはどのようなコンセプトで仕上げられているのだろうか。 Text & Images : Future7Media Team 狂気のレースを戦う 異常な兵器の真実 私たちがファクトリーマシンを紹介するこのPRO-BIKEのシリーズでは、通常、パドックで撮影できそうなバイクを見

工具の世界 「第8回 整備を頼る」 No.248より

Text : 山田卓弥 プロの存在理由 工具の業界に身を置き長年にわたり工具の販売を行ってきまして「工具を販売する工具のプロ」だという自負はありますが──それでは実際に工具を使う作業、つまり整備の腕前もプロ並みなのかと言われれば全く違いまして。工具販売の仕事をしてますのでプロメカニックとも必然的に付き合いが多くなりますからプロの作業現場もたくさん見てきました。そのおかげもあって普通の人よりは少しだけ詳しいとはおもいますけど、ではプロ並みの作業が可能かと言われれば否なわけです

Parc Ferme 「エンデューロのメカニックとは?」 No.248より

Image : ISDE France2022 - Future7Media Text : Hisashi Haruki  エンデューロという競技の起源は、モーターサイクルとそれに関連するイクイップメントの性能向上、そしてモーターサイクル操縦技術の鍛錬に資する「トライアル=試験」にある。その目的を現在まで継承していることから、他のモータースポーツとは違った特徴を持っている。その大きなもののひとつが、モーターサイクル固有の信頼性を問うものであること、同時に、それを操る選手本人