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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの… もっと読む
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2020年11月の記事一覧

No.214から - 帝王グレアム・ジャービスのインタビュー

お断りするまでもなく、これは2年以上前のインタビュー記事である。だが、驚くべきことに、グレアムはエクストリームエンデューロの世界で、未だにトップを走り続けている。ゆえに、彼の言葉は普遍的な価値をもって我々の心に届く。今だからこそ読んでほしい金言の数々。 “It's inevitable that the young guys will overtake me and I'm preparing myself for that. …But the feeling of kno

レゴラリータ - トシミツandカヨコのエッセイ - 「全開テスト」

今は昔。って、今昔物語じゃないけど、6デイズに0-200m「全開テスト=加速テスト」がありました。昔からシックスデイズに興味のある人たちは知っているかもしれないけれど、知らない人たちも、当然にいると思います。つまり、アクセル全開で0-200mを突っ走り1/100秒のタイム計測するという簡単明瞭なテストなんですが、このタイムも各クラストップの選手との差をポイント化して加算されてました。 アクセラレーションテスト Acceleration Test 写真・文 / Toshimi

草原にて - 6日間競技の取材

ISDE=FIMインターナショナルシックスデイズエンデューロの取材は、大抵、スタートの前日か早くても前々日に現地入りということが多かった。ライダーは、1週間ぐらい前には到着して準備しなければならないが、ぼくたちはそんなふうにギリギリの日程でもよい。そのほうが、取材にかかる経費は安くつくし、日本での日常の仕事にも影響が少ない。インターネット、モバイル環境が無い時代、日程を切り詰める考え方は今より切実だったかもしれない。 写真・文 / 春木久史  ISDEは、車検、テストウォ

レゴラリータ - トシミツandカヨコのエッセイ

サトウトシミツ&カヨコがオランダに拠点を置いて世界のオフロードシーンを取材していた頃に取材したものを中心に、いろいろな話を交代で執筆しています。 蚊の話Kayoko Sato  プーン。たとえ熟睡していてもこの羽音を耳にすると思わず目がさめてしまうのは私だけではないはず。今年もやってきました蚊の季節!! 網戸を閉めているのに、なぜか蚊や小さい蛾が進入してくる古屋の我が家。思えば、ヨーロッパで取材中にも虫たちにはいろいろと悩まされたなぁ。            ●  北欧の

連載 TIME TO RIDE  Vol.5 「インジェクション様様」 大鶴義丹

BIGTANK Back No.214からの掲載。本誌では、2020年も連載中です。  ハスクバーナのラストキャブ戦士・2017年TE250から、2スト革命児である2018年TE250iに乗り換えて2ヶ月が経った。   山やコース限定で走行距離は300キロを超え、やっとこのエンジンが自分の身体と右手に馴染んできたこの2017年の年末、改めてこのマシンに乗り換えて正解だったと思っている。  車体に関しては、メーカーもアナウンスしているように、Fフォークの一部など以外はアップデ

Look Back 2004年のSUGO2デイズの記事を読んでみると、なかなかしつこく「エンデューロとは何か」を書いている

今週末(2020年11月21-22日)、JEC=全日本エンデューロ選手権のSUGO大会が開催される。SUGOは、日本にエンデューロのチャンピオンシップが創設されるきっかけになった競技会という意味で、ぼくは繰り返し「中興の祖」という表現を使ってきた。 当時、この競技会は、自らもISDE(国際6日間エンデューロ)に参加するライダーだった、藤原広喜が中心となり、地元の志高い愛好家たちによって運営された。日高のエンデューロも知られていたが、SUGOの大会のほうが競技性は高かったよう

ルンペンストーブ

文 / 春木久史  気がつくと、また亡父のことを考えている、ということが多い。他界して数年が経つのだし、それほど特別に思っていたわけではないのだが、やはり肉親というものなのだろう。人は死んだからといって、関わりのあった人たちの心からすっかり消えてなくなるということは、なかなかないのだとも思う。好きとか嫌いということだけで整理できるものでもない。それが人間というものだろうか。  小さい頃は、よく、膝の中に入れてくれたり、側に置いたりしてくれた。大人たちが集まっている時も「こ

連載 TIME TO RIDE  Vol.4 「庭にEDコースという夢」 大鶴義丹

 北海道の美瑛町という場所に2ヶ月近く滞在した。「イチから住」というテレビ番組での「移住体験」である。  東京での仕事もあったので月に一回以上東京に戻ることもあったが、合計で2ヶ月以上の時間を美瑛町で過ごすことになった。  もちろんオフロードバイクも持ち込んだ。番組ということもあり、今回は自分のマシンではなくホンダにサポートしてもらったCRF250Lである。  このマシンは2017年型であったが、私は過去に2014年型の同機をカスタムしながら3年近く乗った経験があった。足回り

BMWの激レアマシン、G450Xのオーナーに贈るアーカイブ ― スペイン・マラガでのテストから

BMWの激レアマシン、G450Xのオーナーに贈るアーカイブ ― スペイン・マラガでのテストから 2007年、BMWが突如発表した本格的エンデューロレーサーがG450Xだ。なぜBMWが? 一説には当時のBMW社長が「KTMの一人勝ちが気に入らなかったから…」とも言われた。とにかく、BMWは、まったく新しいエンデューロモデルを、ファクトリーチームの体制で当時のエンデューロシーンに投入した。ライダーは、ユハ・サルミネン、アンダース・エリクソン、デビッド・ナイトと一流。さらにハ

トレイルは金色に光っていた。

カラマツの落ち葉が黒土を覆ってふかふかしたシングルトラックは、なんて贅沢なものだろう。冬を目前に、今年最初で最後のトレイルを走った週末のこと。 文 / 春木久史 11月の週末。今年初めて日高のトレイルを走った。この日のためにBeta RR4T 350は、陸運局に行ってナンバー登録をしてきた。350ccなので車検がある。でも車両の購入時に、予備検査だけを通してもらっていたから、あとは書類だけの手続きである。 例年であれば、5月の連休あたりから、ほぼ毎週、仲間たちが集まって

No.231から エンデューロバイク「本物を所有する愉悦に浸る」

世界のトップライダーと同じバイクを誰でも買うことができる。別にフェラーリを買うようなお金が必要なわけでもない。ぼくたちは、ただバイクを買うだけではなく、憧れの世界に近づくためにそれを求めることができる。 Text : Hisashi Haruki Images : Future7Media, ENDURO.J バイクを所有する意味 新しいバイクが届くのを待つ時間。ライダーはみんな子供の頃に帰ることができる。きっと素敵なプレゼントがもらえることが約束されているクリスマスイブ

オフロードレーシングとエンデューロ - JEC主催のオフロードバイク大試乗会

MFJ全日本エンデューロ選手権シリーズのプロモーション活動とともに、情報発信やエントリー受付の一元化、またエンデューロアカデミーや、初心者向けの競技会など、エンデューロの普及活動に尽力しているJECプロモーションが、毎年シーズン後半に開催しているのが、「オフロードバイク大試乗会」だ。当初は、成田MXパークでだけ開催されていたが、ここ数年は、関西、プラザ阪下でも開催されるようになり、より広い地域のライダーにとって参加しやすいものになった。 オフロードバイクとエンデューロバイク

No.231から 「マディの接近戦」 JECルスツ2デイズ

JEC RUSUTSU 2DAYS ENDURO MFJ全日本エンデューロ選手権シリーズ第2戦 2020年9月19-20日 ビッグベアOHVパーク(留寿都村) Images : Masanori Inagaki, off1.jp 6ヶ月の空白を経て再開した全日本エンデューロ選手権、その舞台は北海道ルスツ。いつもの日高と違い、スプリントエンデューロに近いフォーマットでの勝負になった。トップライダーたちを迎えたのは、北海道らしいハイスピードなレイアウトのスペシャルテスト。目ま

NO.231から - ENDURO GP 空白を埋める激闘が展開

9月。エンデューロ史上最も長いシーズンオフが明けて、トップレベルのライダーたちがステージに戻ってきた。最高峰のGPクラスには、ジュニアからステップアップしてきた若き才能も加わり、低迷していたシーンに新風を吹き込む。11月の最終戦まで、短いシーズンに完全燃焼することが彼らの使命だ。 FIM ENDURO WORLD CHAMPIONSHIP FIMエンデューロ世界選手権 第2戦 イタリアGP 2020年9月25-26-27日 スポレト Images : Andrea Bell