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BIGTANKマガジンは、年6回、偶数月に発行されるエンデューロとラリーの専門誌(印刷されたもの)です。このnoteでは、新号から主要な記事を再編集して順次掲載。バックナンバーの…
1998年に創刊。世界のエンデューロ、ラリーのマニアックな情報をお届けしています。
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2020年10月の記事一覧

No.231より ParcFerme 「自由の獲得」

「ナンバープレートがデカい」ということに気がつきましたか? 今回、イタリアGPの写真をたくさん掲載しているけれど、エンデューロマシンに取り付けられているナンバープレートが大きい。日本の自動2輪のナンバーよりもちょっと大きい。特に天地に大きく、いかにも邪魔になりそうだ。マテオ・カバッロのShercoにも、ヴェローナのtmにも、もちろん大神のBetaにもそういうやつがついているのを確認できるだろう。 Text : Hisashi Haruki Image : Andrea B

BIGTANK 創刊号 1998年 通巻1号スキャン

1998年1月に発行した弊誌創刊号をスキャンしてみました。創刊からしばらくは、モノクロだけで創刊号は24ページしかありませんでした。 それでも、唯一のエンデューロ専門誌でした。 創刊した理由について、後ろのほうのページで書いていますが、今もやっていることが全然変わっていないことに愕然とします。 当時、すでに、ジョンティ・エドマンズの(現在のENDURO21.COM主宰)と協力していて、欧州からの情報を入手していました。 ISDEとエンデューロ世界選手権、現在のENDU

No.231より ヤングガンのイタリア研修 - 19歳保坂ヨシカズへのインタビュー

知りたいのはワールドレベルの現実。大神智樹による2度目のENDURO GP参戦に同行した保坂修一。その眼に映ったものは何か。 Text : Hisashi Haruki Photo : Masanori Inagaki 初めてのイタリア。感じるものが多かった ユース、ジュラアのライダーたち彼らの世界を知りたい ENDRO GPを意識するようになったのは2018年にIBランキング1位になって、IAに昇格したぐらいからです。ガミィ(大神智樹)が2017年のイタリアGPに参加

No.231より Reason to Ride - 大神智樹

ウイルスの恐怖が世界を覆う中、それでも未来へと向けた計画は実行された。この困難な時期になぜ、再び世界最高峰の舞台を目指したのか。巨大な重圧とと戦う大神智樹の武器とは何か。 Text : Hisashi Haruki Images : Andrea Belluschi 今回はBetaのセカンドチームであるBoano Racingのサポートを受けた。ブラッド・フリーマン、スティーブ・ホルコムもここからファクトリーチームにステップアップした登竜門 雨でエクストリームテストは極

シコクベルグ - 社会と向き合うモータースポーツを作る人たち

「シコクベルグ」は、一見、閉鎖環境で開催されるイベントに見えるかもしれませんが、そうではありません。社会環境と向き合う、という意味では、真にエンデューロ的というべきものだと、ぼくは考えています。 文 / 春木久史 2020年10月25日。北海道からの強行軍でしたが、四国、新居浜で開催された「シコクベルグ」の取材に行ってきました。本当は、同日開催のJECいなべに行かなければならなかったのですが、前日にどうしても外せない仕事が入っていて、土曜日開催のJECいなべには行けず、で

No.223から 「スティーブ・ホルコム 無敗の競技者根性」

弊誌は隔月刊で紙の雑誌を発行しています。このnoteは、その最新刊の記事を、発行の翌月のうちに随時掲載すると同時に、バックナンバーの記事や書下ろしの記事を掲載しているものです。2020年10月25日には、最新刊のNo.231が発行されましたので、近々、その最新刊の記事が掲載されはじめますが、この写真は、No.231の表紙です。 9月にフランス、イタリアでENDURO GPが遅い開幕を迎えました。そのENDURO GPの写真の中から、表紙にはこの写真を選びました。リアフェンダ

回想 「エルバ島、3日間の時間旅行に遊ぶ」

Itde2015 Isola d'Elba Revival インターナショナル3デイズエンデューロ・エルバ・リバイバル 野口さんと1974年式のGILERA 125GSがクロステストを攻める。野口さんはトゥアレグラリーに単独で参加するなど海外イベントの経験豊富なライダーなのだ かつてナポレオンを領主とした古都の夜。エルバ島はイタリア、フランスからの観光客で賑わうリゾート地。ヨットハーバーにはリッチマンたちの船が並び、その横をエンデューロバイクが駆け抜けていく Text

「日本初のワールドトロフィチームが出場したニュージ―ランド2006」連載 エンデューロ・シックスデイズ 1994~2006、ライダーの理想郷を探す旅 その10

鈴木健二が初めて参加したのもこの大会だった。日本人が初めてISDEのゴールドメダルを獲得する15年前の出来事。 文 / 春木久史  ぼくが傍観者として見て来たISDEの記録は、これでいったん終わる。2005年に、初めてMFJ全日本選手権シリーズが開催された翌年、日本のシックスデイズ愛好家たちは、その選手権から選抜して、初めて日本のワールドトロフィチームを組織した。これは、関係者にとって、悲願と言えば大袈裟になってしまうが、長く抱いてきた夢のようなもので、それがついに実現し

手軽になった海外レース

海外のレースに参加するのは、以前に比べるとずいぶん手軽になった。情報の入手も容易だし、レンタルバイクなどで参加する方法も一般的になってきた。でも、根本的に求められる能力は変わっていない。 かつて、メカニック一人、ライダー一人という体制で、パリダカを3年連続で走り切ったプライベーターがいた。 文 / 春木久史

エンデューロライダーの顔

夕方のわずか15分の間にタイヤ交換をすることが、エンデューロそのものなのか。また、誰の助けも借りることなく、2ストロークエンジンのピストンを交換して、フロントフォークまで交換。それを朝の10分でやってのけることがエンデューロライダーとして不可欠なスキルなのか。結果としてすべてをうまくやって、ゴールドメダルを獲得することが最高のエンデューロライダーの証明なのか。答えはNOだ。 春木久史

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.39

著 / 山田徹 第六章 最終章 其の十五 地図上の旅ラリーレイドモンゴルという名のラリーは、これで全ての幕を下ろした。悲劇的な終わり方だが、とにかく、終わった。開放感と喪失感が交互に訪れ、心を揺さぶる。何から開放されたのか。何を失ったのか。それをハッキリさせることも必要だった。 サラリーマンの生活を終えて二十年。いったいどれほどの距離と時間を、ラリーに捧げたのだろうか。虚しさだけを感じていては立ち直れない。ケジメをつけなければならない。 やめると決めたのは自分だが、そのこと

彼方へ - Go Beyond - 連載 Vol.38

著 / 山田徹 第六章 最終章 其の十四 3速すぐに検視官たちが到着した。陽は少し傾いた。日本大使館の参事官も到着。あたりはにわかに騒然としてきた。丘の上に腰を下ろし、作業風景を眺めるしかなかった。 「GPSは生きてそうだなあ、デイバックの口はしっかり閉ざされたままだ」 と眺めながら考えていた。GPSを見れば軌跡も時間も全てが記録されているはずだ。検視官は、デイバッグのファスナーを開けて所持品を並べ始めた。きちんとジップされたナイロン袋に封入されたパスポートなどは、まるで新

No.229より 「いにしえの砂漠王」 Time to Ride 大鶴義丹

 高校生のとき、神奈川県は相模原の国道16号沿いにある「TREAD」というオフロードショップに出入りしていた。通っていた高校はその近くの町田市にあった。  同店を営むK社長はバハ1000などにも出場し、雑誌ガルルの誌面などにも指導者として出ていた。過激な泥系の走り屋がウヨウヨしている店の雰囲気で、記憶の限りでは常連の中では私が最年少であった。  店に通うきっかけとなったのは、同店から30分くらいの距離にあった、今は宮ヶ瀬湖の湖底に沈んでしまった丹沢林道、そこで知り合ったX