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式波アスカと式波オリジナル

式波アスカの幸せのカタチを考える時に、その生い立ちを無視することはできない思う。まず、事実関係を整理したい。


最初に、アスカの「パパはわからない、ママはいない」という台詞を考える。もしアスカが式波オリジナルのクローンだとするならば、パパもママも「いない」となるはず。台詞も「わたしはオリジナルのクローン」とでもなった方がしっくりくる。でもそうじゃないということは、羊のドリー的なクローンではないと思われる。【ここまでは事実】

【ここからは推測】 そうすると考えられるのは、ドナーとなる実験用卵子(人間のものであるが実験用に提供されたものであり、DNA的には母親であるが倫理的に母親ではない)に対し、精子バンク的なところから調達した精子(子供を作るための精子であり、特定も可能で、父親になり得る)を受精させたものが式波シリーズのDNAではないか。これならば、「パパは(いるけど)わからない、ママは(実験用卵子なので)いない」となって矛盾しない。

(念のために書いておきますが、クローン生物と言ってもDNAが同じなだけで、全く同じ生物と言うわけではないです。基本的に同じDNAを持つ一卵性双生児が異なる人格を持つのと同じ。いわゆるクローン生物は、同じDNAを持つ生物を人為的に作り出すことです。つまり、仮に14歳の式波オリジナルのクローンを作ろうとした場合、受精卵にそのDNAを入れ替えて育成することになるので、14歳差の一卵性双生児が生まれるようなものです。全く同じ個体を作り出す技術はエヴァの世界でも無いと思われます)

もうひとつ、式波オリジナルの目的を考える。オリジナルがゲンドウ=NERV(orゼーレ)に与しているということは、人類補完計画、即ちインパクトを起こすことが目的。インパクトを起こしたいと考えるのは、ゲンドウとゼーレ、そして使徒。ゲンドウとゼーレは除外。使徒で考えると、正体がわかっていない使徒が一体だけある。第11使徒だ。【ここまでは事実】

【ここからは推測】 第11使徒は肉体を持っておらず、その器として式波シリーズが作られたのではないか。カヲルのような存在(カヲルはリリンの肉体を与えられた使徒)になる予定だったのだが、式波シリーズには第11使徒の魂が上手く定着できなかった(生命の書に名が記されていなかったから?)。それが多くの式波シリーズが消えていく描写。式波アスカは第11使徒のバックアップとして枠外として育てられ(こちらは普通の人間なので問題なく育成可能)、第11使徒に肉体を与えることが上手く行かなかった場合に使う予定だった。アスカはそれを知っており、「わたしのオリジナルか!」のセリフは、あくまでもNERVやゼーレにとって必要なのはオリジナルで自分はバックアップだ、と言う意識から来るものではないか。

第11使徒である式波オリジナルは魂の状態で第13号機の中にいて、式波アスカの肉体を乗っ取ってインパクトの贄となった。使徒化したアスカを狙ったのは、魂の定着が式波シリーズの器に対して上手く行かなかったように、アスカが使徒化していないと同一化できないのかもしれない。つまり、ゲンドウはアスカが第9使徒に取り込まれることまで織り込み済だった。
マリが後にシンジに、「第13号機の中に姫の魂が残置されている可能性がある」と言ったのは、肉体はオリジナル(第11使徒)に持っていかれたけど魂は残っているはず、ということではないか。


結論。
・式波オリジナルは魂しか持たない第11使徒。インパクトを起こしたい存在。
・式波アスカは、オリジナルのために用意されたリリンの器と同一のDNAを持つ人間であり、オリジナルのバックアップだった。
・最終的に、使徒化したアスカは第13号機の中に魂の状態でいたオリジナルに肉体を奪われ、フォースインパクトの贄となった。
・式波アスカの魂は第13号機の中に残置されており、シンジによってサルベージされた。

以上が自分の仮設です。

実はこの仮説、自分としても完全に腑に落ちているわけではありません。ただ、仮定条件を積み重ねていくと、この仮説を否定する要素が今のところ見つからなかった、というところです。



補足。インパクトを起こすためには、リリスとアダムス、もしくは使徒の融合が必要。リリスのコピーである初号機と対となる第13号機もリリスと同様と考えられ、インパクトのトリガーと成り得る。使徒化したアスカ+第13号機でもインパクトは起こせたが、DSSチョーカーが発動してしまうので、オリジナルにアスカを取り込ませ、インパクトを起こしたのではないか。矛盾はしていない筈。これでフォースインパクトが発動、生命のコモディティ化が進行する。

補足2。綾波シリーズの場合は、DNAは言うまでもなくユイ。魂はリリスであり、ユイではない。リリンの祖たるリリスの魂なので、定着も上手く行ったのではないだろうか。
また、白波は幼少期から白波として育ってきたからこそ、劇中の白波になっている。ゲンドウの影響も大きい。対して黒波は、いきなりポンとリリスの魂を肉体に植え付けられた存在。だからユイの面影もないし、ゲンドウも執着を見せない。器がある限りいくらでもコピーが作れるし。このことからも、白波と黒波は、DNAこそ同一だが全く別の個体であることがわかる。シンジの白波に対する「もうひとりの君」はそれを指している。

補足3。というか蛇足。式波オリジナルが旧劇から来た惣流という説は無理筋だと思うので考察から外す。そこだけ旧作との物理的なリンクがあるのは変。そもそも惣流がNERV(orゼーレ)側に与してインパクトを起こす理由もないし。

補足4。エヴァの話の構成として、全く言及がないものが物語に影響を及ぼすことは無いと思う。式波オリジナルについても同様。オリジナルが何者かについて言及はないが、エヴァの物語から推測できるものがオリジナルであるはず。何の所縁もない式波オリジナルがポンと登場してくることは考え辛いので、何かしらの繋がりがあるものが式波オリジナルのはず。


最後に、完全な妄想。
マリは冬月研究所での自分の研究結果が、自分の知らぬ間に式波シリーズに転用されていることを知り、式波アスカに関与することを決意。自分がエヴァパイロットになるための器(自らのクローン)を作って、自分の魂をそこに植え付けたのではないか。新劇の世界では〇波シリーズであればエヴァに乗れる。エヴァに乗れれば自分が結果として生み出してしまった式波アスカを見守ることができる。ユイとの約束(たぶん「シンジをよろしく」とかなんとか言ったもの)も果たすことができる。破冒頭の「自分の目的のために~」というセリフはそれかと。時系列的には、マリがアスカと同年齢と言うことならば矛盾しないかな。マリは「シン」の後、シンジやアスカを永遠に見守るために、ユイのような神に等しい存在になったと思っています。


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