これから新しいことを始めよう

昔の携帯の検索履歴に残っていた、大学時代に付き合っていた恋人のSNSを見てしまった。



酔っぱらっていた。一日中、せせこましく会社で働いていて、人と話すことなく、人が人と話しているのを聞いているだけで、一日が終わった。一日が終わろうとしていた。ここ数日はお酒の力を借りて孤独を紛らわせていたけれど、味気ない日々に刺激を送り込もうとしていたけれど、酔いが醒めたあとの、あの虚しさに襲われるたんびに、「お酒なんて飲まなければよかった」と後悔しても、翌日の夜にはまた孤独に襲われて、お酒を飲んで馬鹿になっている。



なにげなく見たそのSNSで、「地震があった。不安になって、彼氏(同じ地域に住んでいる)に連絡したら、『大丈夫だよ』とすぐに連絡が来て、ホッとした。私は一人じゃなかった」と呟いていて、そっかー、新しく恋人が出来たんだ、よかったね、これでもうあなたのSNSを見ることはないだろうと思った。



なんとはなしに、でも彼氏が出来たことを呟いていなかったな、いつ出来たんだろう、と軽率に呟きを遡った。まだコロナが日本を襲う前の、ちょっとそわそわしている時期にその子は呟いていた。



「10年前の私へ。今付き合っている彼氏に合わせて疲れるの、人生の無駄だから。初めて出来た彼氏にあなたは浮かれているかもしれないけれど。たぶん信じないだろうけれど」



今付き合っている彼氏、それはおそらく、二股をかけられていないとしたら、それは私の事だった。



2年以上前の呟きを今更読んでなんだという話なのだが、なんだか今まで過去にしがみついて、たまに気分よく思い出していた過去が馬鹿馬鹿しくなった。連絡先に残っていたその子のアドレスを速攻で削除した。ついでに、いまだにいまだにたまに思い出してしまう、去年付き合っていたようないなかったような女の子とのトーク履歴を、連絡先を削除した。全てを消し去った。せいせいした。



携帯にはもうなにも残っていない。今までなんとなく残していたもののせいで、私は過去を美しいものとして、素敵なものとしていたけれど、実際に戻ってみたらしんどいんだろうな。



いつまでも過去を引きずっていないで、さっさと前向けよと思った。



今年中に好きな人に出会う。そして、何度目かのデートの末に告白して、結婚を前提とした付き合いを始める。一人でも大丈夫じゃろ、と思っていたのは本当は虚勢で、本当は、些細なことでも話し合えるような存在がいてくれたらいいなってずっと思っていたんだよ。今の、変なテンションの私なら、見知らぬ相手との面倒と思えるメッセージのやりとりすらもマメにしたいと思う。



なんだかんだで、結婚したいんだよ。結婚したいんだよ。


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