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日本語教師日記92.法則がわかれば怖くない(22)発音指導③実践(おまけに促音・拗音)


発音記号は、辞書を見て、音声の助けがなくても発音するためには大変便利です。

でも、日本語のレッスンでは、こちらが発音記号を暗記する必要はありません。
私たち日本語教師は日本語のネイティブで、しかもよく動く口・唇・舌・顎を持っていますので、無敵です。

ただし、「生徒にとって言いにくいその音」は、
自分の口の中で、どこをどう使い、どんな動きをしたかを、
よく考えておく必要があります。

私は今でも、目を空中に据えて、口を動かしているときがありますが、
「あれはどう教えると、正しく発音してもらえるかなぁ・・・」
と考えているときです。
発音に限らずですが、今もああでもないこうでもないと考えています。

発音強化祭りのレッスンでは、
「その音の作られ方の説明」⇨「横顔図で説明」⇨「確認で両手を使って説明」
ということをしています。


【言葉の最初に来る「つ」の音】

言葉で説明します。
「言葉の始めに来る『つ』は、「押し出すような強い音」です。
  それから、『つ』からは、母音の「う」の音が消えています。
 そうしないで、「つ〜まらない」「つうーなみ〜」と言うと、
あなたの避けたい「外人ぽい音になってしまいます。
では、 「cats-なみ 」と言ってみてください。
うん、ちゃんと「つ」が、母音を落とした強い音になっていますよ。
もう一つやってみましょうか。
「pots-oh!」と言ってみましょう。
こんな言葉ありませんが。
はい、また ちゃんと、日本語の「つ」ができました。

こんな横顔の絵を見せます。


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これは日本語の「す」を出すときの口です。
上と下の歯の隙間に、舌が近づきます。
どこにもくっつけずに、強く息を送り出しましょう。
これが「す」です。

次に「つ」との違いを、見える形にして示します。

画像2


これは日本語の「つ」です。
「す」と似ていますが、舌の先を一瞬 上の前歯の後ろにつけてすぐ引っ込めると、日本語の「つ」になります。
では、「す」と「つ」を比べてみましょうか。
一緒に 言います。
すすすすすすす。
できています。
次は「つ」です。
歯の裏に舌先をつけます。忙しいですよ。
つつつつつ。
おお、できています。
じゃあ、リピートしてください。

「つ」の言葉です。

つまらない。
つくえ。
つなみ。
つよい。
つみぶかい。

ばっちりです。


【日本語の『らりるれろ』】

言葉で説明します。
「日本語の『らりるれろ』を、英語のLとRの間ですとよく言いますよね?
でも、LとRの間の音って?と思うと、私もどうしていいかわかりません。
まず、Rは、忘れてください。この世に、Rはないということで。
英語のLは、強くて、粘っていますね。
London, listen, lady, lock..
ゆっくり言ってください。
Lの音は歯の裏にそって前に行っている感じがしませんか?
日本語の「らりるれろ」は、舌の先を上の前歯の裏に当てますが、
ぴょんと飛び出してタッチしたら、すぐ慌てて奥に逃げ帰っています。
すごく早く、らららら! って言ってみましょうか。
あ、あなたのそれは、英語のLです。
それは、なんなら、歯の裏を滑って、こっちから舌が見えています。
日本語のらりるれろは、そこまで重くないし、粘りません。
かろやかに、ちょこっと歯の裏を叩いて、さっと引き上げる。
じゃご一緒に。
ららららら!
りりりりり!
できてますよ〜。

位置的には、L とそこまで違わないので、絵は飛ばし、
手を使って、L と らりるれろ の 重たさというか、ねばっこさを、
表現したりしています。


ちなみに、拗音、「りゃ」「りゅ」「りょ」も、皆さん苦手です。

りよかん(旅館)
りよこ(旅行)
りより(料理)

になる人がとても多いです。

そのときには、秘伝、拍手法です。

パン・パン・パン  と手を叩きながら、発語します。

パン・パン・パン!
りょ!こ!〜 う!

拗音、大小のひらがなは、二文字でひとつの音、
一拍であることを、ここでしっかり感じてもらいます。

この必勝・拍手法は、促音の矯正にも有効です。

促音すなわち、小さい「っ」が苦手で、

きぷ(切符)
はとり(ハットリ)
きてぇ(切手)

と言ってしまう人に教えるときに使えます。

ぱん・ぱん・ぱん!
き・・っ・・て_!

ぱん・ぱん・ぱん・ぱん!
は・・っ・・と・・り

これですぐ直ります。


以上実は、みなさんすぐ直ってしまうので、
わざわざ一投稿にするまでもないものです。

ただ、自分でやっていて、面白いなぁと思ってしまい、
結構好きなところなので、こんなことをやっていますと、お話ししてみたかったのです。

他にもまだ少しありますが、この辺でおしまいにしますね。


サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。