見出し画像

エッセイ254.「東京暗黒街・竹の家」−④

この映画、夫とは一回目、突っ込みながら大騒ぎで見ていましたが、
日本語字幕がありませんので、アメリカからわざわざ5、6人で来たサンディー親分や子分たちが、本当には何を企んでいるのか、よくわからないで見ていました。

翌日にまた見たくなって見ていた時は、夫は在宅仕事で忙しそうにしていたので、そこにいるからと言って、「この人今なんて言った?」などと、訊くことは遠慮しました。
なので、2回も見たのに、結局肝心なところがよくわからりません。
すみません。

最初にマシンガンを奪う列車強盗も、そのあとそれを日本のやくざに売っているようでもないし、1日に一度、9000円のみかじめ料をパチンコ屋さんから巻き上げる(1米ドル=360円)以外は、エディやギャングたちが何をしているのか、ひまひとつわからないのです。

悪党の子分たちはいつ見ても、ガラス障子の玄関を開けたらすぐのところの応接間で、煙草を吸ってウイスキーを飲んでピーナツを食べて、

「俺はあいつが気に入らん」
「なぜだ」

なんて、組織内の人事に文句を言ったりしているだけ。
たまにビリヤードテーブルに移るけど、本気でやってないし。

考えるとこれは、Far Eastの日本の、まだまだ知られざるジャパンについていろいろ考えてみようという、文化映画の側面もあったのでしょうか。
ないか。

それはともかく、さて、せっかく日本にロケにまで来たので、エディもちゃっかり観光しています。
床屋さんでは、本来なら部屋に床山さんが来てやってくれるところのまげも、幕下力士なのに結いに来ていたり、おかみさんはおかみさんで、エディが日本語をわからないのも気にしないで、
「わたくし川上が好きですの。あちらの野球は面白いでしょうねぇ」
(昔、川上哲治という大人気の選手⇨監督が昔いました)
とか、しゃべりまくりです。
日本人なのに全然シャイではありません。

散髪してさっぱりしたエディは、このあと鎌倉八幡宮に参拝。
露座の大仏にも脚を伸ばして拝んだあとは、どこかの宝物館も見学しています。そこでは、日本語がおぼつかない日本人デカ、早川雪舟警部も唐突に参加し、仏像などを一緒に見ながら、これからの相談をしています。
しかし、東海道線で時間をかけて鎌倉まで行かなくても、
東京の本部でも相談できたのではないか。
余計なお世話か。


一方マリコです。

「さあ、朝食にしましょう。その前にお風呂にお入りなさいな。
銀座で買ってきたフレッシュ・エッグをお料理しますわ」

などと前の日の朝はもう、いそいそしていました。
(昨日の記事ご参照ください)。

今日も袷をきちんと着込んで、水上生活のプラットフォームに並んだ食料品店で買い物をします。
「鯵はおいくら?」
「5枚で40円です」
「4枚いただくわ」

・・・ちょっと待ってマリコ。おばさん、計算が大変よ?

そのあとマリコが、わざと近づいてきた感じの二人組の女性に、
おはようございますと挨拶をすると、見事に丸無視されます。
やな感じです。
気を取り直して、戸口に出ていた女の子に、
「◯◯ちゃん、お菓子あげましょ」
とお菓子を差し出すと、その子のお母さんが出てきて、
「そんなのよしとくれ! この子はお菓子なんか要りません!」
とえらい権幕のお怒りよう。

そう、たぶん、怪しい外国人と一緒に暮らしていることが、ご近所の不興を買っていたのでしょう。

蹌踉そうろうとして足早ににおじさん宅へ帰るマリコ。

一方でエディは悪党たちと、どうやら今ほど整備されていない「お台場」らしきところで、悪事の相談をしているようです。
これはおとり捜査なのでしょうか。


そのようです。エディはサンディに勧誘され、

Are you in?    (乗るか?)
I'm in.               (いいとも)

と、話がつきました。

エディはスーツの上に羽織る着物や半纏はんてんを悪党一味から支給され、一方のマリコは、今ではエディの愛人のような扱いです。
二人に割り当てられた部屋には、神社や御所にみられるような房のついた紐付きの御簾みすや、掛け軸・・・はこれは・・「英執着獅子はなぶさしゅうちゃくじし」のようです。渋いです。
ベッドに寝るのは中国風ですね。

エディの歓迎会なのでしょうか、踊り子たちが踊っています。
マリコはご飯茶碗とお箸を構えていますが、よく見ると中にはご飯ではなく、おかずが入っています。
マリコ以外は正座ができません。みなさん、練習してください。

洋服にタイで半纏を羽織る悪党たち。どうしても、マイクロバスで駅まで迎えに来た、旅館の番頭さんのように見えてしまいます。

私がガールフレンドだったら、悪事に加担するの、止めるけどなぁと思うのですが、ここには何やら事情がありそうです。


宴たけなわ、突然にクラリネットのキューで、和風のジャジーなアップテンポの曲に変わり、踊り子たちは舞扇を投げ捨て、着物をむしりとり、飛び出してきたアメリカ人悪党と、ジルバ? リンディホップ?を踊り出します。
写真は撮れませんでしたが、悪党の一人がマリコの手を取り、「踊ろうぜ」と引っ張ります。
マリコは抵抗し、エディが割って入ります。

そのときのセリフが良くて、
「これは俺のキモノだ。お前はお前のキモノと踊れ」
と言うんです。
この映画で、「あのあま」とか「女」というとき、「ゲイシャ」と、「キモノガール」と、散々この人らは言っていたのですが、終盤に差し掛かりとうとう、「俺の女」は、「キモーノ」にされてしまいました。
腹立ちますねなんだか。

と、そこにいた、美人ではないキモノガールが、日本語でマリコに言うのです。
「ふん、素人でもないくせにさ、気取ってんじゃないよ」
そして、箸でまり子の頸を覆った、日本髪でいうと「髱(たぼ)の部分を押し上げます。

これが、日本では非常に失礼なことだったようで、マリコは憤然として席を立ち、庭にある、ラーメンの丼のふちにある模様のついた東家あずまやに駆け込みます。

追いかけるエディ。

「あれはどういうことなんだ」
「日本では、育ちのいい女性は、首のうしろ隠すことになっていますの」
 (そ、そうなの?)
「それはなぜなんだ」
「なぜなら、殿方が一番初めに女性の体で魅力を感じる部分だからですわ」

なんか、いちゃいちゃしています。

さて、エディは一味に入る前は、あちこちで殴られたりしてきましたので、首が痛い。それで首を回しながら、「うう〜」と言います。
マリコは、「マッサージをしてあげましょうか」と申し出ます。

もう一回見ますか? こちらです。

盛り上がっています!
なぜかマリコは、半襟もかけない赤地の綸子の長襦袢。
エディはコーヒーのときとひっかけて、
「う〜ん、いい・・Exactly what I like」
なんて言うのですがそれに対してマリコが、
「日本女性は子供の頃から、男性に満足してもらうことを学ぶのです」
って言うんですよ。
マリコ大丈夫?
エディめがまた、

Ummmm….that's exactly what I like.

二人ともしっかりして〜😭

エディがマリコに尋ねます。

「女性が男性に一番魅力を感じる体の部分はどこだい?」
「え・・それは 眉毛ですわ」
「眉毛?」
「ええ、あなたは世界一ロマンチックな眉毛をしていますわ」

・・・そ、そう?!

また異常に長くなってしまったので、続きとさせていただきます。
次回は本当に終わります。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。