日本語教師だよりその22. 頭が毎朝強制リセット
オンラインだけでレッスンをする教師としては非常にまずいのですが、
頭が毎朝ハードリセットされ、工場出荷時と同様の真っ白になっています。
これは理由がありまして、覚えておく必要のあることを、人力で(脳リキで?)全て覚えておこうとすると全く無理です。
そういうのは諦めた方が、逆に忘れないそうです。
そのメソッドもあります。
(後述しますね)
レッスンそのものはさすがに忘れませんが(たまには忘れますが)、
生徒との口約束とか、スケジュールの微調整などでは、残念な間違いや、忘却を起こしています。
どんなときにやらかすのでしょうか。
例えばレッスン中に、次のレッスンのキャンセルの連絡が入ると、使っているiPadの画面の上のほうから、す〜っと お知らせが降りてきます。
gmail であったり、iMessageであったり、Skype Chatであったり、Telegramであったり、さまざまですが、異口同音に、
知らせてあげたんだからほら、早く読みなさい
と急かしてきます。
すぐにそれをタップすれば見ることはできますが、授業中はなかなかそうもいきません。
見たとしても(結構見ている)、返事などはできません。
そこで、目の前の画面の生徒に、
「惜しい。知っているはずなのに。はいもう一回」
などと言いながら、片手で手を伸ばし、メモをします。
誰々より
などと短くですね。
それでもやはり、一瞬レッスンがお留守になります。
そういえば、マルチタスク人間、ということを最近よく耳にしますが、実は本当のマルチタスク人間というのはほとんどいないそうですね。
そうではなくて、二つのことを同時にやろうと思うと、どちらかがおろそかになるか、両方ともおそろかになりがちだそうです。
しかし、ぞんざいにでもメモをしないと、かなりの確率で忘れてしまいます。
私は裏面が全部ポストイットというメモを使っているのですが、うっかり落として、何日もしてから洗濯物のソックスの裏にくっついているのを発見したりします。
当然、そこに書かれたことは、忘れられた上、手遅れにもなっています。
目の前の生徒に目を据えながらも、すぐにメモをしないと、どこかの誰かが今し方、連絡をしてきた、ということさえ忘れてしまいます。
そしてせっかくの、その書いたメモを後で見ると、我ながら何を書いたのか判読不明だったり、意味がわからないこともあります。
まきぶる桶
と掠れた殴り書きがしてあっても、マキブルズさんの、一体何がOKなのか、よく確認しないとわからなかったりもします。
メモをちゃんと転記したつもりなのに、予定表に同じ生徒の名前が時間差で続けて二つ書いてあり、「結局どっち?」となることも結構あります。
生徒に迷惑をかけ、自分の首を絞めるのは避けたいです。
で、教室と居間の壁に、同じ週間予定表を1枚ずつ貼り、夫が買ってくれた卓上忘備録ともしょっちゅう付き合わせていますが、微妙に三者の言っていることが違って、頭を捻る時間があります。
次々入ってくる「書いておきたいこと」がありながら、できないことがあるのは、授業間の休み時間が短い場合です。
水を飲みに台所へとか、2時間耐えましたがやっと🚻へ、ということもありますので、その間にすとーんと抜けるのでした。
生徒もいろいろありますので、いろいろ知らせてくれます。
論文を書き終わるまで、レッスンが出来たり出来なかったりします。
なので、できるときだけ連絡するので、やってもらえますか。
特に週末にお願いします。
(いつも頭が「保留」になるのが辛いです)
レッスンの日にワクチン打ちに行くので、振替をしたい。
ワクチンの副作用で熱が出たので、振替をしたい。
この日は30分早くお願いします。
この日は夜遅くお願いします。
と思ったけどやっぱり元のままでお願いします。
先生から来た宿題のファイルが開けません。
編集の許可をください。
すいません、この書類を翻訳してください、急ぎです。
もうすぐラマダンなので、レッスン時間を変更してください。
宿題やったのでチェックしてください。
次の宿題ください。
余談になりますが ラマダンはですね、面白いというか、やっている皆さんは大変です。
今年は4月の13日から1ヶ月の期間限定なのですが、日の出から日の入りまで、一切飲食をしません。ちゃんとやる人は、自らの唾さえ飲みません。
生徒によると、食べられないより、喉が渇くのが辛いそうです。
断食しているその間、頭がぼーっとしてレッスンはできない。
わかりますとも。
では日没後ならいいかというと、そうではなくて、日が沈めば、家族友人知人と毎晩の大宴会なので、やはりできません。
そこで、7時間の時差があるのを、気をつけながら、ちょうどいい時間を相談することになります。
加えて、3月の第2週からはアメリカでサマータイムが始まりました。
向こうは時計を1時間遅らせて(だったかな?)、その時計に従いますので、こっちの方が、いつもより1時間早く始めます。
やっと調整が終わったら、今度はフランスは4月からサマータイムに入ります。
ややこしいです。
さて、
“Getting things done” (邦題は「仕事を成し遂げる技術」)
という良著があり、効率よくやっていく手立てをいろいろ教えてくれています。
ものを忘れないこつは、どこかに自分の脳みそを出すというか、頭の中身を出してしまい、そうしたらあとは綺麗に忘れることなのだそうです。
一つの案に、オフィス家具の、引き出すと中にたくさんファイルをぶら下げられるものを買いなさいというのがあります。
1日から31日までのファイルを作り、その日に必要なもの、使うものを、その日のファイルか、1日前ぐらいのに入れ、入れたら「忘れてしまいなさい」というのです。
忘れてしまっても、明日コンサートだなぁと思って、キャビネットに行って、翌日のファイルを見ると、チケットがそこに入っているというぐあいです。
もうすぐ名古屋市長選挙ですが、投票に必要な葉書は、投票日のファイルに入れておくのです。これで、覚えておこうとして頭を疲れさせながら、やっぱり忘れてしまうとか、確かにあのチケット冷蔵庫に貼っておいたのに、今見たら、ないじゃん〜 などということがなくなるのだそうです。
すごいですね。
ただし、活用しているのは夫だけで、私が「あれどうしたっけ」と言うたびに、さっと立って行って持ってきてくれて、とても得意そうです。
私が「忘れてはいけないもの」は、階段したの物入れにデーンと置いてあるオフィス家具のファイルの引き出しに「入れるほどのこともない」類のことなので、なんとかして、もう一つ確実な「物忘れ防止策」を、見つけたいものだと思っています。
もたもたしていると、忘れるスピードの方が早まって、どんな策も役立たないと言うことになりそうです。
皆さんはどうやって対処されているのでしょうか。
サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。