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エッセイその134.おうちでロスト・イン・トランスレーション(7)親戚といっしょ!



NZに帰省した際のロスト・イン・トランスレーションです。
いい汗かいてます。

夫の親戚や友人と話す場合、それまでの歴史があるため、話が見えません。
これは、同じ国の人と一緒になっても同じでしょう。
自分のわからない話が 延々数時間続くのには、もう慣れました。
全然大丈夫です。眠くもなりません。リスニングの練習です。

けれど若くて自意識過剰で、溶け込まなくちゃと強く思っていた時代は、
しばらくかなり辛かったです。


今日はベティおばさんに呼ばれているけど・・

などと言われると、
「私たちだけ? 他の人も来る?」
と、つい確認してしまうのでした。

個人宅を訪ねて相手が一人、二人の時ならまだいいのですが、
パーティが本当に苦手でした。

頼みの夫は、グラス片手にあっち行ってこっち行って、
あれ、いないなと思うと、おじさんたちと外でシガーをくわえていたりします

夫よ待って、おいていかないで・・・😭

基本、私は大人とみなされているので、自分でしゃべりたければしゃべり、
黙っていたければ黙っていていいのです。
なので、隅っこ暮らしをしていても、夫は当然、それをしたくてしていると思っていますし、助けて欲しいときは、助けてくれと言いにいかなければなりません。

その呼吸がわからない間は、繰り返しになってしまいますが、ほんとうに辛かった。

ものすごく間がもたないのです。いたたまれなくなります。

まず、子供が生まれる前ですが、大抵のお宅に猫か犬がいます。
一時的にコミュ障になっている私は、しかたなく犬か猫をかまっている時間が長かった。
夫はそれを見て、「すごく犬と猫が好きだったんだね!」と思っていたそうです。
違います。
好きでなでていたわけではありませんでした!
ペット飼ったことないし。

やがて子供たちが間をおかず生まれまして、子供が小さいときは、
子供に授乳すると言っては引っ込み、
子供を寝かせると言っては引っ込み、が できました。
犬・猫・子供には助けられましたな。


私の気が重くなっていく原因は、ひとえに自意識過剰。

黙っていると、不機嫌そうに見えたりしないか。
黙っていると、「私わかんないもん」アピールをしているようで、
なんか感じが悪くはないか。

そこまで考えてしまうのでした。

「これこれ、夫おっと、一人で会場をぶらぶらしてないで、
妻の私を構ったり、人に紹介したり、会話に混ぜ込もうとしたり、
してくれなくちゃだめではないですか」

となじったところ、

え、好きで一人でいるのかと思っていた。
じゃあ、僕について回っていたら?

となって、お母さんのエプロンを握ってついてまわる幼児のように、


ついて回っていたときもありました。


1対1ならどこまでも会話が続くのですが、ちょっとでも人数が多くなると、
本当に、簡単にはついていけません。

日本人の配偶者を得て、その日本人ばかりの義理家族とつきあい、
とっても「ロスト!」な可愛い生徒の皆さん。
先生も同じですよ。
一緒にがんばりましょう。



昨日、3時から8時まで営業を開始した、鶴舞のやんバーに夫と飲みにいきました。
やんさんは古いものを集めるのが好きなのですが、今回は足踏みオルガンが店内に加わっていました。

オルガン!?
懐かしい〜・・調律?したら弾けますか・・などと話していたら夫が、

そうそう、ベンおじさんという人がいてね、
どんなパーティでもずっとピアノを弾いていたよ。

と言います。

ふうん・・・それを囲んでみんなが歌ったの?
ジェーン・オースティンの時代の人みたいに?

と訊きますと、

いや、別にそんなことはなかったよ。
おじさんはただただ、パーティの始まりから終わりまで、一人でピアノを弾いていた・・・

だそうです。

ベンおじさん!
ベンおじさんは、そこまでピアノがお好きだったのですか?

おじさんは、もしかして、この私のように、
パーティが苦手だったのではありませんか?
間がもたない辛さのあまり、「好きなピアノを弾いているだけ」
というさまでいらしたのではありませんか?

会うことのなかった親戚のベンおじさんに、
ものすごく共感を持ってしまった件でした。


このような思いは、他国に住む人はみな、持っていることでしょう。
みなさん、一緒に頑張りましょう!

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。