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日本語教師日記34. ネイティブ日本人ではない日本語の先生


今、「ネイティブ日本人ではない日本語教師」

と入力したら、なんだか これから私が、
その人たちに意地悪をしそうな感じに見えてきたので、
急いで「ネイティブ日本人ではない日本語の先生」に変えてみました。

今日は、外国の方で、日本語を外国人に教えている人についてです。


まず私の話。
私はかつて、英語を教えていることもありました。
勇気がありますね。
これは強く頼まれ、何回かお断りしましたが、
自分は初心者レベルであって、多くを求めないので・・
ということでしたので、手解き程度でしたら・・
ということでお引き受けしたものです。

しかしそうは言いながら、私のいつもの持論ですが、
日本人は公教育の中で、かなりの英語レベルに達しています。
普通の大人の人なら、中高6年間は最低英語の授業を正規の学科として受けていますし、試験で揉まれています。
また留学経験のある人も多い。

当然、沸き起こる疑問の数々。

これはホストファミリーのお父さんはそういう言い方ではなかった。
どっちが正しいんですか。違いはなんですか。

のようなことが、しょっちゅうありました。

I’m fineとI’m good.の使い分けは?
どういう人がどっちを言いますか?
どっちの言い方が古いですか?

そういうものもあります。

アメリカ英語とイギリス英語だけでも とても違います。

また、体感的に使い分けるもの、例えば、

fairly, pretty, quite...  どう違うんですか?
一つ一つ違いを全部詳しく教えてください。
(prettyと言っても、可愛いほうではなく、かなり、みたいな意味です)

・・というような質問がいくらでも出てきます。

たくさん英語の言葉や文法は知っていても、まだ話出せないでいる段階にいる人は、ネイティブの英語の先生には、質問することができません。

それで私のところへいらしたわけで、
日本語を話す私には、溜まりに溜まった質問が投げかけられます。

前述のこの質問ですね、私はネイティブの夫に質問できるのである程度答えられますが、その場でとっさに、「自信を以って」説明することはできません。


日本語なら、例えば、

「かなり(可成り)」
「ずいぶん(随分)」
「そうとう(相当)」

の違いなら、まあ自信を持って解説できます。

外国語を外国人が教えるときのネックは、まさにこの辺かなと感じました。

英会話授業のリクエストですが、どうしてもと言ってくださると断りきれず、
手解き程度ならばと言って、お引き受けしたことはあります。

しかしそのうちに、私が英語ネイティブでない故にカバーできない部分に注意が向くのでしょうね、
なんとなく「この先生だめかな」的な空気が生まれたりもしました。
あれは辛かったな。

やがて日本語教師の経験を重ねるにつれ、この、
「ネイティブイングリッシュスピーカーでない自分の限界」
を感じ、

「生徒に嘘を教えてはいけない。
その場の具合悪さに負け、適当なことを言ってはいけない」

という気持ちがどんどん強くなり、
英会話のレッスンの方は、お断りするようになりました。

(受験英語の指導の方、型にはまったものを一つ一つ仕込んでいく作業なので
そっちの方は、たまに話があれば、させていただいています)

そういうことがありますので、外国人で日本語のバイリンガルでない方が、
日本語を教えているのを見ると、すごいなと思います。

母語である場合は、直感的に、どこかおかしい、不自然なら、
誰でもすぐそこには気がつくことはできます。

なぜそれではダメなのか、どう見分けるのか、
使える場面・使えない場面、語源までとなると、
喋れるからといって教えることはできないとは思いますが・・。


さて、昨今ネット上で、

「外国人で、外国人に日本語をオンラインで教えている日本語教師」

を、見かけるようになりました。

以前からいたのでしょうが、私が知らなかっただけだと思います。

この皆さんが、420時間講座を修了したり、日本語教育能力検定試験に合格した人が多いかどうかというと、多くはないと思います。

そして、私の生徒の中でたまに、

私の他の先生は、(または、前に習っていた先生は)
先生(私ね)の今言ったことと違うことを教えてくれた。
どっちが正しいのですか。

と突撃してくる人います。
聞いてみるとその先生方は例外なく、同国人で日本語教師をしている人でした。

出た〜・・・

と思いますが、その先生には申し訳ないけれども、丁寧に教え直します。

日本にある日本語学校で教えているある日本語教師の方によると、
日本に来る前に 自国で、同国人の先生に習ってから来日し、
日本語学校に入ってから修正されることになり気の毒だ、
という生徒がいるそうです。
それはとてもよく想像できます。

最後に、私が最近聞いた話です。

よく出る質問ですが:

生徒:なぜ大きい・小さいは、ときどき 大きな・小さな と言ってもいいですか? 
なぜ、い形容詞なのに、な形容詞みたいになりますか?
高いなくつとか、おいしいなケーキと、言ってもいいですか?

先生の答え:大きな、小さなと言っても大丈夫です。
昔の日本語には、「い形容詞」と「な形容詞」の区別がなかったです。


・・・先生・・・お答えになっていませんが😭😭😭


この種の話を聞くと、本当にはらはらします。



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