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エッセイその11.目指せ!名古屋弁話者を(1)



外国語を学ぶ人に普通にみられることですが、最初に習得できるのは読み書きであり、会話力とヒアリング力がは あとからついていきます。

これは、教科書に取り組んで苦闘する時間数に比べ、ネイティブと話したり、日常的にターゲット言語を聞いたり使ったりする機会は少ないですので、当然ですし、仕方ないとも言えます。

そこに着目して、聞き流しメソッドであるとか、思い切って現地に滞在して その言語のシャワーを浴びる、という方法なども有効なものとして喧伝されています。

私はそれについてはいろいろ異論がありますが、それはさておいて・・。

私が縁あって名古屋市に移り住んではや10年目。
現地の名古屋で名古屋弁を学ぶ機会を与えられました。

今まで自分の生徒で観察してきた通り 私も、読み(読んで理解)⇨書き(間違いだらけでよく直されている)の習得が先で、ついで、ヒアリング がついていって、最後に貧しい会話力に苦しんでいるところです。

私の住む名古屋市に限ってかもしれませんが、若い人を中心に、標準語で話す方が多く、コミュニケーションは困りませんが、学習者としては理想の環境とは言えないかもしれません。

会話の方ですが、習い覚えたことを口にしようとすると、ちょっとでもわからない場合は頭が真っ白になるし、恥ずかしいしで、口ごもるばかりです。
そうか、これが私の生徒たちの日常なのだ。

名古屋弁も同じ日本語なので、外国語を学ぶより苦労は少ないと思われましたが、エンタメ系の名古屋弁本の他は、教材がない、また練習相手もいないということで、最初期待していたほど、身に付けることができていません。
長く住むことになるので、楽勝! ペラペラになれると思っていたので、残念です。

2010年に名古屋市に引っ越してきたときには、娘らが中学生になっていて、
学校関係のつきあいが0、ママ友ができなかったのも原因の一つですし、名古屋に来てからは100%在宅職で、喋る相手は夫も含めて外国人ばかり。
自然に聞いているうちにうまくなる、ということは望むべくもなかったのでした。

前述のとおり、名古屋の人は標準語を話します。
タモリ氏が昔あげつらっていたような話し方は、
現在の名古屋で聴くことは、ほぼできないのでです。

それで、私の名古屋弁もどきは、主にイントネーションを真似、誰でも知っているような言葉を少し喋ってみる、に限られます。あっという間にガラスの天井にぶつかり、一向に成長しないのでした。

ネットでときどき上がってくる名古屋弁検定などでは、かなりの高得点を取ることができますが、所詮四択です。
ぼんやりとした浅薄な知識はあるものの、使いこなせていないというのが現状です。

現在はコロナウイルスの日々で引きこもりとなり、めったに人とも会いませんので、せっかく習得した分も錆びつき、名古屋語力は衰えていく一方です。

現在、私の名古屋弁の師匠は、中1で移住してきて、たちまち名古屋弁に流暢になった次女です。
すごく厳しくて、私がうっかりしたこと言うと、

きもい!
おかん、やめやぁ〜!
中途半端がいっちばんいかんて!

などと叱責されてしまうので、うっかり練習もできません。


しかし、名古屋弁に向ける私の思いは、この胸の、この辺に!

ですので、今日からときどき、私と名古屋弁について、書いてみたいと思います。
おつきあいください。

では今日は、最近知った新出単語をご紹介して終わります。


「〜まるけ 」という言葉があるそうです。

「ほこりまるけ 」というふうに使うのですって。

これを、名古屋弁話者の皆さんの間では、

「まるけ=まみれ」でしょう

というご意見が多数ある一方で、

「標準語なら、『だらけ』と同じでは」という方もいらっしゃいます。

用例「机の下、ほっこりまるけだがやー!」

私は、「まみれ」よりは、「だらけ」ではないかな、と一旦は思ったのですが、そうとも限らない部分もあるので、難しいところです。

そこでとりあえず、自分がネイティブとして理解しているところの、
「まみれ」  と 「だらけ 」の違いを考えてみました。

「まみれ」は、外から来たものが、なんらかの理由で、主体となるものに「くっついてしまっている」ことではないでしょうか。
・泥まみれ
・離乳食を食べている我が子のお顔はペーストまみれ
・恥にまみれた人生でした。

「まみれる」の漢字は「塗れる」ですので、ブツは液状・ペースト状であることが多いとも考えられますが、砂まみれの砂は、粒状です。
くっついたら洗い落としたり、拭うまでは取れにくい、ということがお約束として、あるかもしれません。

ほこりまみれ は、「ほこりがそこに溜まっている」状態ではなくて、
何かに ほこりが満遍なくついている状態だと私は感じます。

一方、「だらけ」は、そこに同じ種類のものがたくさんあることです。

だらけの用例:
・クリスマスイブの高級レストランはカップルだらけだ。
・間違いだらけの夫選び。

物心両面に使えるのは「まみれ」も「だらけ」も同じです。

もう少し・・。

スライディングすると、ユニフォームは「砂まみれ」になりますが、
ビーチから靴のままあがってきてしまうと、床が「砂だらけ」になるでしょう。

地面にお団子を落とすと、「泥まみれ」になるでしょうが、
掃除してない机の下は「ほこりだらけ」になっているでしょう。

名古屋弁の「まるけ」はどっちなのか。
ものすごく気になります。

翻訳は、名詞以外は、完全に二つの言葉や表現が一致することは稀です。

《まるけ=まみれ》

かもしれませんが、可能性としては、まるけが「だらけ」にも被っており、

《まるけ≒だらけ》

である可能性もあるのです。

♪ ほこりにまみれた人形みたい (弘田三枝子 「人形の家」)は、

標準語で考えてしまば、

♪ ほこりだらけの人形みたい

は成立しないかもしれませんが、名古屋弁ならば、

♪ ほこりに まるけた人形みたい

は、大丈夫ということだって十分考えられます。

この辺、ものすごく気になりますので、ネイティブに問い合わせておきます。

続きます。


写真のおでんですが、こちらでは、おでんと言えば味噌おでん。
近所の古老によると、もう少し古くは、名古屋には今のようなたくさんの素材はなく、こんにゃく・とうふ・茹で卵ぐらい。味噌田楽に似たものだったそうです。そして、そういうおでんと区別するために、味噌だれを使わない、いろんな練り物などを煮込んだおでんの方は、「関東煮」と言ったそうです。「かんとだき」というのは、大阪の人の方の言い方のようですね。

私は、実家の前に屋台をとめて商売していたおでん屋さんが、希望すれば、ホーローの缶に入った甘いみそだれをハケで塗ってくれていましたので、名古屋に来て、コンビニのレジにみそだれの小袋があるのをみても、ぜ〜んぜん驚きませんでした。
余裕で「味噌? 何を驚いているの? 普通じゃん」と言うことができたのでした。

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