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漫画その17. リサイクル漫画:シャーリーさんの場合


1年ちょっと前、2020年の3月のものです。「同じ顔が描けない」という、決定的な技術の欠如のために、一回描いた顔は、永遠に同じものを使うという、すごいやり方で描いています。
Apple Pencilを使うようになってから、コピペしてちょこっと細部を変えることができるようになったんですね。


シャーリーさんは、ニュージーランドの義母と同じ、ケア付きマンションの住人でした。
これは、2019年春に帰省したときのものです。
このあと、私の実母も同じようなことになっていきました。

シャーリーさんは、穏やかでとても良い方でしたが、
コロナウイルスのことを知ることなく、寿命で旅立たれました。



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そのあとが、エンドレスでした。

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⇨(1)へ戻る。

20分ぐらい一緒にお茶したのですが、
(1)〜(6)が終わると、数秒で(1)に戻るのでした。

義母によると、

「申し訳ないのは、アジアの国はほとんど全部回ったのに、
そこには行かなくて、失礼してしまった」

ということらしい・・とのことです。


当時は認知症のことをあまり知らなかったので、

「繰り返す内容が、一字一句違わない」

というのが、ものすごく不思議でした。


私の母は、短期記憶も長期記憶も「ほぼ無い」ように見えます。
ただ、目の前に起こることをキャッチして、
対応したことを言おうとすることはできます。

父と姉と3人で、「もう聞いたよ」だけは言わないようにしよう、
と戒めあっています。
父は、私たち姉妹がきついことを言うとものすごく怒りますが、
自分はきっつく母を叱ったりします。
たまにしか会わない私が驚くのが嫌みたいです。

父は10年ぐらいずっと、物忘れ外来に母を連れていくことを拒み、
「お母さんはただの天然だが、医者は誤診する」
と言い張ってきましたので、母が今みたいに誰がどう見ても認知症になると、
胸中複雑のようで、なかなか大変そうです。


コロナで会えなくなる前の母ですが・・。

・私が部屋を出ると、食器を洗いに行くと思うようで、
「いいよやらなくて。私がやるから。置いといて」と言います。

・私が一度部屋を出て、もう一度入っていくと、
飛び上がるようにびっくりして、
「あら! tamadocaだ! いつ来たの?」と言います。

・暗くなると、
「あんた、今日は世田谷の家に帰らなくていいの?」と言います。

・12時近くと、午後6時近くになると、
「あら、そろそろご飯の時間ね。何を作ってやろうかしら」
と言います。

・しばらく黙っていたあと、
「亜麻ちゃんと可野ちゃんは、大きくなったろうねぇ。
もう学校?」と言います。
ちょっと迷うのですが、
「そうだねー、もう随分こっちに来てないもんね。
亜麻は就職して、可野は今大学四年生だよ」と言うと、
「あ、そうだったね」と言いますが、すごく驚くみたいです。


母が言わなくなってしまったたくさんのことは、
どこかのアーカイブにしまってあるのでしょうか。

うまく解凍できたら、口から出てくる気がするのですが、
それとも脳の萎縮と共に、取り出せないところへ行ってしまったのかなぁ
と思ったりもします。


去年の7月ごろ描いたリサイクル漫画です。



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