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エッセイ372.映画。岸辺露伴とルーヴルへ行った話(上)

私は高橋一生さんの大ファンです
先日「岸辺露伴ルーヴルに行く」を観てきました!

ビデオ・オン・デマンドで、なんでも無料で(払ってるけど)観られる今だからこそ、たまには映画館に行かなくちゃと思っているのです。

私はテレビドラマの方の「岸辺露伴は動かない」を観ていませんし、
映画レビューもコミックも読んだことがなく、
いわば、予習抜きで観に出かけました。

駅ポスターを見ていても、露伴のあの髪型がただの「癖毛」だと思っていて、
おしゃれでああいうふうにしていて、ギザギザの鉢巻もしているんだ、
ということも知りませんでした。

以下は全てネタバレですので、これからご覧になる人は、今日はここで・・


さようなら・・・

大丈夫ですか?


では 書きます。

主人公の岸辺露伴は、博識の売れっ子漫画家で、
人の心を本にして読むことができる超能力を持っています。

相手に手を差し出して、

ヘブンズ・ドア〜

と言うと、その人の今まで生きてきたことが全部本になります。
それをやられた人は、ばったり仰向けに倒れて、顔に本が出てくるのです。

顎とおでこに切れ目が入ってきて、目と口に穴のある本が出て、
フェイシャルマスクでパックを始めたようにしか見えません。
鼻を中心に左右へパラパラ! とページが開き、読めるようになるのです。

下は、ドラマの方の写真をお借りしてきました。

ちょっと、「博多にわか」のようでもあり、美貌のヒロインも、かっこいい高橋一生も、同じようにとぼけた、「本を顔にくっつけた人」になってしまう。
これが笑わずにいらりょうか。

博多にわかのようでもあるし。


もちろん、面白いところ、綺麗なシーンはたくさんありました。

露伴の家。
露伴の蘊蓄、高橋一生の顔の怪演、よく響く、深い声。
上から下まで昭和な衣装の、編集者の可愛い女性。

ただ、露伴の少年時代、これが全体の作りの中で、ちょっと長いです。
露伴はここでヒロインに会いますが、この彼女がどうしたことか、
最初から最後まで、ものすごく謎めいていすぎます。
少し、普段は普通目にしておいて、ふとかげりとか、謎めいた面がのぞくのならいいのですが、この人、一旦出てきたが最後、もうずっと謎の女。
ハサミで自分の絵をえいっ、えいっ、と突き刺してみたり、
行動がいちいち、いろいろエキセントリックで、付き合ったら疲れそう。
その謎の女が、観ているこちらに対しても、
目力いっぱいにスクリーンから射竦めるような視線を送ってくる。

もう、始まって45分ぐらいで、お腹いっぱいです。

あとこれは申し上げたい。
思い出のシーンで、たったの15年か20年ぐらい前の露伴を、
高橋一生じゃなくて、なにわ男子の人が演じるではありませんか。
あれは、大変無理がありました。

5歳の子供を、25歳の人が演じるのはおかしいというか、不可能ですが、
同じ人の20歳、30歳、40歳ぐらいは、そこまで容貌が変わらないため、
一人の俳優で十分できるはず。
あの起用は不思議でしたと、声を大にして言わせてください。

そしてまた、あの独特な露伴の衣装を、
20年前の青年露伴も、やっぱり着ている。

漫画だからいいのだと思いますけど、いやいやおかしいであろう、とつい思ったのは私だけではないはず。
あれは、アニメの主人公がいつも同じ服を着ているのと同じなのかしら。

でもほら、20年前の自分の写真を見て、

うわ、こんなの着てたね!
しかしまあ、よく着てたね!

と思ったりしませんか?
いいけど。


それにしても、家でくつろぐ時も、漫画を描くときも、リングに金属のリストバンドに鉢巻にピアスに、どこで買えるかわからない独特の服を着て、あれで露伴はくつろげるのだろうか。
いいのか。

さて、この映画はサスペンスかと思っていたら、テーマは怨みだったようです。
いきなり、じくじく湿った怪談になります。

この世で一番黒い絵ができた経緯がじわじわ、じわじわ、
ゆっくり2時間ぐらいかけて明かされます。
長いです。

「ヘブンズ・ドア〜」を説明するためだけに、露伴が骨董屋に行って、顔が本になっちゃった二人の人たちはそれっきり出てこないし、あの場面要らなくない?

編集者を相手に延々と、伝統的な絵の具の蘊蓄を傾けるのも、私は面白かったけれど(高橋一生さんの大ファンなので)、もっとさらっとやってもよかった。

オークションのシーンもだだ長いし、黒い絵を落札した露伴を追ってきて、また顔がああなっちゃってみたり、もう一人の方は、誰に追いかけられてるか知らんけど、車に轢かれてぺっちゃんこ。
でもその人は、「らんまん」で最初から万太郎の味方をしてくれている好青年だったりもするから、こっちの頭もいろいろ忙しくなってしまう。
白石加代子も思い入れたっぷり過ぎる。
特別出演なのかしら。

そうそう、わざわざおフランスからルーヴルの学芸員が、白石加代子祖母の家にあった「黒い絵」を買いに来ましたな、昔。
そして、フランス語で、「おお! これだ! やった! トレビアン!」みたいに大喜びしていたけど、のちに行方不明になりました。
このエピソードも要る?
フランスからの出張費もちゃんと出たのかしら、学芸員。

そして特筆すべきは、あの蜘蛛の、あのわかりやすさ・

「もしかすると怨みの物語かもしれませんよ」
・・ということを表現するためか、蜘蛛がやたらと出てきます。
一度か二度、さらっと出てきた方が、効果大だったと思う。
15分に一回はでてきたようにさえ思ってしまいます。


続きます。



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