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エッセイその85.私に近い六人の他人(9)「蛇にピアス」の金原ひとみ氏までニ次の隔たり


懲りずに続けている「六次の隔たり」スモール・ワールド理論。

回を重ねまして、お待ちかねだったかどうかはさておいて、
今回は、「蛇にピアス」の著者、芥川賞作家 金原ひとみ氏まで、
二次の隔たりだった、というお話をしますね。



話がまた長くなるのですが・・。

今、私と生徒数人の間で盛り上がっているのが、Amazon Prime Videoで 現在見ることのできるイギリス・ドラマ 「グッド・オーメンズ」。

どんなドラマというと、痛快なブリティッシュ・コメディです。
神のはかり知れない、知ろうとしてはいけない「大いなる計画」が進み、
ついに世界を二つにわける戦い、アルマゲドン(あるいはハルマゲドン)、
最後の戦いが起ころうとしています。
このドラマは、その世界の中で 天国から派遣され、ずっと人類を見守ってきた天使アジラフィールと、人類を堕落させるために地獄から送り込まれた悪魔クローリーの、6000年に及ぶ物語なんですけど、めっちゃくちゃ面白いです。


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はまりすぎて、見終わってからすぐ、あと2回観ました。

それどころか、それではまだまだ飽き足りません。
紙の本の方でも、いろいろ「ドラマ版」(ドラマのセリフが載ってる脚本のようなもの)とかあるんですけど、正当にオリジナルの原作の本を買いました。
そう、辞書があれば読めるつもりで。





すいません、ブリティッシュなめてました・・・・




・・・・む〜っずかしいのなんのって。・・・・


一緒に騒いでくれている生徒たちに、

「私はね、この本を辞書なしで読みこなし、
ドラマを観ても、字幕なしであっはっはと笑えるようになるまで、
頑張って読んでいこうと思うんです」

なんて、・・言わなきゃいいことを言ってしまい、墓穴を掘りました。


案の定。

「先生、どうですか、グッド・オーメンズは進んでいますか?」

キタキタ〜・・

それがそのー  ( ̄▽ ̄;)
難しくて・・ちょっと・・

「先生、あれは難しいです。
わからなかったら、いつでも、なんでも訊いてください」

と、何人もの生徒たちに、同情され、応援してもらっています。
とほほです。

いやありがとう、でも、質問し始めたら先生、
みなさんを監禁して、半年かかるから・・。

今、どうしようもないので、訳されたものを読んでいます。
これです。

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その翻訳なのですが、翻訳がまずいとすぐ嫌になって投げ出してしまう私が、
めずらしく感服した素晴らしいもので、特に、臭くなりやすい会話部分の、人物の描き分け方がすごい。

誰なの、こんなすごい翻訳をなさったのは。

と、即、表紙を見てみたならば、おお・・・・

金原瑞人先生でした。

これで、かねはら・みずひと先生とお読みします。
「蛇にピアス」の金原ひとみ氏のお父様です。

しかし、さすがの私も、読んでいる本の訳者を「知り合い」とは言いません。
実は私は金原氏にお会いして、一緒に昼ごはんを食べたことがあるのでした。
あまり華やかなことがない私の人生において、嬉しいことの一つなので、
顰蹙を買うことも平気で、書きます。



名古屋に引っ越してから3年目ぐらい、7年ほど前でした。
私は 板橋区主催の「ボローニャ国際絵本コンクール」に応募し、小さな賞をいただきました。
その審査員をずっと務めておられるのが金原氏で、作品をジャッジしていただき、授賞式に出て、その後、いっぱい美味しい食事や潤沢なワインその他をいただきながらお話もうかがったということなのです。

(考えてみれば、これは板橋区のプロジェクトなので、
板橋区民の皆さんの税金で、お腹いっぱい飲食させていただいたわけで、
板橋の方へ足を向けては寝られません。
板橋区民のみなさま。その節はありがとうございました、ご馳走様でした)


このコンクールは、初めての挑戦で「特別賞」をいただきました。
私は一瞬、最優秀賞も遥かに超えた、すごい優秀なものということなのかと思ってしまいましたが、全然違いました。

最優秀賞、優秀賞が、ちゃんとあって、その他に、
「だいぶ頑張っているので、捨てるには忍びないかもしれない」
という意味で、端っこに加えてもらったらしいです。

賞金が「2万円」だったのですが、記念に、使わないで小箱に封印してあります。
だって一生に一回しか、もらえないと思いますので。



コンクールのアーカイブに、ちゃっかり私が載っていました。
なんとかオリバーというのが私です。

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さて、実はこの受賞前、18年間ぐらいの間、
私は金原ひとみ氏とは、「三次」の隔たりでした。
私の友人が、金原瑞人氏の翻訳の弟子だったのです。
最初三次の隔たりであったものが、ご縁があって二次に繰り上がった、
というのが今日のお話なのでした。


板橋ボローニャ絵本館は、今年の3月28日に移転するまで、可愛い小さな小学校を利用していました。
私の翻訳も、アーカイブとしてファイルされていましたが、今もあるでしょうか。

コロナが終わったら、綺麗な図書館に入ったこの絵本館を訪れてみたいと思っています。


ちなみに、以降毎年応募していますが、かすりもしません。
去年は、申し込んですぐ、応募者多数で締め切られてしまって、挑戦できませんでした。
やはりコロナ時代に、家にいて いろいろ挑戦する人が増えたのでしょう。
来年も頑張りたいと思います。
最優秀賞になると、絵本を出版してもらえるのですが、それ以降は応募できない決まりになっています。


サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。