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エッセイ294.飛びつかない生活がしたい


幻肢痛というのがあるそうです。
喪った手や足が、痛むということなのですって。

それで大変な人がいらっしゃるので、不謹慎で申し訳ないのですが、
今の私はちょうど、感覚的にそんな感じです。

自分はもう、引っ越した先で少しずつ落ち着いてきているのですが、
ふとした拍子に、ズキンとするほど名古屋が懐かしい。

気持ちの何割かが、名古屋に残っているようです。
もう一人の自分が名古屋にふらふらしているような錯覚があります。
新幹線に乗れば、すぐに行けてしまうところがまた辛い。
行きたくなってしまう。

でも、行ったとしても、

そこで落ち葉を掃いていたり、
草刈りをしていたり、
映画の時間に間に合おうと、伏見の街を走っていたり、
ロッソ・ブラジルの定休日に行ってしまってチキンを食べ損ねたり、
お休みの店が多い曜日の円頓寺商店街を、目的もなく歩いていたりする自分は、

・・・当たり前ですが、もういないのですね。
そこに自分がいないのに、でもまだ、そこにいるような気がする。
不思議です。

さて、今度の引っ越しで、懲りごりしたことがあります。
いつの間にか埃のように、物が溜まっていたことです。

ちょっとゴソゴソして見つからないと、
すぐにAmazonで買ってしまったものがあります。
出てきたらそっちも使えばいいと思ったのでしょうか。
だぶって所持しているものが多かったです。

住んでいたのが、収納のとても少ない借家だったために、
生活の中から溢れてくるものを、捨てたり片付けたりする代わりに、
収納家具の方を増やしてしまいました。
やりがちな間違いです。

呆れたのが、カラーボックス12点。
扉あり、キャスター付き、5段、3段、2段、さまざまです。
いくらなんでもありすぎです。
仮住まいのつもりだったので、電話台として3段。
パソコンデスクの下が空いていたので、物入れとして2段。
風呂場に家族の着替えを置きたいと、5段のものを2点。
娘らの部屋が片付かないのは収納がないためだと思い、
それぞれに希望の色や段数を聞いて買ったものもあり。
あまりにも買いすぎでした。
これら収納家具の数々は、ジモティーを使ってもらっていただきましたが、
当たり前ですが、物の方を減らすべきでした。

思えばせっかちで、片付けたいと思うとすぐに収納家具、
便利だと聞けば深く考えずに手に入れてきました。

今、六畳の畳の寝室に、

ちゃんと中身を見て考えること

と、夫婦で決めたダンボール箱が20ほどあります。
それを押し入れや実家にしまいこんでしまうと、
次に日の目を見るのは、次の引っ越しのときです。
場所だけをとって、ただそこにあるだけ、になるからです。
ダンボールのために払うには、東京の家賃はあまりにも高い・・

これらの箱が片付くまで、6畳の部屋を、
ちょうど四畳半にして使っていくことになりますが、しかたありません。

片付けの本をいろいろ読んでみると、物を増やさないこつは、

使い切って、処分するタイミングで新しいものを入れること。
一つ入れて、一つ出す。

これに尽きるようです。

というわけで、引っ越してまもなく1ヶ月、私が生活関連で買ったものは、

セラミックのフライパン。
これはいよいよ、テフロンから出るものが怖くなったから。

魚屋さんのつけるような丈夫な防水エプロン。
布のエプロンがじわじわ汚れていくのが気になってしまう方なので。

そして、小さい台所の隙間にピタッとはまる細長い食器棚。
それまでの、4人用の大きな食器棚が台所に入らなかったためです。

そして、前から欲しかった、インスタントポット用の蒸し器。
本当に毎日便利に愛用しています。

今までと違うのは、欲しいものがあると、
ほしいものリストに入れてから、2週間考えたことでした。

それが本当に要るのか。
それがない今、どのぐらい不自由を感じるのか。

それをしばらく味わって、却下したものもたくさんある中から、
生き残ったのが上記の台所用品でした。

その全部がとても使いやすくて、台所にいる間、なんだか嬉しいです。

これまで、片付けをしていて、

(なんでこれを買ってしまったのだろう)
(私の馬鹿・・・)

と思うことが結構多かったので、
この先はゆっくり考えながら、物を迎えたいなぁと思っています。


下の写真。
結婚してしばらく、夫の気にいる食器棚がなく、
当時 木場にあった「もくもく」という木のお店に行き、
板と脚を買って、防水なども施して作った、横に長いテーブルです。
これを台所に置いて、食器だの炊飯器だのを載せていました。

「食器置き」としてしばらく活用したあと、食器棚は買い、
その後、狭いアパートで妙に長い食卓としてずっと使いました。
その後はパソコンデスク、テレビ台などに転用。
今度の小さな台所に、奇跡的にぴったりサイズだったので、
これ以上キャビネットを買わなこととし、調理用具ステーションとなりました。
そのテーブルの終わるところから、壁が引っ込んでいて、
そこへ今回買った食器棚と、前から持っている冷蔵庫がぴたりはまりました。
その気持ちよさと言ったら、見るたびにため息をつきそうです。

現在このテーブルの下は、昔に処分する前に取り外した食器棚の、
棚や扉部分にキャスターをつけて、可動式の物置にしています。
100均の、高さの違う蓋付のプラスチックの箱に物を入れ、
使う頻度の低いのは下段、高いものは上の方に置きました。
台所がだいぶすっきりしました。


思ったほど素敵でなくて、がっかり・・。もう少しなんとかしましょう。


あとはこれを、どのぐらい保てるかですよね。
考えながら暮らしていきたいと思います。

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ガラパゴス諸島から来た日本語教師 tamadoca
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