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エッセイその51.英語を話す(5)英語の順番のままで

英語の専門家でない私ですが、体験から感じたことを書いています。
そんな考えもあるんだということで、お読みいただければと思います。
間違っているところも多々あると思いますが、お許しください。


さて、日本人の私が、言いたいことを英語で言おうとします。

まず、言いたい言葉を全部英語に一度変えてから、
英語の順番に並べ直してみます。
でもそれは残念ですが、「作文をしている」ということで、
実際に話そうと思うと、それがすぐに出てくることはありません。

私がどうしても使えなかったものの代表が、関係代名詞というものでした。

who, what, that whose, which, ...

私のアプローチは、学校で習う通りでした。

I met a girl who studied in England.

「私は、英国で勉強したところの少女に会った」

・・と訳せということになっていますので、英文をよく読んでみます。

私は、会った、少女、ところの、勉強しました、で、英国。

こうしてから、

私は・・・・英国で・・・勉強した・・ところの・・少女・・に、

・・・会った?

などと訳することを、延々と教室で練習し続けました。

実際に話す機会があっても、これでは黙っている時間の方が多いです。
アイ・・と言ってから、次はなんだっけ・なんだっけ・・・です。

疲れてしまって、英語が嫌いになりそうですし、
話そうとしていた外国人も、呆れて国に帰ってしまいそう。

どんなに英語が好きで勉強していても、どうにもならないでいたところへ、
高校生のときだったでしょうか、
それまで思ってもみなかった考え方に出会いました。

伊丹十三さんが、エッセイの中でこんなことを言っていたのです。

「英語は、聞こえてくる順番通りに理解しようとすればよい」

だって、相手が喋るのを最後までじーっと聞いて、「全部覚えていて」
組み立て直すなんて、現実にはできないことだから。

外国人が、こんなことを言ったとします。

I met this guy  who she introduced to me at the school dance ball last year, but I totally forgot about him and he was a bit offenced.

学校ですと、(A)正解です。

(A) 私は、去年ダンスパーティで、彼女が私に紹介した「ところの」この人に会ったが、彼のことをすっかり忘れていて、ちょっと彼は気分を害していた。

これを、このように聞きなさい、 と伊丹さんが言うのです。
👇
(B) 僕は会った、この人に 誰かって言うと(whoの意味するところ)、
彼女が紹介した、ぼくに、学校のダンスパーティで、去年、でも、
僕は彼を全然わすれていした、そして 彼はちょっと気分を害した。

どうですか、へんてこではありますが、わからなくはないですよね?
つまり、whoを真ん中にして、よいしょ! と全体をひっくり返す、
ということを決してしてはいけない、ということなのです。

これを少し普通に聞こえるところに持っていくのは、そう難しくないです。

(C) 会ったんだ、この人に、誰って、彼女が去年僕に紹介してくれた人なんだけど、学校のダンスパーティでね、去年ね、でも僕は彼を全然忘れてて、彼はちょっと気分を害していた。

どうでしょうか。
これなら、私たちにとって、変ではあっても、意味は通じますね。

私の日本語の生徒が、日本語の語順で喋ろうと苦心して、
「ヨダみたいな喋り方なんですね〜」とよく言いますが、
私たちはヨダ師の言うことがわかるのだから、(B)(C)もわかるわけです。

もちろん、最初は辛いです。

辛いんですが、辛抱して耳を澄ませていると、わからないでもない、
という境地になってきます。
アイガー北壁が、富士山八合目の急坂ぐらいには変化してきて、
全く不可能・・ではない、感じになってきます。

もちろん、週に1回、英会話スクールに行ったときの1時間が、
1週間で英語を聞く、話す、唯一の時間ならば、
なかなかこの脳は育ちません。

ぜひ、日常的に、
「すでに自分の中に入っていて、考えないでも出てくるフレーズ」を、
いろいろ呟いたり、書いてみたりしてみてはどうでしょうか。
私はそれで、ストックを増やしていきました。

日本にいる限り、英会話の先生以外には、
英語を話すチャンスはないのが普通です。
「畳の上の水練」ではありますが、
使えない翻訳をやり続けるよりは、効果があると思います。

例を一つだけ書きます。

使いにくい although というのがありますね。

文の頭につけるのに、「・・・・・・ではあるのだが」という意味だそうです。

Although I don’t do it myself...   自分ではしないけど・・
Although they did not do it......  彼らはしなかったけど・・

ここに、中学高校で仕入れた言葉を入れてみます。
もっとなにか、続けて言いたかったら、
心の中でコンマをつけて、続けてみたりします。

Although my husband will not go, I will go with you.
主人は行かないけれども、私は行きます。

Although I did not buy it, it was a good product.
私は買わなかったけど、いい品でした。

ちゃんと英語を話していますね。


まとめです。
・英語の短いフレーズを 丸呑みしてストックしていく。
・英語の順番通りに、聞いた通りに理解しようとしてみる。
・わかったと思えるフレーズに、いろいろな言葉を入れて、
独り言と、たくさんノートに書いてみることで、
言えそうなことを増やしていく。
・そのことで、言えることが増えていく。

言えないことは聞こえてこない。
言えることは聞こえてくる。

皆さんはどう思われますか?

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。