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Foodies! その22.ローストのお部屋(2)チキン


私が初めてローストチキンを見たのは、生徒の家でした。

焼き上がったのがオーブンから出てきたのを見て、

マッチ売りの少女が窓越しに見たのと同じ・・
あの、「鶏の丸焼き」だわ。

と、大感動しました。

(鶏の丸焼きは、さすがに死語ですね)


そのとき生徒は、せっかくの「丸鶏」を細かく切ってしまいました。

豪華な感じのする鶏の丸焼きは、お皿の上で
胸肉の山、ウィング、ももに分かれて並べられたのです。

なんだか、もったいない気がしましたが、
そうするのが普通なのだということでした。

考えてみれば、丸鶏がそのままテーブルにあっても、
どこからどう食べるのか、悩みます。

昭和の子供(私)はそれまで、

「丸鶏」=すごいご馳走!

と思っていたものの、なるほどそのままじゃ、食べにくい。

いい大人が、てんでに手を伸ばして、
フォークやナイフをふるうのも変ですし。

ローストチキンは、お洒落ぶってテーブルに置いておくのではなく、
口にはいるサイズに切り分けるのが本当なのでした。


さて、結婚して初のクリスマスは日本でしたので、
夫が時間をかけてクリスマスの食事を作りました。
側で手伝いながら見ていましたら、
面倒なだけで、そこまでの技術は要らないようでした。

それで、翌年から私が焼くようになり、
クリスマスに限らず、誕生日などにも登場することになりました。

もしかすると、今年のクリスマスはローストチキン、
という方もいらっしゃるでしょうか。

今はクックパッドでも何でも、
いろいろなレシピが紹介されていますが、
私のやり方は簡単ですので、ちょっとご紹介しますね。

丸の鶏は、スーパーで事前にお願いしておくと
取り寄せてもらえると思います。
4人家族で2kgあれば十分かなと思います。

100g100円、丸鶏で2kg2000円ぐらい。
四人で食べて余りますので、外食より安いかもしれません。

焼き上がりまでたぶん、1時間半ぐらいなので、
オーブンに入れる3時間ぐらいまでに
外に出して室温にしておきます。

食べたい時間の2時間ぐらい前に、準備を始めます。

まず、流水で全体と、お腹の中を洗います。
羽根や足があっちこっちしますので、
赤ん坊をお風呂に入れたときを思い出します。
最初は結構気持ち悪いし、怖いです。

キッチンペーパーなどで、お腹の中と体全体を拭きます。

お腹の中に塩胡椒を強めにして、すり込みます。

そこへ、詰め物(スタッフィング)をします。
お腹を「抜いて」ありますので、その空洞に、
鶏と一緒に食べるものを詰め込んで一緒に焼くのです。

我が家は、食べられる詰め物(パン粉やごはん)と、
香りと風味付けのための、食べない詰め物と、
入れるものは そのときによって違います。

パン粉は、香味野菜と一緒にバターやオリーブオイルで炒めたものです。
食パンを使う人もいます。

ごはんは、普通に炊いてから、バターライスにしますが、
甘栗・ドライフルーツ・ナッツなどを入れるとおいしいです。

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「食べない詰め物」は、レモン1つを半分に切り、
ローズマリーの枝1本(ドライのものも大丈夫)、
バターを結構大量に入れています。

鶏のお腹に詰め物を入れましたら、
楊枝や竹串で、開口部を縫うようにして閉じます。
うまく閉じられなくても、詰めたものは出てきませんので大丈夫です。
脚はタコ糸で縛ります。

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ウィングは、楊枝で体の方に留めつけます。
しなくてもいいですが、焼き上がったときに
ばんざ〜い、みたいに開くことがあるので、私は留めます。

この鶏に、強めに塩胡椒を擦り込み、
溶かしバターを全体に、ハケなどで塗ります。
ひっくり返しながらなので、まな板も手もべたべたになりますが、
そこは頑張ります。

それから、じゃがいも、人参、南瓜、玉ねぎなどを、大きめに切ります。
玉ねぎは皮をつけたまま4つ割り、じゃがいもは中玉ならそのまま、人参は半分。
そういう大きさです。
網がそこまで高くないので、大きさによっては、つっかえます。
なので、もっと小さく切ることも、よくあります。

オーブンペーパーを敷いたオーブン皿に、その野菜を広げ、
塩胡椒のほか、お好みでハーブを振ってもいいと思います。

一緒に焼く野菜は、カリカリになっておいしいものですが、
鶏の焼き上がるのを待ちながら、
別にお鍋で蒸したり茹でたりした野菜もおいしいです。


野菜をの準備ができそうなぐらいのタイミングで、オーブンを190度に余熱しておきます。

オーブン皿の野菜の上に網を置き、その網の上に、鶏を仰向けに載せます。

私はときどき間違えてうつ伏せにしてしまいます。
味は変わりませんが、出来上がりの様子が、変です。

それから鶏と野菜全体に、アルミホイルをかぶせます。
蒸し焼きにするためなので、できるだけぴっちりがいいです。
全体をくるんでしまう感じです。

余熱のできたオーブンの下段にオーブン皿を入れ、1時間半ぐらい焼きます。
よく見るレシピより、かなり温度は低目な感じです。

1時間半経ったら、ホイルを外します。

それから、220度ぐらいにオーブンの温度を上げて、更に2〜30分焼きます。

焼き上がったかどうかは、鶏の皮の色具合を見てください。

ちょうどよい焼き色になったら、一度オーブン皿を取り出して、
鶏ももの内側に深くフォークを刺し、出てきた汁を見ます。
それが透き通っていたら大丈夫です。
ピンクや赤の汁が出るようでしたら、ホイルを戻して、10〜15分焼きます。
お試しは2回(両方のもものつけね)できます。


焼き上がりましたら、この方のような感じで切ります。

https://www.youtube.com/watch?v=Ft4oDhz6cuw

ジェイミー・オリバーが見違えるほどの老成した紳士に。
大ショックです。

彼は、触れるぐらいまで冷めてから切っているので、楽そうです。
私たちは熱々を食べたいので、もっと大騒ぎになります。
ずっとみていると、3分15秒ぐらいで、後述の「ウィッシュボーン」が出てきます。
それから、映画「アメリ」の最後の方で、幸せになった男が、いつも一人で食べてるチキンを孫と食べて、一番おいしいところを孫にやるのですが、それらしきものも出てきます。背中側の「オイスターズ」と呼ばれる部分らしいです。お時間があったらぜひこの動画を見てください。丸鷄を切るのが怖くなくなりますよ。


前述のウィッシュボーン=お願いの骨 ですが、胸のあたりあるV字型の小さい骨です。小さいお子さんがいたら、とっておきましょう。
これをカラカラに乾かしててから、
二人の人が両側から引っ張ると、これが二つに分かれます。
その大きい方を持っていた人の 願いごとが叶うのだそうです。

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さて、鶏を切り分けたり、野菜を盛るのはテーブルにいる人に任せ、
台所にいる人は、グレービーを作ります。

オーブン皿から、汁気を鍋に移します。
お焦げが美味しいので、スパチュラなどでガシガシ削って、
一緒に鍋に入れ、少しの水を足します。

火にかけて、塩胡椒、バター、にんにく、ウスターソース、
ケチャップ、オイスターソースなど、お好みで入れます。
煮立ちましたら、水溶き片栗粉を回し入れてかき混ぜます。
これを好きなだけかけて、鶏と野菜を食べます。

食事が終わりましたら、テレビを見ながら、使い捨てポリ手袋をはめた手で、骨から肉を外します。
ひっくり返しとっくりかえし、少しも捨てないように、しつこく取り組みます。

肉や詰め物は保存容器に入れて冷蔵庫へ、骨は大きな鍋に。

鍋に水を入れ、骨と、玉ねぎ、人参の皮、にんにく、ローリエなど、
粒胡椒など、いい味が出そうな気がするものを入れて、しばらく煮ます。
これでおいしいチキンスープができます。
暑い季節でなければ、火を消して翌朝まで放置するのがいいようです。

残ったお肉は、サラダやサンドイッチに使えて便利です。


次回はターキーと豚の腿肉のローストについてお話ししますね。


準備(前日まで)鶏を予約して、取りにいく。

準備:(当日)
食べたい時間の2時間前に鶏を冷蔵庫から出す。

以下を、慌てないように先に出しておく。
タコ糸・ホイル・オーブンペーパー(ホイルでも可)、
塩胡椒・あればハーブ・バター・詰め物の材料、
グレービーに入れたい調味料

バターを溶かす。
好きな詰め物を作る。
鶏を水洗いして水気を拭き取る
鶏に塩胡椒をしてバターを塗る
詰め物を詰め、タコ糸で鶏の脚を縛る。
野菜を剥いて適当な大きさに切る。
オーブンの余熱をセットする。
オーブン皿にオーブンペーパーを敷き、
野菜を広げて塩胡椒、あればハーブを振る。
その上に網を置き、鶏を仰向けに置く。
全体をホイルで包む。
余熱ができたオーブンの下段に入れ、1時間焼く。
ホイルを取り、焼き色がつくまで焼く。
火の通りをチェッっくする。
グレービーを作る。


以下は去年のクリスマスの写真です。

2kgの丸鶏を使いました。長女が巣立つ前、家族で家で過ごす最後のクリスマスとなりました。そんな気がしたので、ちょっと力が入っちゃいました。


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