見出し画像

エッセイ306.おうちでロスト・イン・トランスレーション(23) ジョークでロスト


あるとき、生徒から聞いた話です。

息子さんが10歳の誕生日を迎えるそうです。
とても嬉しそうに話してくれて、つけ加えました。

「今までは さい(9歳)だったけど、
明日から てんさい(ten歳)になりますね!」

私、ぽかんとして、

「え〜・・・・・と?」

と返しましたら、嬉しそうに教えてくれました。

「くさい、だった子が、てんさい(天才)になりますね」

わかる・・・

わかりますが かなり厳しい。

訊いてみました。

「英語で話すときも、
けっこう、駄洒落を言うほうですか?」

「言います。
家族からは、いい加減にしてと言われています」

「なるほど!」


この話を、駄洒落が大好きな夫にしましたら、これがまた大受け。

「あのー、夫にはこれ、面白いですか?」

「面白いです! 君も面白いでしょう?」

「あーいや、うーむ・・」

「面白くない!? なんで! こんなに面白いのに」

と、しきりに言っていました。


そんな夫の一つ話ですが。

「私の駄洒落好きは、
ホームステイのお父さんから受け継いだものです」

「ほうほう・・」

「お父さんは私と会ってすぐに こう言いました。

『Have you habu in New Zealand?』 と」

「ごめん、わからない」

「だから、ハブというヘビが いるでしょう?
そのハブがニュージーランドに・・」

「あ〜、いるかって?
Do you have habu って?」

「そうそう!」

大喜びです。

そうか〜・・・

私、なんとなく、夫を始めとする非日本語ネイティブの駄洒落に、
すぐに通じないことが多いのは、彼らの耳に

「同じように聞こえてしまう日本語」

が多すぎるからじゃないかなぁと思っています。

そういう駄洒落を言われると、前はよく娘と三人で、

「いや、全然二つの言葉、同じに聞こえないから」

と突っ込んでいました。


夫とは、結婚後30年近く経ちますが、
私が友達の「小辻」さんの名前を出すと、夫は100%、嬉しそうに、

「ああ! 交通事故がどうしましたか!」

と、かましてきます。

二つの言葉は、私にとっては、全然、紛らわしくありません。
だって、高低のピッチが全く違いますから。

でも、夫が日本語で寝言を言ったり、冗談を言おうとしようとするのは、
本当に偉いと思います。


この前の夫の寝言は、

「もう! やめてよ〜」(日本語で)

でした。

私、夢の中でもなにか、無体なことをしていたのでしょうか。

あれこれ、今日もロストです。


サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。