見出し画像

エッセイ362.翻訳の沼 (23)/めくるめく機械翻訳の沼(下)

続きです。

鶏肉に取りかかります。

「 1ポンドのチキンドラムスティックをきれいにして、
ペーパータオルで乾かします.」

原文はたぶん、鶏肉に汚れ(ときどき残っている羽毛とか?)があれば取り除くという感じですかね。
「ペーパータオルで乾かします」というより、
「水気をよく拭き取ります」と訳すといいと思います。
"dry"を直訳して「乾かす」と言う語を選んだのだと思いますが、
「乾かす」は日本語だと、ぶら下げたり並べたりして、
空気や火力・風力などで乾かすという感じがします。

ポイント;拭き取って水分を取るのは時間が短く、
乾かすのは、火や空気の助けを借りて、時間もある程度かけることである。
日本語レッスンではそういうふうに教えると思います。

次です。

「シーズン。 鶏の足をこする 寛大に 大さじ1杯の鶏肉、鶏肉、またはバーベキューチキンの調味料を全体にかけます。」

これは厳しい。
句読点のなさと英語的な語順。
"season" は、この場合、「季節」ではありませんで、
「スパイスやソース、塩コショウなどで材料に風味や味を加えること」
です。
seasoning というと、風味づけ、味付け、またはそのための香料・ハーブなどのことです。

ここでは、「味付け」でよいのかな。

「寛大に」は、おそらく generously の直訳で、それ自体は間違ってはいないのですが、ここではもう一つの方の意味です。
"generous ", "generously" には、「人に寛大にする」という意味の他に、
「ふんだんに」「気前よく」「たっぷりと」
という意味があります。

ですので、人間が訳すと多分ここは、こうなります。

『味付けです。
用意したチキン用、またはバーベキューチキン用のスパイスをたっぷり
(=大1)全体に振り、擦り込みます』


次に、

「鶏肉を茶色にします。 」

とあります。

おそらく、"Then brown the chicken"のようなことが書いてあるはずです。
ブラウン、と言うと、茶色の、色の方しか私たちは思いつきませんが、
英語ではto brownというと、動詞です。
これは、こんがり焼いたり炒めたりして、焼き色をつけることです。

なので、「鶏肉を茶色にします」ではなく
「鶏肉がこんがりとなるまで焼き付けます」ぐらいがいいでしょう。
「鶏肉に焼き色をつけます」とか。

「インスタントポットの底に大さじ1杯のオリーブオイルを加え、ソテーします。 油が熱くなったら、下味をつけた鶏もも肉を一気に入れ、外側に焼き色をつける 片側2〜3分.」

ほぼ大丈夫です。語順がちょっと変なだけです。

「調理する準備をします。 バチに焼き色がついたら、皿に移し、ソテーモードをオフにします。 1カップの水を加える (またはスープ) そして内鍋にゴトク。 鶏もも肉を並べる 単層 ゴトクの上に置き、ふたを閉めます。」

想像で補えば、ちゃんと理解できます。
ゴトクは、「五徳」ですが、これだと直火に(囲炉裏とか)載せるあの、ごっつい鉄のものを思ってしまいます。
現代のものでは、ガスコンロの、鍋類を載せる金属の土台の部分。
いずれにせよ、「五徳」は直火用ですので、インスタントポットの中に設置するあれを、「ゴトク」と呼ぶのは辛い。
辛いが、適切な訳語がなかったのでしょう。


左上  伝統的な五徳    右上 一般的な現代の五徳
下  インスタントポットの付属品でついてくる、蒸し器。
これを見て「五徳です」と言う人は少ないと思います。
インスタントポットには、蒸し器がわりに、このステンレスの輪っか状のものがついてくるのです。☝️
材料が大きいものでないと、この輪っかから下の水に落ちるので、
私は穴の開いた一まわり小さい「内々鍋」を使っています。


「鶏もも肉を並べる 単層 ゴトクの上に置き、ふたを閉めます。」

「単層」は あきらかに single layerの直訳。
誤訳ではないにしても、意味がわかりませんね。
「鶏肉を『重ならないように』蒸し器の上に並べ・・・」
です。

ところで、インスタントポットの内鍋はステンレスなだけに、
また、微妙な火加減(トロ火など)はできないために、
レシピ通りににソテーしようとすると、割とすぐ引っ付きます。
鶏肉の皮とか魚の皮なんて、どんな火加減でも一発でくっついて、はがれます。
ただ、
「インスタントポット一台で、下ごしらえの炒めから何からできます」
という触れ込みですので、ソテーモードでインスタントポットで炒めますが、でも、普通のフライパンで炒めてからインスタントポットへ移す人も多く、私もそうです。

結論は、焼き色をつけたら(ブラウンしたら)、一旦肉を取り出して、
この先は蒸して仕上げましょうと、このレシピで教えてくれています。


「料理する インスタントポットを手動圧力調理に設定します 10分。 10分経過したら、インスタントポットをNPRにします (自然圧力解放) 5分。」

うーむ。料理するインスタントポット。
料理しないインスタントポットもあるのか。


次に、

「サーブ。 」

と、一言書いてあります。

テニスではありません。serveとは、盛り付ける、供するという意味です。

「サーブ。インスタントポットがほとんどの圧力を解放したら、通気ノブを回して手動で通気を終了します。 ドラムスティックをXNUMXつまたは複数のサービングプレートに移し、すぐにサーブします.」

インスタントポットには圧力を抜くバルブが付いていて、
これをひねって一気に圧を抜きなさいということです。
圧力は、解放してあげないといけないのです。
あと、「複数のサービングプレート」と、謎の「アルファベット」の意味が知りたいですね。


最後は・・
「子供も大人も大好きなチキンレッグ! あなたのバチを提供してみてください マカロニとトマト および さやいんげんのソテー 誰もが楽しめる簡単な夕食に!」

なんか、謎解きのようですが、バチをどこかに、誰かに、提供してみてくださいと勧めてくれています。


・・・こんな駄文を書いている間に、さっきマリネしたドラムスティックがこんな感じになりました。




面倒ですが、セラミックのフライパンで、焦げ目をつけました。

しまった・・・セラミックのフライパンも、すごく焦げ付くことを、
焦げ付かせてから毎回、思い出します。


そして、付属の蒸し器(輪っか)を、ソースが残ったままの内鍋に置き、
鶏肉につかない程度に、また、重ならないように並べ、お湯を注ぎ、
蒸すこと10分。


柔らかくなりました。美味しかったです。

ごく簡単に、電気圧力鍋をお持ちの方へ。
好きな感じの漬け汁、市販の焼肉のタレでもいいと思いますが、
鶏肉を30分以上つけます。
私は塩胡椒、すりおろし生姜とにんにく、オイスターソース、ケチャップ、ウスターソース、醤油と言う感じです。
ママレードと醤油同量、というのも、簡単でおいしくできます。

さっと肉からタレを切って、油を敷いたフラパンで焼き色をつけます。
内鍋に、肉につかないぐらいにお湯(水)を入れ、高圧で10分。
終わりましたら、圧を抜いてもいいし、食べるまで放っておいて自然に圧が抜けるのでもいいと思います。
味は、蒸すときにだいぶ下に落ちて薄くなるため、結構強めにつけて大丈夫だと思いました。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。