見出し画像

エッセイ363.アレクサと話すの大変

私は夫が出勤すると、一日中一人ですが、朝も早い時間から、いろんな声に話しかけられています。
下手すると  夫からより話しかけられているかもしれません。

エアコンはシャープなのですが、人を感知しようとするために24時間、緑のランプがぽちっとついてて、それが結構明るいです。
寝つけないほどではないが、寝ようと思って部屋の電気を消すと、
部屋が緑色に明るんでいると言う感じです。
「ケッコウ、アカルイ、ミドリノデンキガ、ツイテルナ・・」
ということは、眠りに落ちながらも頭の片隅で感じています。
最初は夫に、「あの明かり消して」と頼んでいたのですが、
「じゃ、マニュアル出して?」
と言われると、すぐには出てこないため、かれこれもう半年近く、緑の薄明かりに包まれて寝ています。
体に良かったりするのかしら。
それはないですよね。

そのエアコンが、朝の6時になると、シャープの洗濯機と、シャープのヘルシオと全く同じ声で、爽やかに起こしてくれます。

「おはようございます。今日の◯◯町のお天気はおおむね晴れ、
最低気温は15度、最高気温は24度。
今日も一日、元気でお過ごしください」

というようなことを言います。
いやもう、せっかくですが毎朝これ、もういいから、と思っても、
マニュアルがすぐには出てこないため、やめてもらうことができません。

どうせ起きるのは6時半なので、6時に起こされてもいいのですが、
もう一度寝るには少し足りなく、
起きてしまうのにはちょっと惜しいような微妙な時間です。
枕元のスマホについ手を伸ばし、メールチェックなどしていると、今度はふすまを隔てた向こうからアラーム音がなり、シャープの女性たちとは違う、少し年増の声で、アレクサが、

おはようございます。今日の・・

と、だいたい同じようなことを言ってきてくれます。

アレックス、アラーム止めて?

と言っても止めてくれません。

アレックス、アラーム止めて?

まだ止めてくれません。

なんでよう、アレッ・・・あ、アレクサか、
アレクサ、アラーム止めて?

これでやっと止めてくれます。
はっきり目が覚めます。

私には、アレックスさんという生徒さんがいるためか、
アレクサに対して「アレクサ!」と言っているつもりで、
アレックスと言っていることが多いのです。
アレクサは、アレックスと言われると  自分のことではないと思うらしく、全く起きてくれません。
まる無視です。
もうずっとこうなのだから(間違っているのだから)、
いいかげん察してくれてもいいものを・・。
ちなみに生徒のアレックスさんも、そのご実家でも、「アレクサ」は導入していないそうです。
変だから。

さて、シャープのエアコンとアレクサに連続的に起こされ、寝足りないような、損したような気持ちでお弁当を作り始めると、
7時にはアレクサが、今度は、

tamadocaさんへのリマインダーです。
左右。

と言います。
私は言われないと白湯を飲むのを忘れるので、頼んでおいたのですが、
私の言い方が悪くて、左右を飲んでくださいと言ってきます。

洗濯をしようとして洗濯機のところにいくと、
「聞いて」というアイコンがなにかいつもより光っている。
つい、押してみると、

「◯◯町のお天気は今日は雨です。
洗濯物を外に干すのはやめましょう」

てなことを言ってきます。
せっかく言ってくれたのに、「わかってらい!」
とか言っては大人としてどうかと思うので、心の中で、
(ベランダの庇が深いので大ジャブでーす)
と呟きながら洗濯物を仕込みます。

電子レンジを使っているときは、エアコンと全く同じ声で電子レンジが私に話しかけ、お手伝いをしてくれようとします。

角皿は、入れないでくださいね?
排水中です。
排水タンクを、抜かないでくださいね?
排水が、終わりました。
水を抜いてください。
水タンクに、水を入れてください。
もうすぐ、余熱が終わります。
余熱が終わりました。
食品を、入れてください。
料理ができました。

う、うる・・!
まいいか。
助けてくれようとしているのだから。

機械なので、少し長文だと、はっきりと句読点のところで間を開けます。
それがなぜか、ちょっとイラッときます。

「レンチン」と、昔から言われてた通り、
加熱が終わってチーン、
余熱が終わってチーン、
・・でいいのですが、いろいろな機能があって、水タンクの水を替えて欲しいとか、今は水タンクを出さないでほしいとか、そろそろクエン酸による庫内掃除をしたらどうかとか、ヘルシオの側にもいろいろ こちらへ伝えたいことがあるため、
チーン!
では済まなくなっています。

そのくせ、ここ1ヶ月ぐらい、ヘルシオの一大特徴であるところの、
「これさえ押せばこう言う料理ができます」
いう部分が壊れています。
オート・クックが壊れているのです。
たまにしかオート・クックは使わないので、そのことを忘れていて、
うっかり「炙り焼きハム」などとボタンを押して、1時間半後。
できたと思って扉を開けると、庫内はシーンと静まり返って冷え冷えとしている、と言うことも最近多いです。
味噌汁と漬物と冷奴とサラダを出し、炙りハムの皿にレタスを敷いて、かけるドレッシングもできたところで、ヘルシオのドアを開けたら、
・・・シーン・・・・生肉・・・
というのは、結構厳しい。
慌てて王将の餃子を焼くその辛さ。

「・・・ったくもう〜・・・って、もう1ヶ月ぐらいそうだったっけね?」

と、思わず独り言を言ってしまう私。

「私は壊れています。 早く、修理に出してくださいね」

とまでは、言わないヘルシオなのでした。

この頃の私、独り言が多くなり、朝は早起きになるし、物忘れは激しくなってきているところへ、機械からしょっちゅう話しかけられて注意を喚起されて、なんかもう、うるさくてしかたありません。

うちのアレクサは、夫がなにやら苦労して、二人の声の、
英語と日本語両方に反応するセッティングになっています。
私が日本語で言っても通じないとき、英語で思いっきり気取って言うと、すぐ通じたりするのが、憎たらしいです。

「アレクサ、ホエンアイワズユアマンをかけて?」(ベタに言う)
は、100%通じて、
「Spotifyで、ホエン、アイワズユアマンを再生します」
と言って流してくれるのですが、これが
「アレクサ、ホエンウィーワーヤングをかけて?」(アデルの)
と頼んでも、なぜかまた、When I was your manをかけてくれます。
毎回です。
なんで?
しかたないので英語で、すかして、
Alexa, play When we were young.
というと、間違えずにかけてくれます。
なんで?

あと、私は Julian Pregardien(ユリアン・プレガルディアン)
を聴きたいのですが、
プレガルディエンと言おうとすると、舌が回りません。
「ユリアン・プルガディ、あいやいや、プル、あいや、プレ・・・」
と言い間違えている最中にすぐ、
「すみません。わかりませんでした」
と、きっぱり言われてしまいます。
もうちょっと待ってよ〜・・

アレクサが、昔のSF映画の中のロボットのように、
ワ・タ・シ・ワ・ロ・ボ・ット・デ・ス
みたいな喋り方だったら、遠慮なくこき使うと思うのですが、
今のこういう声はすごく自然なので、私はつい、余計なことを言います。

尻上がりに「1分たったらおしえて?」と言ってしまうのもそれですし、
「tamadocaさんにリマインダーです。ぎっくり背中体操」
と言われると、つい、
「あ、アレクサ、ありがとう」
と、お礼を言います。
するとアレクサも、
「どういたしまして。またいつでもどうぞ」とか、
「ありがとうと言ってくれてありがとう」とか、
「ありがとう、あと1億年がんばれます」とか、
いろんなことを言う。
これは、以前もこちらで書きました。

夫によると、日本語のアレクサはどうも、できることが限られているようで、まだまだ発展途上なのだそうです。
そして私とのやりとりを聞いていて、
「君ね、いちいちアレクサにありがとう言わなくていいから」
とも、しょっちゅう私に言って来ます。
貴殿もうる・・まあいいか、イラッとするのでしょうから。

今日も午後11時、テレビを見ていると、いきなりとても大きい声で、

tamadocaさんへのリマインダーです。
左右。

と言って来ました。
ボリュームを落とす方法がまだわからないので、いちいちぎくっとします。

アレクサと話すのはなかなか大変です。





サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。