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エッセイ446.小さな住まいの良いところ(台所の章)


東京の狭小マンションに引っ越して、早や1年と少しが経ちました。
現在の3階建ての古いマンション、3LDK 64㎡は、
6畳の和室
LDK(=居間部分+キッチンカウンターで区切られた台所)
狭いので場所によってはカニ歩きになります。
それと、夫婦それぞれに5畳の仕事部屋があります。
狭いけれど、とても快適です。
無人野菜販売所、お稲荷さん、馬頭観音、雑木林が見える広大な農家の屋敷も多いです。
駅まで行けば便利だし、友達も歩いて行ける距離に3人もいて(昔住んでいたところへ越してきたため)、寂しいということもありません。

で、我が家の台所ですが、賃貸暮らしの歴史の中で初めて、キッチンカウンターがあるのです。
これがとても良かったです。

台所で作業をしながらテレビが見られるし、カウンターにiPadを置いてビデオが見られるし、会話をしなくても、大体いつも夫が目の前に座っています。

もう一軒前の賃貸(社宅)は古い戸建てで、台所が引き戸で隔てられていました。
一人で台所で作業をしていて、テレビを見ながら馬鹿笑いをしている家族の声が聞こえてくると、めっちゃくちゃ疎外感、なんなら少し、むかついてしまう間取りでした。

その頃食事の支度ができると、台所の引き戸を開けて、

ご飯できました、取りに来て〜

と、家人を呼んでいました。
すると家族全員、テレビ、本またはスマホに目を落としたまま、

あ、はぁ・・・
あ、は〜い・・・はいはい・・・

と生返事。

家族全員、耳から入った音声が脳に到達するまで何十秒もかかるので(それでも恐竜よりは早いそうです)、私は待ちきれずに、お皿を持って台所と居間との往復を始めていました。

当時よく娘たちから、

「おかんて、取りに来て〜、っと叫びながら、お皿持って駆け込んでくるよね」
「ちょっと待ってればうちら、取りに行くのにね」

と言われていました。
いやいや、それは嘘うそ、もうちょっとは待っていましたよ。
10秒ぐらいは。

だけど今は、カウンターにどんどん食べ物を載せていくと、夫がホイサホイサと食卓に運びます。ものすごく快適です。

これがあるからこそ、諸事が簡便になっているのです。
ビヴァ、キッチンカウンター。
ありがとう、キッチンカウンター。

私は一生のうちに一度は、持ち家というのに住みたいのですが、好きな場所に住もうと思うと今はとても難しいです。
ウッドショック、エネルギー不足の影響で、家の値段が跳ね上がっているところへ、家なんか買うのは悔しいではありませんか。
え、そもそもそういうお金ないでしょう、ですって?
それを言われてはおしまいですが。

でも、もしその望みが叶うなら、私は1階に水回りと、キッチンカウンターのついたLDKがいいですね。

今、久しぶりに階段のない平面の暮らしを満喫しているのですが、もし2階建に暮らすことがこの先あるのなら、全てのことが1階でできる暮らしがいいです。

この年になると、
「2階上がるまじ」
の気持ちがどんどん強くなっていくのを感じます。

街を歩いていて、3階建ての家を見ると、

「家族が若いのね」
「体力あるのね。体力がみなぎっているのね」

と必ず思います。

人の家を見て、あれこれ言うのが好きになる。
これもまた加齢によるもので、皆様も将来、必ず経験することでしょう。
そこはお楽しみに。

サポートしていただけたら、踊りながら喜びます。どうぞよろしくお願いいたします。