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エッセイ542.コミック「佐橋くんのあやかし日和」

佐橋君は、道端でひよこを売っているおじさんから、一番可愛くないやつを買いました。あっという間に大きくなって、それが火の鳥だったとわかったのです。
こんな始まりです。

ひよこを売っていたのは、悪魔でした。
そのあと、何かというと「妖し(あやかし)」に絡んでこられて、何かを解決しようとか、誰かを助けようなどとは、佐橋くんは思っていないのに、周りにいる友達も先生も、どんどんその正体を表すわけです。

火の鳥をおじさんに返品しても勝手に窓を破って帰ってきてしまうし、
先生の学友は実はキツネで、先生は走るのがめちゃくちゃ早い狸だったりします。

何か事件があっても、
うわ〜と言って逃げるぐらいしかしない佐橋君。
筋肉もりもりの先生も、頼りにはなりません。

けど佐橋君は周りを取り巻く人がみんな良い人たちです。
半分あやかしだったり、
倫理観に欠けているので気をつけて付き合わないと食べられてしまう相手などもいますが、佐橋君を見ていると、日々之好日(ひびこれこうじつ)という言葉が浮かんできます。

一話終わるごとに登場人物の紹介のページがありますが、
特に叡智があったり、解決策を持っているような人(妖)はいません。

最後は本編の主人公佐橋君のプロフィールですが、こんなです。

作者、三卜二三(みうら・にぞう)さんの、言葉の選び方がとても好きです。
黒塗り部分はネタバレなので隠したものです。

「夏目友人帳」と同じようなところにある気がしたのですが、周りの人たちも佐橋君の身の上に起こることは、みんな普通に見えています。お父さんお母さんなんどは、肝心なことを佐橋くんに教えてくれていなかったのですが、理由は
「普通に育ちすぎていてそのことは忘れていた」
でした。

夏目みたいに孤独感とか、いちいち事情を抱えた妖怪を救ってあげなくちゃならないということもなく、お話はのほほんと進んでいきます。まさに「あやかし日和」というに相応しい感じ。

何も解決や展開はなくて良いので、のほほんと何巻も何巻も出版してほしいコミックです。



危機と言ってもこの程度です


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