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ソイチューバーとFigaroの御吸物【ネタ小説】

注釈:本記事はネタ小説です。VSingerの活動をされているFigaroさんがSplatoon3のイベント、ビッグビッグラン中に武器のソイチューバーとの仲が不穏になっていき、やいのやいので別れ話の世界線が繰り広げられたためそれを無理やり展開していくネタ小説です。
また本作は二次創作であり、本作はFigaroさんご本人の交友関係を示唆する意図は一切無く、筆者がネタの延長線上で書き上げるフィクションです。
この一連のネタの元は下記配信をご確認ください。

本編

彼女と出会ったのは何時の日か、他愛もない日だった。その他優秀な同僚のシューターや明確な雑魚散らしもあり寄り遠距離が強いリッターが居たそんなサーモンランの日。
カタログスペック的にリッターとシューターの中間、器用貧乏だからこそ、他者を生かす。良く言って和風、酷く言って古臭い私はソイチューバー。辛抱強さの表れか、チャージ持続が5秒だけがチャームポイント。
始めたてなのか右往左往してチャージがままならない場面でも、予めダメージが分散されていたおかげでワンタップで倒し切れる雑魚シャケ。また類を見ないリッター類の機動力を生かしてシューターのアシスト。
私を扱う彼女もそことなく少しずつ頭角を現し、私だけが見る彼女の横顔は着実に戦場の臨場感を存分に楽しんでいる様子だった。
短いようで長い3時間のうち、幾度と手放されもしたが、手に取られる度に彼女はサーモンランに馴染んでいった。私もこうしてまた一人、伝説アルバイターを一人送り出せるのか、と感慨深く思っていた。いつしか、彼女が纏う雰囲気が魅力的に見え、人間宛てに言う「座れば牡丹歩く姿は百合の花」という熟語が彼女のためにあるのだろうかと想い始めた。
「私、ソイチューバーと付き合いを始めるわ~」
余りにも素っ気無かったからこそ、真実味があった気がする。
「Figaro様のお通りよ~~」鎧袖一触、というようなブキではないハズ、だけれども彼女の熱意を一身に受け止めてるからこそ、カタログスペック以上のことができる気がしたし、彼女もスペック以上を引き出そうとしていた。

互いに大人だからか踏み込み過ぎず、あるがままを認めたい。彼女のVSingerとしての稼業が大成し忙しくなる、何なら近々引っ越す。私もサーモンランは俗に言うバイトと同じなので会えるタイミングは限られている。
人間同士では遠距離恋愛とか、プラトニックラブだとか諸々言えるし、互いに大きく尊重しているからこそ悠々自適な関係性が丁度良かった。
「今月の仕送りいっぱいだ~w」溢れ出る茶目っ気。
快活な「ナイスぅ~!ありがと~~~」は大変力強く。
「私もお婆ちゃんになって、最近耳が遠くっての~」演技力もさながら場を和ませることにも長け。
「ダカラ~アレホド~ガソリンヲダイジニ~」抜群のセンスとRPする勇気。
「くっそ~~、次こそは~~~」しっかりと悔しみを覚えつつ成長を止めない様子は真に楽しんでいる。
そんな優秀な彼女だからこそ、添えられた私のような存在は、より一層高嶺の花であることを世間に知らしめる。昔の日本の表現で「お付き合いさせて頂いている」という畏まった表現もあるが、そう口ずさむ方々も同じように相手に惹かれているからこそ自然と出たのだなと実感させられた。

月のように愛は満ちれば欠ける、我慢強い自分としては否定したかった言い回しだったし、自分たちはそうではないと真っ向から否定したかった。ただビッグランが訪れる度にその不安は精神的な堆積物として積っていった。
練習できない環境、ランダムな同僚たち、無慈悲なシャケ共。
自分より「弱い奴」は幾らでも居るし、弱かろうが強かろうがバランスのが大切のハズが、そのバランスをぶち壊す「クマサンブキ」なるものも常々登場する。そして見直す自分のカタログ、注釈が多い分弱点も多い。
何より「我慢強い」と思っていたのは、飽くまでも自分の不満を我慢できる量であって、彼女の不安を受け止め切れるとは限らなかった。
互いにバイト感覚で出会ったハズだが、ビッグランで1タンク分の不服が漏れ出す。シャケ共を塗り返すハズが自分たちのインクが足場を悪くする。

雨と雲真っ盛り、低気圧に酷く弱い彼女といえどもここぞとばかりに奮闘する。今日はビッグビッグラン。止めども無くシャケが襲いかかり且つオカシラ連合が街を跋扈する。今回も私は彼女に握られる。
街を引き換えに我々の関係性は終わる。予感ではなく予測。

「この武器何?!」まったくもってその通りだ。
「他の武器なら勝てた~」確かに火力不足だ。
「あ~~~も~~~」快活な君がシャケにやられてしまう様子は、吹きすさぶ嵐に飲まれた花のよう。
「私今までソイチューバーと付き合ってた気がするけど、別れるかも」RPが上手な君だからこそ真実味もある。
「このシャケ共~~!」怒りをぶつける矢先を辛うじてシャケ共に充ててはいるが、賢い君だからこそ別の意味もあると勘ぐるのは自然のハズ。
「本日、私はソイチューバーとお別れします!」その宣言は正しい。所詮私は但し書きが多いブキ。高嶺の花は私無しでもそうである。
淡い恋だった、たおやかな一時だった。もし次があるならば、みたいな未練たらたらではない、君の不満を受け止めることが私の運命だったんだ。

本当は君の不安を吸えるような、はたまた一汁一菜のような自然な関係ならば誰も傷つくことはなかったが、私が吸えるのはインクだけさ。

(最後まで読んで頂きありがとうございました)。

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