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株は反落、ボラの低さもあって大手が大口オプションを仕込んだ可能性も

アジア時間に日経平均を中心にリスクオンとなったが、米国時間に入ると一気に巻き戻されて欧州・米国株を中心に下落。ここまでヒストリカルにみてもかなり下がっていたVIX などのボラティリティは軒並み上昇している。

まず、最初にマーケットで言われている一般的な解釈だけを羅列してみたい。

アジア時間は中国を筆頭にしたアジア諸国の PMIが予想を上回ったことで日経平均にHFやCTA などの買いがオープン直後に集中。中国PMIの上振れで上海株ではなく、敢えて日本株を買う理由としては、中国株はテクニカルなフローの要因で買いにくいというこ
とを挙げる人が多い。

ロイター社も報じていたが、中国は3年前のIPOブームに乗じた大株主のロックアップ期間が解除されたことで国内大株主による売り圧力が強い。そうした需給の面もあって消去法的にアジアの中では日経平均のほうが買いやすいというもの。

欧州時間以降は、関税に関するトークが大半を占めている。対欧州関税についても米国側が一旦棚上げしたかのように見えるが、いつこの話が出てきてもおかしくないことに加えて、本日は急にブラジルとアルゼンチンへの鉄鋼アルミ関税を再開するとトランプ大統領が発表している。

12/15の対中関税は“延期される”とマーケットは織り込んでいるが、本日のトランプ大統領の発表で12/15の関税引き上げリスクが意識されたという解釈。ISM 非製造業が予想以上に悪かったこともその後の値動きを助長した形。

加えて、ブラジルとアルゼンチンに対する関税再開の理由について“自国通貨を故意に安くさせ、米農家を不利にさせているので”としており、ドル安誘導のために手段を選ばないトランプ政権の動きに為替も大きく反応している。

ただ、個人的にはこれらの解釈は半分正しく、半分間違っていると考えている。アジア時間のリスクオンからの米国時間のリスクオフというチョッピーな動きは中国の PMIが先導したわけではなく、先週から話しているようにボラティリティショートというマーケットポジションが大きな理由だと思われる。

ボラティリティの売りは ETF を主に通じて行われており最終投資家は個人や機関投資家といった筋だろう。ここから米中協議や Brexitなどのイベントがあることを考えると、このボラティリティの水準は割安であると感じている。

一方、米中通商協議に対する解釈は正しく、 12月に入ってもフェーズ1に向けた日程の詳細などが決まらないばかりか、中国サイドからは1月末まで時間をかけることも辞さないとする一方的な宣言も合意期待を後退させていると感じている。

オプション市場で気になったのは ISM 非製造業が発表される前に、S&P先物のダウンサイドに大きな仕掛け買いが入ったこと。ストライクはS&Pで 2980で、プレミアムだけでも$30mio超とかなり大きなフロー。

先日、大手マクロ系ヘッジファンドのブリッジウォーターが米株のダウンサイドオプションを購入しているという観測記事が話題になったが、真偽はともあれそれなりの規模のマクロファンドが仕掛けたと思われる。

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