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対中関税を巡る米政権内の二つの勢力の対立が明らかになってきた

トランプ大統領は記者からの対中関税に関する質問に対して “U.S has not agreed to a rollback of ALLtariffs on China (米国は全ての対中関税を巻き戻す約束はしていない!)”と回答。中国商務省が記者会見で説明した “段階的に関税を引き下げていくことで合意”とは未だに溝がありそう。ただ、トランプ大統領も “段階的に引き下げていく可能性”を否定したわけではなく、ゲームを変えるニュースとはいえないだろう。

一方、この数日で見えてきたのは米国政権内に二つの勢力があり、それは “交渉の過程で関税を巻き戻す必要性を感じているグループ”と"一切妥協したくないグループ"に分けられる。(昨日の記事もご参考

具体的には、前者のグループにはクドロー、ロス、ムニューシンといった交渉の前線にいる人達が含まれると聞いている。一方、後者のグループはナバロ、ピルズベリー、ライトハイザーといった“中国脅威論”を唱えるタカ派がいると聞いている。重要なのはトランプ大統領のスタンスであるが、どちらかというと「今は」後者に近いスタンスとこちらでは言われている。

理由だが、まずトランプ大統領の思考回路は自己利益最大化が大原則といって間違いない。そんなトランプの頭の中にあるのは、

「選挙=宿敵バイデンの支持が弱っていて安泰」
「株価=史上最高値を更新。一方、中国株は弱い」
「経済=強い雇用と消費。一方、中国経済は減速」

といったことだろう。これらは自分の今までやってきたことの成果だと本気で信じている。
つまり、全てが上手くいっているのに、なぜ今、関税を巻き戻して中国に妥協する必要があるのかと考えている可能性が高いと思われる。 (9月の初めはそのような状況でなかったが今は異なる)

マーケットの期待と現実の乖離が大きくなってきたと感じており、引き続きリスクオンポジションは全てスクエアにして様子を見るべき時間と判断している。

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