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丘の屋敷 シャーリィ・ジャクスン

スティーヴン・キングにも影響を与えた作家シャーリィ・ジャクスン。彼女の映画「Shirley シャーリィ」が上映されると知り、「たたり」より改題された新訳版の「丘の屋敷」を読んだ。

心霊学者モンタギュー博士の調査のため、幽霊屋敷「丘の屋敷」に3人が招かれる。家に安らぎを感じたことのないエレーナ。若い頃から母親の介護に追われ、自分のことを考える暇さえなかった。32歳になったエレーナは「丘の屋敷」への協力を心待ちにしていた。

セオドラは、不思議な能力を持つ(別の場所に居る人物が選んだカードを的中させる)。エレーナとは違い、他者のためではなく自分の世界に生きていた。

ルークの叔母が「丘の屋敷」の所有者。彼は嘘つきで手癖も悪かった。彼が博士に招かれたのは、所有者の顧問弁護士から一族の一人を加えるなら、丘の屋敷に滞在しても良いという条件だったから。

「丘の屋敷」で今まで滞在したことのあるものたちは、例外なくこの屋敷からできるだけ離れた方が良いと言った。そこで博士が調査をすることになった。

シンプルで児童書のような流れで進む。エレーナがいつも抱える親の介護で失ってしまった時間への後悔。むなしさ。が多く書かれているが、そこには重々しい表現はなく、「希望がある」と明るい方向をみて進もうとする。セオドラ、ルークという同世代とのやりとりも陰湿な部分はなく、言い合いになってもまた一緒に過ごす。だけど、途中から何かが歪んでくる。辻褄が合わない行動と言動からくる歪みなのか。じわじわと分かり易かったストーリーへの「あれ?あれ?」という違和感。

私は初めての感覚で読了。

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