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読書記録『さよならドビュッシー』

【内容説明】

祖父と従姉妹とともに火事に遭い、全身大火傷の大怪我を負いながらも、ピアニストになることを誓う遥。コンクール優勝を目指して猛レッスンに励むが、不吉な出来事が次々と起こり、ついに殺人事件まで発生する……。ドビュッシーの調べも美しい、第8回『このミス』大賞・大賞受賞作。

目次
Ⅰ Tempestoso delirante テンペストーゾ デリランテ ~嵐のように狂暴に~
Ⅱ Adagio sotto voce アダージオ ソツト ヴオーチエ ~静かに声をひそめて~
Ⅲ Con duolo gemendo コン ドウオーロ ジエメンド ~悲嘆に暮れて苦しげに~
Ⅳ Vivo altisonante ヴイーヴオ アルテイソナンテ ~生き生きと高らかに響かせて~
Ⅴ Ardente pregando アルデンテ プレガンド ~熱情をこめて祈るように~
解説 大森望

出版社サイト 商品説明より)

Quotes:

 "「どんなに綺麗な服でも自分の趣味や体型に合わなければ苦痛でしかない。そういうのをお仕着せというんです。僕の知人にも何人かいますが、実際周囲の思惑や勘違いで本来の自分とは異なる何者かにされるのは悲劇ですよ。人間は水じゃないから、用意された容器に強引に押し込まれたら骨が歪む、鬱血もする。それでも周囲の期待に応えようとして無理に無理を重ねる。それは自分で生きていながら他人の人生だ。その辛さ、その虚しさを思うと暗澹たる気持ちになります」"

【印象的だった点】

■序盤の火事の場面、全身大火傷を負った後リハビリなどを行っていく場面、こういった場面描写がとても痛々しい。火に対して恐怖を覚える人や、大怪我を負ったことがある人は、読むのが辛いのではないかと思うほど。
■ピアニストになるために邁進する段階に入ると痛々しさは薄れて一気に読みやすくなる。
■特定のクラシック音楽をピアノで弾く際の描写が多く、作中に登場するクラシック音楽を聴きたくなる。

読み終わった後に、「ラストにどんでん返しがある作品」と知りましたが、そこまでどんでん返しだろうかと思いました。犯人は予想通りの人でした。ピアノ講師の岬洋介が矛盾に満ちていると感じました。

RATING: ★★★☆☆

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