見出し画像

女子スキージャンプ選手紹介ポーランド編

ポーランドについて

皆様ご存知の通り、世界で1番スキージャンプ競技に関心がある国といえばポーランドである。

1970年札幌オリンピックLHでボイチェフ・フォルトゥナが優勝していこう90年代中盤までスキージャンプでの目立った活躍はなかったがアダム・マリシュの出現により国民的な競技となりカミル・ストッフがその人気を持続させた。ここ15年においてのポーランドの国民的英雄はアダム・マリシュ、カミル・ストッフ、ロベルト・レヴァンドフスキ(FCバイエルン)、ユスティナ・コバルチク(クロスカントリー)でありノルディック競技の注目度も高い。

ビスワ、ザコパネ開催のW杯はいつも満員。特にザコパネで地元ポーランドの選手が優勝した際の国歌の合唱は圧巻である。

国内ばかりではなく国外の試合でもポーランドのファンは大挙して押し寄せる。ガストアルバイターとしてポーランド人が多く働いているドイツなどではドイツファンとポーランドファンの数があまり変わらない。ポーランド国旗が彼らの目印である。ポーランドのファンは国旗に文字を書いているが、その文字は自分が住んでいる地名である。“自分は遥々ここから応援しに来たぞ!俺たちがついている!“という意味が込められているらしい。

男子チームは30代前後の選手達が非常に強力であり16/17シーズンのネイションズカップ制覇など近年では数々の栄光を掴んできた。

女子チーム現HCはカミル・ストッフをソチ五輪二冠に導いたルカス・クルチェク。

女子チームの歴史は浅く13/14シーズンにマグダレーナ・パラシュがポイントを獲得して以降中々W杯に選手を派遣してこなかったが18/19シーズンから選手を派遣する様になった。

2019年のゼーフェルト世界選手権混合団体では6位に入り女子チームの国内での注目度が一気に上昇した。

翌19/20シーズンはキンガ・ライダが総合28位に入るなど順調にチームとして成長していると思われたが、短縮シーズンとなった20/21シーズンは国全体で個人ポイントが10pであり、オーバーストドルフの世界選手権後、クルチェクは「我が国の女子ジャンプは列強に比べ10年遅れている。」と発言した。

チーム内での不協和音は続き2022年2月、カミラ・カルピールがシーズン終了までAチームからの追放処分が下された。というのもカルピールがK70のジャンプ台での試合(練習?)の際、調子が良かったのでクルチェクにゲートを下げる様要望したが聞き入れてもらえず転倒し怪我をしたことが発端である。その後もカルピールとクルチェクが指導法をめぐり対立し、カルピールは前HCのマルティン・バフレダに指導を受けることに。カルピールが公然とクルチェク批判をした事もあり一時的な追放処分を受けてしまった。因みにこの処分はシーズン終了と共に取り消されるためカルピールの実力をもってすれば今夏のSGPにはAチームとして出場することになるであろうがチーム内に大きな禍根を残す結果となった。

ゼーフェルトの活躍により国内の注目を集めた為、選手たちは目の肥えたファンの厳しい視線に晒されながらも頑張っている。個人的に心の中ではあるが非常に応援している国の一つである。(だってポーランド強い方女子ジャンプよりおもろくなるじゃん....でしょ??)

Kinga Rajda キンガ・ライダ (2000)

ポーランドのエース格。18/19シーズンからW杯の転戦を始め19/20シーズンは総合28位に入った。カトヴィツェ公立大学に通う大学生である。

中学生時代、橋本病と甲状腺機能低下症と診断されたが当時のコーチ、スラボミル・ハンクスさんの支えにより競技を継続することができた。

2021年、多嚢胞性卵巣症候群とインスリン抵抗性と診断されたが食事療法と治療によりなんとか乗り越えようとしている。

スキージャンプという競技に対しての想いは「自分はこの競技に片想いしているが、両思いとなり恋に落ちたい。」と表現している。この時の期間について「スポーツをするのができないくらい辛い期間だった。」とインタビューで振り返った。

北京オリンピックでは2本目に進むことが出来ず、ユーロスポーツポーランドのキャスターに抱き抱えられていた。

五輪後のインタビューでは“同じ境遇の人たちに勇気を与えてあげたかったが、そうする事は出来なかった。”と振り返った。少なくとも私は彼女のプレーに心を打たれたが。

五輪の成績により一部の国内ファンからかなり厳しい言葉を浴びせられたが、その後のRaw Airでは全試合でポイントを獲得、ツアー総合26位と復調の兆しと精神力の強さを見せつけた。

趣味は読書と睡眠で憧れはマーレン・ルンビ。

(ファンサービス旺盛でインタビューの内容などを見るに本当に良い人なので努力が報われて欲しいなあ)

参考文献 https://sport.fakt.pl/kinga-rajda-przechodzi-trudne-chwile-kinga-rajda-po-powrocie-z-pekinu-odciela-sie-od/311t50y.amp

画像1

Instagram 

https://instagram.com/kinga_rajda?utm_medium=copy_link

Nicole Konderla ニコル・コンデルラ (2001)

ヨーロッパ最大の石炭発電所が位置するポーランド中部の街ベウハトゥフ出身で現在は体育学校に通いながらヴィスワを拠点に活動している。数年前からW杯転戦組。2022年1月のビリンゲンで初めてポイントを獲得し21/22シーズン総合を45位で終えた。試合内容を見る限り年々成長してきておりラージヒルのフライトを見る限り素人目だがセンスを感じる。

これまでのキャリアで忘れなれないことは2021年のポーランド国内選手権で優勝したこと。

趣味は絵を描くことで憧れはカミル・ストッフ。心なしか飛型が若干彼に似ている気がする。

右がコンデルラ

画像2


Anna Twardosz アンナ・トワルドシュ (2001)

Aチームの一員。20/21シーズンに8pを記録した事により2021年春、念願の個人スポンサーを獲得した。コンデルラと同じ体育学校に通っている。

兄の影響でジャンプを始めた。トレーニング施設は自宅から75kmも離れており車の燃料代がネックとなっていた。そのためスポンサーは非常にありがたい存在であるという。

Instagram https://www.instagram.com/anna_twardosz12/

画像3


Kamila Karpiel カミラ・カルピール (2001)

前述の通り2022年3月までAチームを外されてしまっている選手。ライダと並ぶ実力者で過去2回(2017,2018)ポーランド国内選手権を制している。明るい性格でありカメラに向かっておどけて見せたりしてくれる。18/19シーズンに初めてW杯ポイントを獲得、世界選手権混合団体ではストッフ、クバツキ、ライダと共に出場。男子におんぶに抱っこかという下馬評を覆し素晴らしいジャンプを披露した。翌年飛躍が期待されたが怪我により全休を余儀なくされた。20/21シーズンはW杯に復帰したがその後前述のクルチェクとの一悶着があった。

三つ編みの髪をヘルメットに埋め込むスタイルは特徴的である。

9歳の頃、ザコパネの地でジャンプを始めた。当初は両親の反対にあった。2019年のゼーフェルトで活躍した事によりスポーツ奨学金、スポンサーを獲得した。

バフレダが女子チームHCだった頃から彼の指導を受けており彼女は非常に彼に感謝をしている。

Instagram https://instagram.com/kamcia_karpiel?utm_medium=copy_link

あとがき

名門国は目の肥えたファン、メディア、国内の期待を全て背負ってプレーしなきゃいけないから辛いよなあ.... ポーランド関係の話はシーズン中も耳に入って来ていたがあまり楽しい話ではなく聞いてて辛かったですね。彼女らがゼーフェルトの時の様に笑顔でプレーできる日を待ちわびてます

だれこだれこ だんぶろーすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?