第2次自転車活用推進計画パブコメ5/11〆切

本日(5/11)標記の最終日でした。実施期間2週間というのは義務化されていないパブコメを行っていること自体は評価できても、短いと思います。

つい最近まで意見提出は見送ろうと思っていましたが、尊敬するサイクリング評論家平本さんの呼びかけに応えるため短期集中で考えました。

以下が先ほど提出した内容です。

1.総論
(3)自転車を巡る現状及び課題
(都市環境)
P4 6行目以下
〇自転車の利用促進のために必要な自転車利用環境として自転車通行空間の整備しか触れられていないのは弱い。
・移動先スペースの充実:公共の自転車駐車場
・使いやすいソフトの開発・導入:通勤・通学利用を進める各種制度(職員・学生専用駐輪場の確保、通勤定期相当の企業負担現物貸付等)
など、地域の特性・自転車利用の熟成度を生かした広範な取り組みができるよう幅広な例示を国として行うべき

(観光地域づくり)
P6 14行目から31行目
〇自転車を活用した観光地域づくりを進めるには、遠方から時間とお金をかけて移動してくる限られたサイクリストだけを対象と考えず、地域住民にとって自転車が身近な存在となり今までより長距離で活用されることが必要と考える。そういった観点で自転車活用を来訪者向け観光に矮小化せず、地域住民が移動手段として身近な店舗・寺社・景勝地を回遊するアクティビティまでを包含した広い概念にすべき。限定的な自転車利用の状態で泊付き観光を無理に推し進めるのではなく、各地域で地道な自転車利用愛好家の土台を広げていくことで、日本全体で遠方に赴いて自転車観光をする愛好家の増加が図られる。

(安全・安心)
P7 21行目から24行目
〇高齢者の自転車死傷事故を低減させるためには廉価で購入しやすい電動アシスト機構や3・4輪など転倒しづらい車種の普及も効果的と思われるので、その旨も例示として記載すべき。
〇身近な自転車が安全・安心に利用できるようにするためには、自転車店が単なる販売店から地域に対してハード(点検・修理・グレードアップ)及びソフト(法規・アクティビティ・イベント・交流・企業の自転車利用のコンサルティング等)を提供する自転車文化の受発信拠点として地域に存在することが必要と考える。

2.自転車の活用の推進に関する目標及び実施すべき施策
目標1 自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成
(実施すべき施策)
P9 24行目
 まず、国の策定する諸計画(社会資本整備重点計画、交通政策基本計画等)の中で自転車を主要な交通手段の1つにすることを明記すべき。
P10 5行目
・駐輪場の整備について、大規模施設の利用者・来訪者への的確な対応や、まちの魅力付けとしての適地・適量を分散配置、使いやすさや他の自転車関連サービスを付帯するなど質的向上を図るという視点も追加すべき。

目標2 サイクルスポーツの振興等による活力ある健康長寿社会の実現
(実施すべき施策)
P11 22・23行目(あるいは新規項目の追加)
子供たちの一番身近な自転車利用である自転車通学は、地域の交通安全のバロメーターにもなることから、年数回のイベント的な取り組みからでもよいので、地域の実情に応じて採用することを提案すべき。

目標3 サイクルツーリズムの推進による観光立国の実現
P12 1行目
目標をサイクルツーリズム「等」として、身近な自転車利用を出発点とした表現にすべき。

P12 3・4行目
身近な自転車利用を包含する趣旨で「体験型・交流型旅行」を「体験型・交流型旅行・周遊」とすべき。

P12 9・10行目
身近な自転車利用の促進にも対応した表現とするため、「自転車の走行環境、サイクリストの受入環境、サイクリングルート沿線の魅力づくり等に取り組むことにより」を「地域住民利用にも配慮した自転車の走行環境、サイクリストの受入環境、サイクリングルート沿線の魅力づくり等に取り組むことにより」にすべき。

目標4 自転車事故のない安全で安心な社会の実現
P13 25行目
項目番号16の実効性を高めるため、地域の自転車店が地域のエッセンシャルショップとして、ハード(点検・修理・グレードアップ)及びソフト(法規・アクティビティ・イベント・交流・企業の自転車利用のコンサルティング等)を提供する自転車文化の受発信拠点として育成する制度を国・自転車業界が協力して創設すべき。
P13 28行目
項目番号17に、「自動車運転者が道路交通法第70条に基づく安全運転義務を自転車に対しても当然実施するべきものであることを警察・運転者・地域へ改めて周知・啓発すること」を加筆するべき。

4.自転車の活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
P16 28行目
(3)調査・研究、広報活動等
  諸外国の先進事例を積極的に学び、適切な内容で国内展開できるよう、常設の研究組織を立ち上げ、常時海外と情報交換を行うようにするべき。

P17 8行目
(4)財政上の措置等
  国・地方公共団体のほか、民間企業、地域住民による出資により自転車関連の新たなビジネス・サービスが普及するようなプラットフォーム・クラウドファンディングシステムを創設するべき。

別紙
目標1 自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成
P20・21 
「施策5.地方公共団体と鉄道事業者の連携を強化すること等により地域の駐輪ニーズに応じた駐輪場の整備を推進する。」について
・鉄道事業者のほか、バス事業者との連携も強化すべき
・措置として、鉄道事業者と地域の実情に応じてサイクルトレインの普及・制度改善(オフピーク時袋なし輪行等)を進めることを追記すべき。
・地域の駐輪ニーズに応じた駐輪場の対象として、複数の主体が関連する中心市街地における共同利用駐輪場システムの実現を措置に追加するべき。

P22
「施策7.歩行者・自転車中心のまちづくりと連携し、生活道路における通過交通の抑制や無電柱化と合わせた自転車通行空間の整備についての総合的な取組を実施する。」について
・シェアサイクルのポートと同様に一般利用駐輪場の整備を検討対象に含めるべき。

目標2 サイクルスポーツの振興等による活力ある健康長寿社会の実現
P23
「施策9.公道や公園等の活用により、安全に自転車に乗れる環境の創出を促進し、障害者や幅広い年齢層におけるサイクルスポーツの振興を推進する。」について
・措置として、身近な自転車利用として自転車通学に着目し、小学生においてもイベントとして集団で走行するなど、利用する機会を創設するべき。

P24
「施策11.自転車通勤等を促進するため、広報啓発の強化をはじめ総合的な取組を推進する。」について
・措置として、国の省庁(地方支分部局を含む)が率先して自転車通勤を奨励するべき。

目標3 サイクルツーリズムの推進による観光立国の実現
「施策13.官民が連携した走行環境の整備や、サイクルトレインの拡大等によるサイクリストの受入環境の整備等により、ナショナルサイクルルートをはじめとする世界に誇るサイクリング環境を創出するとともに、国内外へのPR等を行い、サイクルツーリズムを推進する。」について
・措置3番目のサイクルトレイン・サイクルバスについては、ツーリズムに限定せず地域住民の移動手段として活用することも検討するべき(目標1施策5に加筆するよう前掲)。

目標4 自転車事故のない安全で安心な社会の実現

P27
「施策16.自転車の安全な利用に寄与する人材の知識・技術の向上を促進し、より安全な自転車の点検整備を促進するための広報啓発等の取組を促進する。」について
・措置として、地域の自転車店が地域のエッセンシャルショップとして、ハード(点検・修理・グレードアップ)及びソフト(法規・アクティビティ・イベント・交流・企業の自転車利用のコンサルティング等)を提供する文化の受発信拠点として育成する制度を国・自転車業界が協力して創設することを追加すべき。

計画案を読んでみての感想

1。目標、施策ごとに担当省庁にきっちり縦割りされていて、措置の部分に自転車の持つ多様性が反映されていない(子供の自転車利用に自転車通学の視点がない、自転車観光に生活圏周遊の概念がない、サイクルトレイン・サイクルバスが観光施策にしか記載がない、ほこみち関連にシェアサイクルの記載はあっても一般利用駐輪場がないなどなど)のが残念でした。

2。総論で掲げるように自転車が今後の我が国の各種課題解決や施策目的実現のために重要な役割を果たすという指摘に大いに同意するところですが、そうであれば、自転車の活用を押し進めるための取り組みを自転車活用推進計画に記載するだけでなく、上位にある社会資本整備重点計画、交通政策基本計画に自転車交通をきっちりと位置付けることこそ国がコミットメントすべきことではないかと思う次第です。


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