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SNS解脱こそは▶ 毒をもって毒を制す……

SNS中毒からの解脱といったテーマは、かなり頻繁に目にするもののひとつですよね。たとえばツイッタランドなどでは、「もはやツイ廃なんだから時既に遅し……乙」などとユーモア交じりに諦めの境地的呟きがなされるのを散見したりするわけです。実際のところ、本当に〝いい加減にこの辺にしとかないとヤバイ〟という自覚がある人も少なくないでしょう。

「スマホ脳」(新潮新書)という本がバズったのは記憶に新しいですね。本書を読めばやはりその中毒性について、もはや自分の意思だけではどうにもならない領域にあるということが改めてわかるわけです。

しかし、です!

自分はついに、その解脱の道を見つけてしまったようなのです。というのも、最近とんとTwitterがご無沙汰になっているわけで。

いや、特別なことは何もしていないのです。ただ、たまたまYouTube動画作りを始めたらなぜか面白くなってしまい、そちらばかりになったというそれだけのことなんです。が、ここには〝ある種の中毒状態〟から脱出するヒントが隠されているようにも思うのです!

すなわち、新しい刺激に触れたり、他に面白いとか興味があることを見つけたならば、人間は簡単にそっちのほうに意識が向いていってしまうものなのだな……という、いわば身も蓋もない現実こそが、しかし実際のところ大いなる道しるべともなるわけです。つまり、持たされてしまった性というものには誰しも逆らえない、と、ここがポイントなんですね。

それは、人間関係なんかにもそのまま当てはまります。
たとえば、世間では「好きだったあの人のことが忘れられない」などという〝未練に苦しむ〟心の裡なんかもよく耳にしますが、だったら〝もっと好きな人〟が見つかればあっという間にそっちに意識が向くことによって簡単に忘れられるよ、ということでもありますよね。

同様に、「嫌いな人のことでモヤモヤが膨れ上がり困っている」というような事もまた耳にします。これもやはり、〝もっと嫌いな人〟がでてくればあっという間に解決できるものです。それまでその人のことがどれほど嫌いだったとしても、もう〝あっちの新しく嫌いになったヤツ〟の存在のほうが大きくなって、それまでのその人など可愛くみえてしまうほどです……。それでいいのか、という問題もそれはそれで一方で残るわけですが、ここは一応ヨシということにしておきましょう。それで、万事解決ですから!

そういうわけで、人間というのは、自分の〝こだわり〟から離れることは自力では恐らく無理のようだとわかりますよね。だからこそ、自力を超えたチカラというものとうまく付き合う発想を持つことの重要性が浮かんでくるわけです。そうやって、自力で制御できる範疇をあっさり超えた言わば〝アチラ〟側——自分の掌の上にはない領域において、それまでの自分を突き動かしてきた衝動を超える新たな〝制御不能なほどのチカラ〟というか内発的駆動力が生まれることで、抱えていたモヤモヤが解消できてしまう道というものが見えてくるわけです。なにかちょっとバカバカしいようですが、これは真面目に是非トライしてみる価値はあると思いませんか!

さて、以下は、Twitterを開くのを忘れてしまうほどに夢中になってしまった、不肖わたくしのYouTube動画です。よろしければご笑覧くださいませ。

【執筆者】水月昭道。福岡県生まれ。博士(人間環境学 九州大学)。西本願寺系列寺院住職。立命館大学客員教授。「子どもの道くさ」(東信堂)が14年ぶりに '20年夏 SNSでバズり復刊増刷。「高学歴ワーキングプア」(光文社新書)、「お寺さん崩壊」(新潮新書)、「他力本願のすすめ」(朝日新書)など著書多数。「月刊住職」連載(2017年5月〜2021年7月)


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