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#東信堂さんへの応援を願います

#子どもの道くさ #増刷 #再販 #東信堂 #岡田悠  
@YuuuO #今野良介  @aikonnor #水月昭道 #重版

皆さま、こんばんわ。この度の、令和2年7月19日に、拙書「子どもの道くさ」(東信堂)をめぐる〝ちょっとよい話〟のTweetをしたところ、思わぬバズりぶりで、3.3万のファボ♡を頂くに至りました。


すでに一連の経緯については、既報(下記「子どもの道くさがバズった日」)にあるとおりですが、ここでは本件をめぐって版元さん(東信堂さん)とやりとりしたことで、僕が大変勉強になったことをご報告いたします。


今回、「東信堂」さんが大英断を下され、なんと絶版状態にあった本書を14年ぶりに増刷していただけるとのこと。無論、とても嬉しいのですが、実はそこにはわれわれ書き手の与り知らぬリスクがあったのです。


わたしたち書き手は、出版した本については、とにかくどんな形でもいいので、あるいはどんなに時間が経っていようとも構わないので、とにかくどこかで評判がついて、それと同時に売上げがついてくれたらなお嬉しい、とシンプルに考えてしまう生き物です。が、版元さんにとってはそんなに単純な話ではなかったのです。

いや、正確に申し上げると、(今回のような)絶版状態にある本というものの取り扱いは思ったよりも難しいものだ、と言ったほうが適切でしょう。

というのも、それまで完全に休眠状態にあった旧刊本が急に息を吹き返した(今回のような)場合、たとえそれが多くの注文を頂いていたとしても、出版業界においては、「新刊本」との扱いにかなり大きな差がでるためです。

たとえば新刊の場合は、多くの書店さんに「このような新刊が出ました」という形で〝撒く〟ことが可能ですが、一度返本されたりして書店から無くなってしまい〝旧刊〟扱いに〝落ちた〟本については、同様のことはできないそうです。

要は、版元さんのほうから書店さんへアピールする道が閉ざされているということです。

こう聞くと、読者のなかには、注文が殺到しているのだからじゃあそれだけを捌けばいいのでは、という向きもあるかもしれませんが、実のところそここそが最もナイーブな問題をはらむ部分なのです。

注文がボチボチ発生したからといって嬉々として増刷をかけるわけにはいかない理由がここにあるのです。

増刷する場合には、〝損益分岐点〟となる部数を刷り、かつそれを全て売り切らねば一円の利益も発生しません。売れ残りが出たぶんは全て赤字となるのです。

注文部数がこれこれだから「こんだけ刷ればいいよね」、というような単純な話では決してないわけです。それは万一、ある一定数よりも少なく刷ってしまえば、その時点で赤字が確定してしまうからです。

仮に、注文数が最後まで、損益分岐点の目安となっている部数よりも少ないままに終わってしまった場合、在庫をそれだけ抱えることになるわけです。抱えた在庫はいつまでも倉庫に寝かせておくわけにはいきません。なぜなら、財産としてカウントされてしまい相応の税金が発生してくるからです。ですので、一定期間を過ぎれば断裁するしかないわけです。

では、そうならないためにはどうすればいいのでしょうか。答えは売りきってしまうことです。ですがそれは一体どう売り捌けばいいのでしょう?

たとえば、本というものは、現在でも書店さんでの店頭販売がもっとも手に取ってもらえる道なのです。が、既に旧刊本となっている今回のような場合にはもう、最初からその最大の販路にアプローチができないわけです。

この場合、欲しいという読者が直接書店さんへ注文依頼をすることによってはじめて、書店さん側から版元さんへやっと注文書が届くという、一方通行の道しかないわけです。文字通り版元は座して待つことしかできない。

つまり、増刷したばかりに在庫を抱えるようになってしまった場合は、それを売り抜ける道——積極的に営業をかける方法はなく、注文が滞ったその瞬間に赤字が確定してしまう、という恐るべき構造なのです。

そして今回、版元である東信堂さんはそれでもリスクをとることを決断しました。その道が、読者の期待にこたえるべき責務と考えたからです。

ネットでバズり、最初に注文が入り始めた当初は、多少残っていた在庫分でなんとかなるかなと思っていたそうですが、あっという間にそれを超える数の注文が入ったそうです。

問題はそこからです。在庫は無くなる。となると、読者の期待にこたえるためには、増刷しか道がない。さりとて、さきほどのようなリスクを抱えることになる。

東信堂さんは硬派な学術出版社ですから、損益分岐点といっても通常の商業出版が目指す部数とは自ずと異なりそのラインは当然それほど高くはないのですが、それでも、本の性格を考えると売り抜けられるのかどうか、かなり心配のようです。

学術専門出版社としては、今回のような出来事で、通常ならまず増刷などないこれらの性格の本が、しかも刊行後14年も経ってからそれが行われるなどということは、それだけで確かに一つのかなり明るいニュースとなります。ただ、この物語がハッピーエンドで完結するにはもうひとつ、読者の皆さまの大きなお力添えが欠かせません。

東信堂さんはこう仰ってました。「こんなふうに注目いただけるのは光栄なことです。なにより、出版不況にあえぐ書店さんにとっても嬉しいニュースとなるはずです。だからこそ、ウチに直接という形ではなく、書店さんへ赴いてご注文をいただきたい。そうしていただけると、書店さんが大いに盛り上がります。また諸事情にてアクセスが難しい方もおありかと思いますので、その場合はぜひともオンライン書店さんをご活用くださいませ」と。

なにとぞ、皆さまのお力で、侍の心意気を今回示してくださった東信堂さんを、そして全国の書店さんを盛り立てていただけましたら幸いです。もう一度みなさまのお力で奇跡を起こしていただけますよう心より念じております。<(_ _)>著者拝

※今後の再販スケジュール → 8月11日(火)以降、オンライン書店にて受付開始。書店さんでの受付は随時。皆さまからのご注文が〝書店窓口〟へ入れば、08/11 あたりの日程にて出荷調整を版元さんが行います。
※7月30日(木)時点での更新情報。「子どもの道くさ」が、Amazonで予約開始になりました。みなさま、どうぞよろしくお願い申し上げます。<(_ _)>
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