人妻妄想日記-小川

狂おしいくらいに好きになってしまった人はみんなが好きな人。私も人妻。叶わぬ恋。求めたくても求められず、苦しさが増すばかり。止めどなく涙が溢れる。私の涙は尽きない。胸が苦しい。いっそのことひとおもいに。すっと苦しさを止められればいいのに。あれこれ思っても、どうにもならないことは分かっている。自分がこんな歳になってこんな気持ちになるなんて思っても見なかった。

主人とはずっと関係がうまく行かず、子供が巣立ってから離婚しようと考えていた。長かったピリオドまでカウントダウンに入ってきた。しかし、何も考えていない主人が、子供の将来を脅かすのではと考えてきた時、私はどうしたらいいのだろう。

30年近く我慢してきた生活。もうすぐ自由になれるかと思っていたのに、新たな問題に直面した。そんな時あの人と出逢ったのだ。とても優しくて、こんな人が世の中にいるのかとさえも思った。でも自分のものではないし、万が一にもそんなことがあったとして、どうなるのだろう。何もない。どうなることもならないのだ。それはきっと他の人も思っているはず。

出逢わなければよかったとさえ思う。あの人にとってはその他大勢の中の一人に過ぎない。どうもしないし何があるわけでもない。それは私と同じように彼を思っている人たちからすれば同じこと。

苦しく出口のない日々の中に、微かな光が見えたが、それは深い闇に堕ちる道標でもあった。涙が何も見えなくしてくれればいいのに。僅かな光さえも。

#つぶやき小説  

photo by まさひろ写真館さま ◡̈⃝ᵗʱᵃᵑᵏઽ*