舞台

今、いる場所が出てくる小説を読むのは楽しい。
そういう気持ちを、最近、思い出した。
東大の三四郎池という場所で、夏目漱石の三四郎を読んだことがある。それまで夏目漱石のよさはいまいちピンと来ていないのだが、その時は、楽しく読めた。
三四郎池は、東大の本郷キャンパスにある森の木々に囲まれた、とても大きな池だ。蚊がいっぱいいた。近所の人が犬を連れて散歩していた。
知人と待ち合わせをしていて、時間があいたので、ひたすら読んだ。
そのあと知人とご飯を食べて、近くに住んでいた妹の家に泊めてもらったのだが、三四郎よかったなあ、ストレイシープかあとしみじみした。
引越した先で、その場所が舞台の小説が読みたければ、図書館のHPで、この場所がでてくる本の特集されていることがあるので、それも借りて読んでいる。

先日、大好きな談話室兼カフェに、積読を消費するために行った。読み進めたい本を出し、自分の経歴なども少ししゃべったら、それなら!と、今いる場所が舞台の小説をおすすめされた。
以前、読んだことがある小説が2冊あった。なつかしくなり、パラパラめくった。
以前読んだときは、あまり土地勘がない場所が舞台のファンタスティックな小説だったはずだが、ここ最近で、行ったことがある場所、ない場所の地名が出てくる。
なんとなく読み飛ばした単語が鮮やかに立ちあがる。

素敵な店主が当番制でいる、コミニティスペースでもあるカフェだったため、ほかのお客さんから気になる映画の話は聞くし、気になるイベントの話は聞く。
しっかり読みこめはしなかった。積読消費するどころではない。読みたい本は一気に増え、行きたいイベントはいくつかできる。
楽しくてうれしくてたまらない時間になった。

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