司法試験合格の御報告と道のり

おかげさまで、無事に令和5年の司法試験に合格していました。
受験後には少し就活的なことにも足を踏み入れたのですが、いろいろあって、ひとまず修習には行かないことにしようと思っています。
(と書くと、中年受験生は評価されなかったのかと邪推されるかもしれませんがそういうことではないので、社会人受験生の皆様はご安心ください)

成績が届いていない段階なので、あれがよかった、これがよかったということはできないのですが、受験をはじめてから今まで何をやってきたかをまとめておこうと思います。
誰かの参考になれば幸いです。

0.バックグラウンド

勉強を開始してからのことを書く前に、自分のバックグラウンドを書いておくと、30代の社会人、二人の子ども(1歳と3歳)がいます。一人は予備試験論文の直前に生まれました。
国立大学の文系学部(非法学部)出身で、卒業後はマニアックな法令に触れる仕事をしていました。ちょこちょこかじるような感じで、民法でいえば不法行為のところだけ読む、みたいなことをやっていたわけで今にして思えばかえって難しいことをやっていたな、と。
それで少し法学的なことに関心を持ちつつも、きちんと勉強をする時間はとれていなかったのですが、異動を機に学びなおしてみよう、と思ったのが、受験のきっかけです。

1.勉強初期から予備試験まで

(1)勉強開始

勉強を始めたのは令和3年の4月。
今にして思えばよくわかってなかったのですが、A社のパッケージプランに申し込みました。(指導付き)
よかったことは、レールを敷いてもらえたことです。
法律の一般的な勉強方法が全く分かっていない状態の私に、まずはこれ、次はこれ、とやるべきことのリストを示してくれました。また、最初期に論文の考え方の基本を教わったことで変に迷子にならなかったのもよかったと思います。(生の主張から法律構成を考え、)要件を愚直に検討する、という方式は最低限守るには最適であるように考えています。

(2)講座の流れと勉強時間

大体の流れとしては、民事系科目の基礎講座から始まり、民法が終わったところで、商法の基礎講座+民法の論文基礎(短文事例問題)→…というように基礎講座を詰め込みつつ、並行して先行して終えた科目の論文を進めていくような感じでした。民事系が一通り終わったころからは少しずつ、短答もやってましたかね。
勉強時間は、家に帰ってきて夕飯をつくり、食べさせて、子どもたちを風呂に入れて、で平日は2時間+通勤電車の中1.5hくらい。ということで、机に向かえる時間は書いたり、解いたり。通勤電車でできること(基礎講座、説いた問題の解説を聞く、短答を解く)はそちらに回す、という風にしていました。休日は、できれば6時間くらいはやりたいなぁ、くらいでした。
論証系は歩きながらとか、隙間時間で聞いて、少なくともそういう論点があったということは想起できるようにしていました。
基本的なスタンスとして、暗記は後回しで、論文の起案の時にも論証集とか判例六法とかは参照していました。時間も(少なくとも年明けくらいまでは)グダグダだったと思います。

(3)各試験直前期の対策と合格まで

短文の事例問題を2周ほど終えたところで、予備試験の過去問に。
といっても多い科目でも6~7年分を1周くらいといったところで、演習量としては多くなかったと思います。

年明けくらいから、短答の比重を徐々に高め、短答前には週1,2問の論文(フル起案)を除き、短答に集中。基本的には、過去問の周回(間違うところを中心に何度も解く)でしたが、ゴールデンウイークにわかっていなかったところを重点的にまとめたりしました。前日あたりは憲法の条文素読などもしました。一般教養はそれなりにとれたので、法律科目でそれほど頑張らなくてもよかったのはラッキーでした。
(とはいえ、以前にも書いたように司法試験では短答がより重要になるわけで、もう少し短答に力を入れてもよかったかもしれません)

短答は何とかクリアできそうだったので、そのあとは論文に。
といっても、劇的に論文ができるようになるわけでもないので、論証の暗記に重点を置きました。

この間に妻は里帰り出産で上の子を連れて帰省していたのですが、子どもが生まれたので、その間妻の実家に行って上の子の面倒を見ていました。

予備論文は充実した出来とは程遠かったのですが、講師の方からかえって受かってる人の方がそういう印象のことが多いよ、と言われたので淡い期待をもちながら発表までを過ごしました。
といっても、論文を終えるとともに、妻子が帰ってきたので、子供二人との生活が始まり、コロナにかかったりもして、(合格確率は低いだろうということもあって)口述対策は後回しになっていました。

ところが、論文の発表を見てびっくり、自分の番号があったのです。
受験生活で一番興奮した瞬間でした。

そこから2週間くらいだったと思いますが、大島本を読み、要件事実をまとめ、某模試を受け、基本刑訴で手続きを詰め込み、最も濃密な時を過ごしました。
その節は口述の体験記に大変お世話になりました。
https://note.com/tojiro/n/n581363ff158e

口述は、司法試験を含めて一番緊張したかもしれません。民事の順番が最後の方だったので、発射台に連れていかれるまでに、大島本を1周半くらいしました。
一日目の民事はそれなりに手ごたえがありました(でも、大島本には出てなかった)が、二日目の刑事は割とボロボロ。ルートに乗っていないのでは?という気持ちになって、変なことを言い始めると迷子になるので気を付けましょう。

とはいえ、大事には至らず、何とか予備試験合格に至りました。

2.教材とふりかえり

予備試験までは、教材はA社のものを繰り返し使う感じで、たまに基本書を辞書的に使うかな、くらいの印象です。本当はちゃんと勉強したかったのですが、なかなかそこに時間を割けませんでした。予備校本以外の教材は機会と需要があれば紹介します。

間違いなく効果があったのは、短文の事例問題を繰り返し解いたことで、問題文を見てから法律構成を考えるまでの部分がかなり鍛えられたと感じます(というのはニアリーイコールで代表的な判例の事案と法的な構図を頭に入れていく作業だったということだと思われます)。
一方、答練には全く手が付けられませんでしたし、模試なども受けていません。同じ論点が出たときに相対的にへこむおそれがあるとはいえ、(過去問を時間をはかって解いたりしていれば)優先度は高くないと思われます。短答の講座は、ほぼ聞かなかったです。
基礎講座も(私は一通り聞き流してメモをとったりしたのはよかったと思いますが)、気力がある人なら教科書を通読してパスできると思われます。

個別指導については、最初の数回は効果が高いとして、それ以降は効果が逓減していくイメージです。書いた論文を添削しながら進めるスタイルだったので、それなりに書けていると(まぁ、論証とか参照しているわけで)先生によっては指導ポイントがあまりなく終わってしまったりということもありました。といってもペースメーカー的な意味合いや、軌道修正の機能はあると考えられるので、効用は人による、ということになるでしょうか。

予備合格から司法試験までと、合格した時点からの振り返りについては日を改めて書きたいと思います。
何か疑問などあれば適宜お知らせください。

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