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Curve

オフィスの近くには墓地があり、墓地までの道には陸橋がある。陸橋の上から墓地方面に顔を向けると都内でも有数の美しいカーブがある。真っ直ぐな道路にはロマンがあり、カーブにした道路には哲学がある。別に誰の引用でもなく今適当に書いているだけなのだけれども、まあ言わんとすることは分かってもらえるのではないだろうか。
さて、陸橋を渡るのが面倒なのでいつも道路を浮遊しながら通り抜けてしまうのだが、たまに天気がよく気分が良い日には陸橋を通ることにしている。目の前には曲線を多用したマンションがあり、おそらくマンションの設計者もその立地を確認した際にこの道路のカーブに魅せられたのだろうということが推察される。自然界には直線はない、といった車のデザイナーがいたが、車という人工物のデザインにその話をするのはどうかと思った記憶がある。人生において、直線や曲線について真剣に考える時期があったかどうか、というのはその後の精神的な成長に大きな影響を与えるのであろうか、いまだに私には友だちが少ない。


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