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コンフュージョンマトリクス | daily

陰性でした!陽性でした!と一喜一憂する機会も人生には何度かあるかと思います。念願の妊娠とか、癌の検診で団信とか。まあ検査キットも簡易になりちょっと試してみるかという感じでチェックできるようになるのは良いことな気がします。そんな検査ですが、偽陽性や偽陰性という言葉を聞いたことがあると思います。残念ならがこの世には100%の精度を誇る検査というものはなく、誤った検査結果が出ることもあります。医者や科学者が明言を避けたり、ゼロリスクのような姿勢を好まないのはこうした精度に対する感覚があるからなのかもしれません。

我々はリスクや不確実性とどのように付き合っていくべきなのか、というのはもっと学校教育や勤め人になりたての頃に教えられるべきなのではないかと思いますが、なかなかそういう機会には恵まれません。金融教育の遅れも科学リテラシーの低迷もベースにあるのは予測と実査の誤差への感覚、再現性、自然現象や社会現象の再帰性、帰納法的な思考といったベーシックなものの考え方の欠如によるものでしょう。

統計データを読み解くといった技能は人間が数万年の間培ってきたものではなく、ここ数百年でなんとか形作ってきたものです。なので相当努力をしないと、いわゆる直感に反するという感覚から抜け出ることはできません。社会全般にこうした考え方が浸透し、それを当然とするようになるにはまだまだ時間がかかるでしょう。本能的な恐怖や感覚的な判断が悪いというわけではなく、ある種の判断をする際に、相容れない考え方で話し合うことほど不毛なことはないということです。とりあえず統計学などを学びましょう。


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