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BiblioTALK de KINOKO vol.042のお知らせ|2024-02-16

この告知は、うでパスタが書く。

バブルがやってきた。
そして日本では、三十五年の昔からつづいてきたバブルの呪いを解くように日経平均株価が過去最高値をうかがうなかで週末を迎えている。
これは、祭なのだ。

少なくとも米国株式市場には強いシーズナリティ(季節性)というものの存在することが知られていて、この二月から三月という期間の歴史的なパフォーマンスは一〇月、十一月についでひどいものである。しかし、だからと言ってなんだというのか。「そんなに株が下手なのに、なぜつづけているのか」と思っている方もいらっしゃるだろう。勝って、負けて、勝って、負けて、勝って、負けてするが、賭博の基本は“Houses always win(結局は親が勝つ)”だ。長くつづければつづけるほどプレイヤーの資金は消耗していく。
ところが株式市場には、文字どおり「バカでも勝てる時」というのがある。それがバブルだ。誰でも勝てる。ただし株式市場に参加しており、株を買えるだけの資金と意志がまだ残っていることが条件だ。多くのひとが「バブルだね……」「バブルだね……」と指をくわえてサワーグレープをやっているとき、もう買っていなければいけない。こういうひとたちが「貯蓄から投資へ」とか「ニューエコノミー」とか言い訳しながらのそのそと株を買い始めたときがバブルの終わりなのだ。じゃあ「バカでも勝てる」というのに、あとからのそのそ買い始めたひとは一体なんなんだと言えば、それを“bigger fool”(「もっとバカな人」)と言って、ビガー・フールは絶対に勝てないというのをその名の通り“Bigger Fool Theory”という。
だから私は、常にいつも株式市場にいて、「バブルだね……じゃ、入金(いれ)るね……」という人が出てきたときにはもうすでに買っている状態にあるために、バカでも勝てる相場がきたときそのバカであることができるようにというそれだけの理由で何年ものあいだ相場で負け続けるのだ。

「AIは、過大評価されている」というひともいる。それはもちろんそうだ。生成AIはまだ世に紹介されたばかりであって、成果を生み出すにはいましばらく時間がかかるだろう。だが思い出してほしい、「ドットコム・ビジネス」も「仮想通貨」もおなじことを言われながら大きな大きなバブルを生んだ。それは実際にこうしたイノベーションが世の中を変えていくまだ一〇年ほど前のことだった(仮想通貨についてはいえばまだその時期は訪れていない)が、バブルは発生し、崩壊し、多くのひとが破産したり投獄されたりした一方で、イノベーションは世の中へ刻み込まれた。ITバブル崩壊の瓦礫の山から生まれた企業群がいまの社会を支えていることには、事実として向き合わなければならない。バブルはカネを集め、人を、つまり才能や労働力を集め、バブル自体は弾けてもそのあとに一〇年後の世の中を変えていく企業が芽を吹く土壌を残す。すべてはバブルから始まるのだ。だからバブルは繰り返されるし、ひとにその行く末を見通すことは非常に難しい。「根拠なき熱狂」とアラン・グリーンスパンは言ったが、それは「根拠」がいまから生まれてくるというのこそが真のイノベーションだからなのだ。日本でこの三十年、世界を牽引するようなイノベーションが生まれなかった理由は、「バブルの記憶」が常にバブルの発生を未然に防いできたからだというのが私の考えだ。ナイル川を治水して氾濫しないようにしてしまったら古代エジプトが栄えることはなかった、そういうことだと思う。

まもなく日付も変わるが、明日の2024年2月17日(土)20時ごろより、この勢いでYouTubeLIVE配信「BiblioTALK de KINOKO vol.042」を九段下の私設図書室ビブリオテーク・ド・キノコよりお送りする。
配信は定期購読マガジン「九段下パルチザン」の購読者限定で、配信URLはこのノートの末尾、有料部分に記載されている。

配信では、noteのサポート機能を通じてお寄せいただいたメッセージやご質問にお答えしている。やむを得ない事情で最低100円のサポートができないという方には質問箱もう公開しているのでそちらも利用されたい。

それではまた明日。
(以下、有料部分に配信URLを記載)

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