どのように男女関係の誘惑に勝利したか(第二部)

ある晩、ジンルは片付けをしていた。

    「プルルル・・・」電話が鳴った。電話に出ると、聞こえてきたのは、何となく聞き覚えのあるような声だった。「やあ、僕だ、ワン・ウェイだよ。帰って来てるのかい。」

    「ワン・ウェイ?」ジンルは驚いた。「何年も会っていないのに、なぜ突然電話してきたのだろう。」

「ええ・・・帰ってるわ。何か?」ジンルは答えた。

    「久しぶりだな。ドライブしないか。今そっちに向かってて、もうすぐ着くんだ。外で待ってて。」そうワン・ウェイは言った。

電話を切ったジンルの心臓は高鳴り、学生時代に引き戻された……

    ジンルは美しいだけでなく、成績も優秀で、ワン・ウェイ以外にも何人もの男子生徒が彼女のことを追いかけた。色々な手を使ってジンルの気を引き、近づこうとした。メッセージを送ったり、手紙を書いたり、贈り物をしたりした。だがジンルは従順で繊細な娘で、勉強に影響が出たり両親の期待を裏切ったりするようなことに心を動かされることは望まなかった。ワン・ウェイのしつこい誘いにもいつも無関心な態度をとっていた。だがワン・ウェイは冷たくされても諦めなかった。数年後、ワン・ウェイは相変わらずジンルを追いかけていた。ワン・ウェイの自分に対する変わらない態度に、ジンルの気持ちはほんの少しだけ動いた。その後、ワン・ウェイの周囲には一日中数人の女子がいるようになった。ジンルの静かな気持ちがざわつき始めた。ジンルは、その学期が終わるまで、ワン・ウェイを試そうと思った。彼についてまわる女子に心を奪われることなく自分を追いかけ続けるのであれば、ワン・ウェイの誘いに答えようと考えた……

     ブッブー。車の合図でジンルは我に返った。ワン・ウェイは外で待っていた。

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    ジンルは車に乗り込み、久しぶりに、そして突然、ワン・ウェイと再会した。二人は黙ったままだった。

    特に当てもなくドライブしたが、何となくぎこちない空気が流れていた。

     かなり経ってからワン・ウェイが口を開いた。「で・・・元気にしてたのかい?」

   「ええ、元気よ。とっても。」ジンルは静かに答えた。

    「今までいったいどこにいたんだい?ちっとも見つからなかったよ。地球から消えちゃったのかと思ったよ。たまたま友達のケータイできみの番号を見つけて、それで電話したんだ。じゃなければもう一度会えるのかどうかも分からなかったよ。」運転しながら時折ジンルの方を見てワン・ウェイが言った。

    「隠れてた訳じゃないわ。忙しかったの、仕事が。友達と連絡取る時間もなかったのよ。」ジンルは落ち着いた口調で言った。車を道の脇に寄せると、ワン・ウェイは心の中の思いを話し始めた。その低い声は悲しみと後悔に溢れていた。「学生のころはいつもきみを追いかけていた。5年間も。でもきみはいつも僕に冷たかった。いったいどうその時期を過ごしたのか自分でも分からない。きみが学校を卒業してから、僕は士官学校に行った。でもきみのことばかり考えていた。卒業してから、僕はきみを探し回った。でも見つけられなかった。結局僕は、家族からのプレッシャーに負けて結婚した。それでも僕の心にはいつもきみがいたんだ。今でも、これからもずっとそうだ。偶然きみの電話番号を見つけた時には、後悔しかなかった。きみを待たずに結婚してしまったことを。もっと早くきみに再会できなかったことを……」

      ワン・ウェイの心の底からの告白に、ジンルは強い悲しみを感じた。昔から美しい顔立ちだが、成熟した立派な大人の顔になったワン・ウェイを見たジンルは、自分の心がワン・ウェイに惹かれることに自分でも驚いた……

     「君のことを追いかけ続け、冷たくあしらわれてきて、僕は暗闇の中にいた。そしてもう一年、君からの応答を待つことにした。だが結局・・・君は君のまま、僕は僕のままだ。なぜなんだ。なぜいつも僕を無視したんだ。僕のことをどう思ってたんだい?教えてくれないか。」傷ついたワン・ウェイは言った。

     ワン・ウェイの言葉を聞いて、ジンルもまた心が痛み、後悔した。「当時自分に思いやりがなかったためにワン・ウェイを傷つけたこと、そして自分が無関心だったためにワン・ウェイと共に過ごす機会を逃したことを。」ワン・ウェイを見ながら、何年もの間自分を思い続けてきたことにジンルはため息を漏らした。自分はもう若くはなく、未だに付き合っている人もいない。友人はみな結婚し、自分だけひとりでいることを思った。自分も誰かに愛され、強い絆で結ばれたい、そう思った。ワン・ウェイと一緒になることを思った時すらあったのだ。ワン・ウェイが自分を追いかけ続けていたことを思い出し、当時はそれを理解できなかったことを思った。そのワン・ウェイが今でも自分を忘れずにいる。ジンルはそんなワン・ウェイの気持ちに答えて一緒になりたいとさえ感じた。だが彼女の理性は、「ワン・ウェイは結婚しているのよ。クリスチャンとして、証しにならなければ。衝動にかられて自分の感情をそのまま伝えてはいけないわ。神様の要求に沿った行動を取らなければ、神様の御心には沿えないわ。」ジンルはそうは思ったものの、心の奥深くで、彼女の理性は方向を失い、苦しかった。

     ジンルは混乱した気持ちを整理し、何ともないように言った。「あのときは次の学期が終わるまであなたを試したかったのよ。もしそれであなたの気持ちが変わらなかったら、付き合ってもいいと思ったの。でもそれから両親の自分に対する期待を考えたわ……こうなることが運命だったのよ。」

     感情を抑えてそう言ったものの、ジンルの心は苦しかった。もし当時に戻れるなら、迷わずワン・ウェイと付き合う、そう思った。そうなっていればこんなことにはならなかったのに。だが今、必死に自分の気持ちを抑えようとするジンルの頬を、涙が伝い、ワン・ウェイに涙を見られないと窓の方を向いた。だがワン・ウェイはジンルの涙を察し、急いでティッシュを取ると、ジンルの涙を拭こうとした。

      ジンルは心の中で神を呼び求め、誘惑に陥らないように、クリスチャンの証しから外れることのないようにと助けを求めた。ティッシュを受け取り、ジンルは言った。「大丈夫よ。」すると、涙を拭いたジンルの手をワン・ウェイが握って自分の肩に引き寄せた。混乱したジンルは、ワン・ウェイの肩に慰められたかった。恍惚としたジンルが、ワン・ウェイの肩にもたれようとしたその瞬間、神の教えと警告がジンルの心に響いた。「悪を行うすべての人々(姦淫する者、あるいは汚れたお金を扱う者、男女の境界が不明瞭な者、わたしの経営を邪魔したり損なったりする者、霊が塞がれている者、あるいは悪霊に憑かれている者など―わたしの選びの民を除くすべての者たち)について言えば、誰ひとり放免されることも、赦されることもなく、全員がハデスに投げ込まれ、永遠に滅びるだろう。」(『キリストの初めの言葉』より)ジンルがそれは神からの裁きと非難であると感じた途端、彼女は我に返った。ジンルは神が聖なるお方であり、神の性質は義であり背くことができないもので、汚れた肉体関係といい加減な男女関係に関わる者は神が最も嫌われることを知っていた。もし自分が男性と過った関係に陥るなら、永遠に汚れ、罪に定められ、神に嫌われ、呪われることを知っており、クリスチャンとしての証しも神の救いも失うと知っていた。一歩でもワン・ウェイの方に傾けば、自分は完全にダメになると分かっていた。そんな状況の中、ジンルはそれまで感じたことのない恐怖と不安を感じた。ジンルは神の性質に背くことは出来ないと思うと同時に、ワン・ウェイの結婚生活を尊重しなければならないと感じた。もはやワン・ウェイは自分を追いかけていた学生ではなく、妻子ある一人の男性なのだ。ここでジンルが一歩誤れば、ワン・ウェイの家庭が崩壊し、自分は女性として恥ずべき人間になってしまう。神の言葉はジンルの中に、神を畏れる心を呼び起こした。持てる力を振り絞り、ジンルは冷たく言った。「もう手遅れよ。家に帰りたいわ。」

    「君はなぜこんなにいつまでも僕を拒否するんだい?君を慰めることもできないのかい?」不満そうにワン・ウェイが言った。

     「誤解よ。あなたを拒んでいる訳じゃないわ。敬意を表わしているのよ。あなたには家庭があるんだもの。家族をかんがえなきゃ。」ジンルは落ち着いてそう言った。

     「じゃあ僕が離婚したら?そうしたらチャンスはあるかな。口先だけで言ってるんじゃない。」ワン・ウェイはそう言ってジンルに迫った。

     その言葉を聞いたジンルの心は再び揺れ、どのような言葉を返せばよいか分からなかった。心の中でただこう祈った。「ああ神様!どうか私の心を守り、あなたのご性質に背くことから私をお守りください。」そう祈ったジンルの心に次の言葉が思い浮かんだ。「彼らの言葉はあなたの心を養い、あなたを虜にする。そうすることであなたが迷い、知らず知らずのうちに引き込まれ、進んで彼らに尽くすようになり、あなたは彼らのはけ口となり、しもべとなるようにする。あなたは不平ひとつ言わず、彼らの思うままになる―彼らにだまされているのだ。」(「あなた方はみな人格が卑しすぎる」より)神の言葉によってジンルはもう一度気づかされ、自分の心が揺れているのは邪悪な欲に陥りそうだからだと気づいた。これはサタンの狡猾な策略による誘惑であり、それによって罪の中を生きるようにさせ、クリスチャンとしての証しを失わせ、堕落の一途を辿って腐敗させようとしているのだ。だから自分がしっかりと見分け、サタンの巧みな策略を知らなければならない、そうジンルは理解できた。ワン・ウェイは既に結婚している。「それは事実だ」一時の甘い言葉に理性を失い、騙されてはならない、そうジンルは理解できた。もし道を誤って間違ったことを言えば、サタンに騙されてサタンに仕えることになり、恥ずべき女となってしまう。そうなれば、ワン・ウェイの家庭は崩壊し、ワン・ウェイの妻子はこの先ずっと苦痛を抱えていくことになり、ジンル自身も神の前に修復不可能な汚れを残すことになる──とんでもない結果になるのだ。

     その事に気づいたジンルは気持ちをしっかりと持ち直し、静かに答えた。「おかしなこと言わないで。たとえ離婚しても、私たちは友達でしかないわ。冗談でしょ。さあ家まで送ってくれない?」ジンルの決意が固いことを見取ったワン・ウェイは、それ以上何も言わなかった。

      ジンルの家の前に着いてジンルが車を降りようとした時、ワン・ウェイは再びジンルの手を取ろうとした。だがジンルは急いで車を降りて入り口の方へ向かった。家の中に入ったジンルはベッドに倒れ込んだ。今日起きたことを振り返って、なかなか心を静めることができなかった。色んな感情がこみ上げてきた。神の守りがなかったならば、恐らくワン・ウェイの告白と思いやり、慰めに引きずられずにはいなかっただろう。そして醜く不道徳なことをして相手の家庭を崩壊させただろう。そして更に深刻なことは、恐らく感情的誘惑に負けて神の性質に背き、クリスチャンとしての証しを失い、赦されない罪を一生後悔することになっただろう。神の言葉がどれほど大切かを、ジンルは痛感した。それによって神に守られただけでなく、誘惑の中にあっても冷静に、そして自分の言動に敏感でいることができ、正常な人間性を生きることができた。この経験は、ジンルに安らぎと喜びを与えた。ジンルは神に感謝と讃美を献げずにはいられなかった。サタンの誘惑に勝利して堅く立ってクリスチャンとして証しとなることが出来たのは、神の守りがあったからだ。ジンルは神の前に出て感謝の祈りを捧げ、眠りについた。

      ワン・ウェイの件でサタンの誘惑に陥ることのなかったジンルは、二度とワン・ウェイに会ってはならないということも分かっていたが、あの晩の出来事と自分に対するワン・ウェイの熱い告白は、映画の一場面のように繰り返しジンルの心に甦ってきた……

       そしてワン・ウェイから再び電話があると、ジンルの心は僅かに揺れた。「もう二度と二人では会わないわ。でも今まで通り、友達ではいられる。自分が節度を持ってしっかりしていれば、大丈夫なのよ。」そう考えて、ワン・ウェイからの電話に出て、しばらくおしゃべりをした。そんな事をしているうちに、ジンルはワン・ウェイがまた電話をしてくるだろうかと考えるようになり、それを楽しみにするようになっていった。ワン・ウェイが電話してくる度に、自然な対応をしようとジンルは自分を落ち着かせた……そんなことが続くうちに、ワン・ウェイからの電話は以前より頻繁になった。ジンルはワン・ウェイとの会話が終わって電話を切った後、いつも心が穏やかでなくなり、心が痛み、自分のしていることが神の心に沿わないのではないかと感じた。ジンルの心の痛みと不安は、正に神がジンルに対してあの時の教えを思い起こさせ、非難しているのだと気づいた。ジンルはすぐに神の前に出て祈った。「ああ神様!私はワン・ウェイとこのようなことを続けるべきではないと分かっています。でも自分の気持ちがコントロールできません。罪に向かっている自分をどうすることもできません。ああ神様!このようなことを続けてあなたを悲しませたくありません。ああ神様!どうか私を助けてください!」

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     その後ジンルはいくつか神の言葉を読み、自分を苦しみから解放する言葉を見つけた。「あなたたちはみな、罪と放蕩の場所で生活している。あなたたちは皆みだらで罪深い人々だ。今日、あなたたちは神を見ることができるだけではなく、もっと重要なことは、刑罰と裁きとを受け、こんなにも深い救い、つまり、神の最大の愛を受けているのだ。……あなたたちは、どうやって生活し、どのように生きていくのかを知らず、また、あなたたちは、このみだらで罪深い場所に住み、みだらで汚れた悪魔であるが、神は、あなたたちがいっそう堕落してゆくのを望まない。また神は、あなたたちがこのような汚れた場所で生活し、サタンの思うままに踏みつけられるのは見るにしのびない。あるいは、あなたたちがハデスに落ちてゆくままにすることなど望まない。神はただあなたたちの群れを獲得し、完全に救いたいと願っている。……」(「征服の働きの内幕(4)」より)。 説教と交わりの中で次のように書かれていた。「情欲に溺れた人たちが最終的にどうなるか、あなた方はもう知っていますね。大抵の場合、どうなるでしょうか。呪いを受けるでしょうか。何か良いものは生まれるでしょうか。そこに一生平安はないのです。情欲がもたらすものは混乱とトラブル、それは耐え難い苦しみです。向こう見ずに結婚相手を求めたり異常な求め方をしたりする者に幸せな結末があるでしょうか。良い結果が出ることなどなく、結局は呪いを受けるのです。軽々しく扱うことではありません。」(『いのちに入ることに関する交わりと説教』(VII)から「どのような人が神に完全にされるか」より) 「あなたがある特定の異性にみだらな思いを抱いた場合、その問題にどう対処するでしょうか。考えてみてください。あなたは最低限、結婚というものを尊重しなければなりません。もし相手に夫や妻がある場合、相手の結婚生活を尊重しなければなりません。相手の結婚生活の妨げになってはなりません。相手を尊重するということは、自分自身を尊重するということで、他の人たちを尊重することができないのであれば、自分自身も尊重できないのです。他の人たちを尊重するならば、自分自身も尊重するのです。もしあなたが結婚を尊重しないならば、あなたは人間性に欠けていることになります。もしあなたが結婚を尊重することができるならば、そして、他の人を愛し尊重することができるならば、その相手を傷つけることはしません。もし誰かがあなたに言い寄っても拒否することができるならば、あなたは適切に対処しているのです。そのような誘惑に負けないようにするには何が必要でしょうか。それは真理であり、あなたが真理を持ち合わせているならば、そのようなことをはっきりと知ることができます。この問題の本質をはっきりと理解して初めて、あなたは、自分の行動がどう相手を傷つけるか、相手の心がどう痛手を負うか、相手の人格をどこまで傷つけたかを知ることができ、そうして初めて、そのような行動を避けることができるのです。そのようなみだらな考えや思いが浮かんでも、あなたはいつでもそれを拒否することができ、そのようなものに興味を持つこともなくなり、注意を向けることもなくなります。あなたの心はそのようなものに揺れることはなくなるからです。(『いのちに入ることに関する交わりと説教』(VI)から「現在の教会に広がる三つの問題の解決に焦点を置く」より)

      神の言葉と交わりの言葉を熟慮する中で、ジンルは、自分がサタンの狡猾な策略と本質、そして情欲にまかせるままにした場合にもたらされる害と結果を見抜くことが出来なかったために、抜け出せない感情の渦の中に落ちてしまったのだと知った。

      そのことを思い返してみて初めて、ジンルは「愛は素晴らしい」「愛し合っていれば最後には結婚する」、「永遠を求めるより今を幸せに生きろ」、「愛することは罪ではない」といった考えを洗脳させていたのはサタンであり、サタンが、美しい愛を夢見るようにさせ、道徳や良心に制限されずにワン・ウェイのことばかり考えて連絡を取り合うようにさせて引き込まれていき、罪の中を生きて自分のしていることが過ちだと思わずに罪の喜びを求めるようにさせたのだと気づいた。

       ジンルは自分の周りで不倫問題を抱えている何人もの人々、そして愛人を抱えている何人もの男性のことを考えた。一時の欲を満足させても、結局家族の争いや結婚生活の破滅を招き、時には三角関係が原因で殺人にまで発展するのだ。昨今の動きが広がっているが、大学で、公共の集会や情報公開の場で、メディアを通じて急速に広がっている。有名人や知識人が一夜だけの関係を持ったために非難され、信用を失い、みだらな関係の代名詞のようになってしまった人もいる。特に中国政府の当局者の多くは妻と愛人がいて、その多くは政治的に対立する者たちが不倫問題を利用して陰謀を企て、それによって重罪人として投獄されたりもしている。ジンルは、不倫関係に陥る人達はただ自分の情欲を満たすためだけにそのようなことをしていることをはっきりと理解していて、それは否定的なことであり、邪悪なことであり、人を泥沼に陥らせるだけのものだと分かっていた。賭け事で損をするともう一度やりたくなってしまう人たちが、最後には家族を経済的崩壊へと陥らせ、家族がばらばらになってしまうのと同じように、情欲に溺れる人々は一度そのような関係を持つと、同じことを繰り返すようになり、遂には姦淫の罪から抜け出せなくなるのだ。そのようにして最終的に彼らは自分たちの体を破壊し、将来どこまでもその問題を引きずり、生きる気力を失って自ら命を絶つ人さえいる。それだから、ジンルは情欲に任せていることは良くないと感じた。罪深いことで、天からの罰と怒りを招くことだと思った。そして人を破滅の道に引き込むことであると。そしてジンルは、サタン的哲学と理論は全て妄想であり偽りであり、真実ではなく、人を騙し、サタンが人を堕落させる道具であり、不倫に関わる男女の間に本当の愛はないことを理解した。もし本当の愛があるならば、その人には人間性があり、相手を敬い、結婚というものを敬い、相手を傷つけることは一切しない。不倫をする人間はみな互いの情欲をもてあそび、相手を利用しているのだ。ジンルがそれを理解した時、神の前に出て、こう祈った。「ああ神様!サタンの毒に侵されて生きる結果がどのようなものかやっと理解できました。これ以上サタンの毒に侵されて肉の欲の中に生きたくありません。ワン・ウェイと連絡を取り合いながら生活することは誠実さも品格もないものです。私はこんなことを続けることであなたの名前を辱めることなどしたくありませんし、クリスチャンとしての証しを失いたくありません。私に神様を畏れる心を与え、真理の原則を貫いて肉を捨て、危険を知った時にはそれを避け、神様の栄光のために真の人間の姿を生きる者とさせてください。」

      ある日ジンルがスクーターで教会へ向かっていると、ちょうどワン・ウェイが車で通りかかった。ワン・ウェイはジンルを呼んだ。ジンルは答えたかったが、その瞬間に神様からの言葉と神の前での自分の祈りを思い出した。ジンルはこのままの状態を続けることはできないと分かっていたので、車の中のワン・ウェイを見ただけで何も言わなかった。ジンルはスクーターを止めることなく走らせていくと、ワン・ウェイが着いてきて、クラクションを鳴らした。心の中でジンルは神に祈り、サタンの策略から自分を守り、クリスチャンとしての証しになるようにと祈った。すると、ジンルの心は静まった。ジンルはワン・ウェイに言葉を返すこともしなかった。どうしたらワン・ウェイから逃げられるか、それだけを考えた。分かれ道に来たとき、ジンルはワン・ウェイが一方へ曲がるのを見て、急いで反対方向に向かってスクーターを走らせた……

      ジンルはその後何度もワン・ウェイと路上で出会ったが、ワン・ウェイに対する態度を変えることはなかった。すると神はジンルに道を開いてくださった。ワン・ウェイに会う時はいつでも、ワン・ウェイが誰か知り合いにばったり会ったり、渋滞だったりして、ジンルに近づくことはできなくなった。ジンルはその後ワン・ウェイと接点を持たずに済むようになった。ジンルはケータイ番号を変え、二人はその後会うことも話すこともなくなった。

       このような経験を思い起こし、ジンルは次の事を本当に理解するに至った。この誘惑だらけの世界では、日々サタンからのさまざまな誘惑に直面する。真理を持たない私たちはそのような誘惑を見分けることができず、サタンの毒によって生きてしまい、邪悪な世の流れに流されるままになり、罪に陥って抜け出せず、サタンに騙され傷つけられてしまう。サタンの様々な誘惑と巧みな策略を見抜きたいと思えば、神様の前に出て神様の言葉を身に付け、より多くの真理を理解し、肯定的な事と否定的な事の違いが分かるようにし、サタンの巧みな策略を完全に理解し、誰に会っても、どのような物事に直面しても、神様の言葉にしたがって物事を見、神様の言葉と一致して物事を行い、行動に原則が伴うようにする他に道はなく、そのようにして初めて、サタンの誘惑に陥らなくなる。神様の次の言葉にある通りだ。「人間が自分のものとすべき真理は神の言葉の中にある。それは、人類にとって最も有益で役立つ真理である。それは、あなたがたの体に必要な薬であり、糧であり、正常な人間性を回復させる助けになるものであり、人間が備えているべき真理である。あなたがたが神の言葉を実践すればするほど、あなたがたのいのちは一層早く開花するであろう。また、あなたがたが神の言葉を実践すればするほど、真理は一層明らかになる。あなたがたの霊的背丈が成長するに従って霊的世界のことをもっと明瞭に理解し、より力を得てサタンに勝利するであろう。」(「いったん真理を理解したら、それを実践すべきである」より)

       ジンルは胸が一杯になって大きく呼吸し、そして思った。「神様が御言葉をもって私を救い、助けてくださらなかったならば、私はとっくに人間のあるべき姿を失って堕落し、誠実さも品位もないまま、不倫関係に陥るような酷いことをしていたわ。家庭のある人と関係を持ち、愛人になっていたんだわ。家庭を崩壊させた者のレッテルを貼られ、堕落した人生を生き、良心の呵責に苦しみながら残りの人生を生きることになっていたんだわ。」ジンルは心から神に感謝し、讃美した。ジンルは以前のような平穏な生活を取り戻し、教会で喜びを持って自分の本分を尽くし、神の言葉による裁きと清めを受け入れ、真の幸福の道をしっかりと歩んでいる。全ての栄光は神にあれ!

      神に祈るのは、神への祈りこの3つの点を理解することはとても重要だ


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