フォローしませんか?
シェア
「もうすぐ梅雨だね。」 靴を履いた彼は、不意にそうこぼした。 気づけばもう春の暮れ、空…
国王には2人の息子がおりました。 兄の方は盲目の王子です。幼い頃に目を患って以来、王子…
「おぬし、やってみよ。」 国王に指を差されると、若い家臣は視線を落とし、しばらくの沈黙…
霧が晴れると、そこは墓場だった。 ここはどこなのか。なぜここにいるのか。そんなことを…
「婚姻届いつ出しに行く?」 私は、今付き合っている彼に声をかけた。婚姻届を出す日、それ…
それはいまから一昔前、とある小さな王国での出来事である。 山に囲まれた盆地に広がる小…
ああ、春の眠りは何で心地いいんだろう。 最近は寒い日ばかりだったから尚更だ。 布団の中から窓の外に目をやると、もう陽は昇っている。 夜明けにも気づかないほど気持ち良い眠りだったんだな。 アラームを止めて静まり返ったこの部屋。 耳をすませば、あちこちから小鳥のさえずりが聞こえてくる。 なんてのどかな朝なんだ。 記憶を辿ると、昨夜のことを思い出す。 毛布にくるまっていても、激しい風雨の音が僕の耳には届いていた。 花はどれほど散ってしまったんだろうか。 そんなこ
「ただいまー」 夫が帰ってきた。 時計を見ればまだ午後6時。最近は帰りが早いので、一緒…