【ゲーム】海鳥野ガクの精神鑑定録のプレイ感想
製品情報
対応プラットフォーム:PC、スマートフォン
ジャンル:アドベンチャー、ビジュアルノベル
発売日:2024年6月24日(※Steam版)
プレイ人数:1人
公式サイト:いもチャイ屋
名状しがたき恐怖の数日間
ある入院患者の担当を任された精神科医となって、患者と自身の身に巻き起こる不可思議と恐怖を体験するゲーム。クトゥルフ神話要素のあるストーリーだけれど、ゲーム開始時に説明がある通り、クトゥルフに詳しくなくても楽しめる。(事実、私自身、クトゥルフ神話に明るくない方の人間)
ゲームの概要と入院患者「海鳥野(みどりの)ガク」のビジュアルに惹かれてウィッシュリストに入れていたのだけれど、Steamから配信開始のお知らせメールが届いて「無料プレイ」の文字に驚いた。まじで二度見した。
「無料」という消費者にとっては甘い蜜に、ビビリストの自分は逆に躊躇する気持ちがほんの少し湧いた。しかしながら、実際にプレイしてクリアした今は、安かろう悪かろうは当てはまらないゲームだと断言できる。(安いどころか無料。振り込めない詐欺)
※以下、ゲーム内容のネタバレを含みます。
ストーリーに用意されたエンドは、トゥルーが1つ、バッドが8つの計9つ。自分はバッドエンドを5~6個ほど回収したのちにトゥルーエンドに辿り着き、プレイ時間としては約80分ほどだった。(クリア後のおまけ部屋を閲覧したり、タイトル画面で少し放置したりしていたのでもう少し短いかもしれない)
Steamのストアページにもある通り、トゥルーエンドの到達まで約1時間ということで、時間的にはサクッとクリアできるゲームだと思うが、プレイし終えて、プレイ時間だけでは換算できない満足感があった。それは、精神科医の「道島」として相対する「海鳥野ガク」の存在による。
精神疾患の疑いがあり、別の人間の声が聞こえるというガクに、初めは、思春期の若年層に見られるイマジナリーフレンドの存在や解離性同一性障害(多重人格)の可能性があるかもしれないと考える道島だが、ガクが告げる存在はイマジナリーではない「ナニカ」であることが次第に明らかになっていく。
正直、すんなりトゥルーエンドに辿り着けるだろう。トゥルーを見てから、バッドを回収しようなどという浅はかな考えでいた。(大変申し訳ございません。)自分ごときの単純な人間では予想のつかない反応を「ガク達」は返してくる。だからこそ、自身が置かれた状況にヒリつくし、「ナニカ」の正体に近づくにつれて、じわじわと恐怖に身体が浸食されていく。ガクのMRI写真に写った存在を見て、ゾワワッと鳥肌が立ったのは言うまでもない。
少しずつ、しかし確実に忍び寄る恐怖。日常から非日常へ、気づかないうちに誘われている不安。短時間ながらもメリハリのあるストーリーと演出が濃密な時間を提供してくれた。
バッドエンドには、このエンドを迎えてしまった原因というか、忠告的なタイトルがついているのだけれど、どこかのエンドで「死にました」とだけ書かれていたのは笑った。理不尽。ガク達の予測不能さが出ている。
なお、『海鳥野ガクの精神鑑定録』は本編ゲームのスピンオフ作品で、ガクも本編に出てくるゲームの敵キャラとのこと。30歳になったガクが活躍(暗躍?)する本編もとても楽しみ。
まだ回収していないバッドエンドがあるので、また道島となってガク達に会いに行こうと思う。