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拘束。いろんな意見があるけれど。
おばあちゃんも、手を縛られて、嫌だったろうな。
昔、祖母が老人性の痴呆が原因の徘徊を繰り返し、トイレの場所も分からなくなって、施設に入った。子ども3人を抱えて仕事も持っていた母にとっては家で看ることは限界だったのだと思う。
施設は今のようなものではなくて、フロアごとに鍵のかかった陰気な建物だった。聞けば精神を病んでいる人も痴呆の人も一緒になっていたそうだ。
祖母は家族の面会のとても多い患者だったろう。母は一日置きにオムツと肌着を届けていた。まだ、大人用の紙おむつが無かった時代。オムツ用の洗濯機をフル回転させて、夏の照りつける陽の下、冬の凍えるような風のなか、母は通い続けた。
介護の辛いところは、先の見えないところだし、次第に症状が重くなっていくところだ。赤ん坊とは逆で。
祖母の死はある朝突然だった。
早朝に電話を受けた母が、動揺してただ泣いている父を頼らず、ほとんど一人で何もかも手配した。葬式に関してはいろいろあったけれども、全てが片付いた後に「おばあちゃん、夜の間は縛られていたみたい」とわたしに呟くように言った。
母は、拘束されていたから、死が迫った時にナースコールができなかったのでは無いか?と病院に対して疑問を持っていたようだ。しかしそれを誰に言っても仕方がないこと、とも考えているようだった。
初めて拘束をされて、その恐怖がまざまざと残っている時に、その時はもう一般病棟に移っていたけれど、急に祖母のことと母の言葉を思い出して、泣けた。
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